3x3女子日本代表、アジア1位でロス五輪出場権を奪う!前田HCが掲げるサイズと個の育成

「アジア1位」へのロードマップ、宿敵・中国を射程に
3月3日東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで、2028年ロサンゼルス五輪に向けたファーストステップとなる「2026年度 3x3女子日本代表チーム 第1次強化合宿」のメディアデーが行われた。
今回の合宿には計29名を招集(参加は28名)。発表されていた15名に、2月下旬開催の「3x3 ディベロップメントキャンプ2026」で輝きを放った若手14名を追加招集。シニア(A代表)からU21世代までが同じコートで汗を流すこの光景こそが、安部建太朗チームリーダー(TL)と前田有香ヘッドコーチ(HC)が描く「層の厚み」を追求する新戦略の象徴である。
メディアデーの冒頭、安部TLはすでに選手にも共有したという戦略的な展望を明かした。昨年4月にIOCは2028年のロサンゼルス五輪では12へと拡大することを発表(パリ五輪は8)。さらに同12月に「LA2028 クオリフィケーション・システム(五輪出場権獲得プロセス)」を明らかにした。12枠の内、6枠は2027年12月1日時点のNFランキング(国のランキング)に基づき選出され、残り6枠は2028年3月〜6月に4度行われるOQT(オリンピック予選大会)で決定となる。安部TLは五輪ストレートイン(開催国枠を除いた自動出場枠)での出場を目指すと強調した。ただし、その道程は簡単ではない。FIBAランキングの算出期間が、従来の12ヶ月から「24ヶ月」へと倍増となるからだ。だからこそ、「五輪への近道になるのです」と安部TLは補足した。
新規定では、アメリカ(開催国)、欧州1位、アフリカ1位に加え、アジア・オセアニアから上位2カ国がストレートインとなる(少なくとも1つはアジア勢に与えられる)。日本が狙うのは、2027年12月1日時点での「アジア・オセアニア地区ランキング1位」である。
「現時点でのアジア1位は中国です。約14万ポイントという大きな差に見えますが、NFランキングは国内上位20人のポイント合算で決まるもの。ウィメンズシリーズをはじめとする国際大会に継続的に選手を送り込み、ポイントを積み上げれば、十分に逆転可能な射程圏内なのです」と安部TLは強調した。
OQTに回ることなく、自力で、それもアジアの頂点として堂々とロサンゼルスへの切符を掴み取ること。そのためのファーストステップが今回の合宿なのだ。

宮下 希保(178cm / 27歳 / 富士通 レッドウェーブ)
世界を変える「外の2点」と若き才能の融合
指揮を執る前田有香HCが見据えるのは、世界基準の個の育成だ。29名の招集という大人数での合宿の意図についてディベロップメントキャンプという位置づけとし、「2026年シーズンからは国際大会の数が大幅に増えます。A代表がアジアカップやワールドカップを戦う一方で、U23やU21の世代がネーションズリーグを通じて経験を積む。このサイクルを回すためには、今のうちから10人、20人単位で代表レベルの選手を育成しておく必要があります」と説明した。

指揮を執る前田有香HC

桂 葵(182cm / 33歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ / ZOOS)
選考のキーワードは、かつて日本が東京2020五輪やパリ2024五輪予選で武器とした“2点シュート”(5人制の3Pシュートは2点換算となる)だ。
「世界との体格差を埋める戦略は変わりません。外からの2点があるからこそ、中へのドライブや1点が生きてくる。今回の選考でも、サイズがありながら外のシュートを高確率で沈められる選手を基準にしています」と前田HC。
まずは4月のアジアカップ、9月のワールドカップ、補強としての5月上旬から10月まで続く「FIBA 3x3 ウィメンズシリーズ」が強化の主戦場となる。特にポイント獲得に直結するウィメンズシリーズは、世界ランクを押し上げるための極めて重要なステージだ。

6チームに分けてのトーナメントを公開。(左から)伊波美空(トヨタ紡織)、宮下、大上粋奈(大阪体大)、東小姫(白鷗大)、永野紗弥香(立命館大)が優勝
【今後の大会予定】
<A代表の3x3国際大会>
■ FIBA3x3アジアカップ2026
大会期間:2026年4月3日~4月5日
開催地:シンガポール
選出人数:大会出場選手4名
予備登録選手2名
■ FIBA3x3ワールドカップ2026
大会期間:2026年6月1日~6月7日
開催地:ポーランド
選出人数:大会出場選手4名
予備登録選手2名
※国内ランキングTOP10から4名を選出
■ FIBA3x3ウィメンズシリーズ2026
大会期間:2026年5月上旬~9月中旬 ※9月にFINAL
開催地:世界各国
選出人数:ツアー登録選手6名
大会出場選手4名
<U21・U23代表の3x3国際大会>
■ FIBA3x3ネーションズリーグ(U23)
大会期間:2026年6月~8月の間で7日間
開催地:未定(おそらく中国)
選出人数:大会遠征選手5名
予備登錄選手2~3名
■ FIBA3x3ネーションズリーグ(U21)
大会期間:2026年6月~8月の間で7日間
開催地:未定(おそらく中国)
選出人数:大会遠征選手5名
予備登録選手2~3名
■ FIBA3x3 U237ールドカップ2026
大会期間:2026年9月15日~9月19日
開催地:中国
選出人数:大会出場選手4名
予備登録選手2名
※ネーションズリーグU23かU21で総合優勝で出場
■アジア競技大会2026(愛知・名古屋)
大会期間:2026年9月21日~9月25日
開催地:愛知県名古屋市
選出人数:大会出場選手4名
予備登録選手2~3名
※3x3はU23代表カテゴリーの大会
■2026年 3×3バスケットボール女子日本代表
第1次強化合宿 参加メンバー(29名)
鶴見 彩(165cm / 33歳 / MAURICE LACROIX)
桂 葵(182cm / 33歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ / ZOOS)
高橋 芙由子(163cm / 31歳 / 三菱電機 コアラーズ / FLOWLISH GUNMA)
宮下 希保(178cm / 27歳 / 富士通 レッドウェーブ)
野口 さくら(182cm / 25歳 / アイシン ウィングス)
高橋 未来(169cm / 24歳 / アイシン ウィングス)
田中 平和(181cm / 24歳 / トヨタ自動車 アンテロープス)
★佐藤 多伽子(177cm / 23歳 / プレステージ・インターナショナル アランマーレ)
★粟谷 真帆(182cm / 23歳 / 日立ハイテク クーガーズ)
花島 百香(178cm / 22歳 / ENEOSサンフラワーズ)
★平下 結貴(175cm / 22歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
近藤 京(171cm / 22歳 / アイシン ウィングス)
伊波 美空(167cm / 22歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
西 ファトゥマ七南(175cm / 22歳 / 早稲田大学 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
★山本 遥香(177cm / 21歳 / 立命館大学 / 三菱電機 コアラーズ)
田平 真弥(173cm / 21歳 / 立教大学)
横山 智那美(173cm / 21歳 / トヨタ自動車 アンテロープス)
森 美麗(180cm / 21 東京羽田ヴィッキーズ)
★永野 紗弥香(170cm / 21歳 / 立命館大学)
★平賀 真帆(172cm / 21歳 / デンソー アイリス)
上野 心音(177cm / 21歳 / 筑波大学)
★佐々木 凜(177cm / 20歳 / 白鷗大学)
★八木 悠香(177cm / 20歳 / ENEOSサンフラワーズ)
★大上 粋奈(181cm / 20歳 / 大阪体育大学)
★東 小姫(177cm / 20歳 / 白鷗大学)
★鈴木 花音(174cm / 20歳 / 筑波大学)
★下井 陽和(162cm / 20歳 / 日本女子体育大学)
★堀内 桜花(167cm / 19歳 / シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)
★白石 弥桜(184cm / 19歳 / デンソー アイリス)
※★はディベロップメントキャンプから追加招集メンバー
※年齢・所属は3月1日時点
■スタッフ
チームリーダー 安部 建太朗(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ 前田 有香(公益財団法人日本バスケットボール協会)
コーチ 伊集 南(株式会社デンソー)
アスレチックトレーナー 岡本 香織(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレチックトレーナー 村木 亮子(JIN整形外科スポーツクリニック)
アスレチックトレーナー 山本 愛乃
アスレチックトレーナー 竹内 里子
チームマネージャー 稲葉 一政(公益財団法人日本バスケットボール協会)
サポートスタッフ 横井 美沙(FLOWLISH GUNMA)
サポートスタッフ 本田 奈緒子(MAURICE LACROIX)
サポートスタッフ 仲上 真央(早稲田大学)
サポートスタッフ 前田 殊伽(日本女子体育大学)

文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)







