桶谷ジャパン初勝利! 鬼門の3Qを凌ぎ、齋藤拓実が値千金の3Pシュート!

“2日前の教訓”が生んだ韓国戦の勝利。チームで掴んだ大きな1勝
“同じ轍は踏まない”――そんな決意が見られた試合となった。3月1日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選 Window2」、男子日本代表は沖縄サントリーアリーナで同じく2勝1敗の韓国と対戦。2日前の中国戦と同じく3Qで一度逆転を許す展開となったが、ここから競り合う展開となり、78-72で勝利。3勝1敗、勝ち点7としてグループB首位をキープした。
試合は中国戦と同じく#12渡邊雄太のダンクからスタートした。#24 ジョシュ・ホーキンソンがディフェンスリバウンドを奪って#1 齋藤拓実に託すと速い展開からペイントエリアに侵入。ディフェンスが寄るタイミングで、ペイントに侵入した#18 馬場雄大に合わせると、さらにベースラインに沿ってカッティングしてきた#12 渡邊がボールを受けてダンクという人もボールも動くというきれいな得点だった。

その後もスペーシングを保ってオープンを作り、シュートにつなげた日本。対する韓国はピックプレーでズレを作ってチャンスを作ると、#1イ・ヒョンジュン(長崎)が3Pシュートを決めるなどで加点する。前半は僅差での攻防となった。
そういった中で、目立ったのが人もボールも動くという日本のオフェンスだった。試合開始早々のプレーもそうだが、2Qにも速い展開で#18馬場がフロントコートに運ぶと、右サイドからカッティングした#3安藤誓哉にパス。さらに走り込んできた#12渡邊にボールを渡して得点するなど、韓国ディフェンスがボールウォッチャーになるシーンが目立った。加えて#19西田優大、#13金近廉の3Pシュートで加点するなど良い形も作った日本だが、韓国は#1イが前半だけで13得点6リバウンドとけん引。日本は4点のリードで後半を迎えた。


3Q日本は開始2分で3本のターンオーバーとミスが目立つスタートとなった。このタイミングで韓国#1イに3本目の3Pシュートを射抜かれて2点差となるなど、嫌な雰囲気が立ち込めた。韓国のディフェンスが目立つ展開の中、日本は中国戦との違いを見せた。
2日前、「スイッチされた時にトップでボールが止まってしまうのは日本の課題。そこからいかに次のアクションを起こすか。全員が共通理解を持って動くことが大事になります。2日間でそこを詰めていきたいです」と語っていた#19西田はショットクロック5秒を切ったところでパスを受けると躊躇せずにペイントアタックし得点につなげると、連続失点し2点ビハインドとなったところで#2富樫勇樹が3Pシュートを成功。苦しい中で得点につなげ、3Qは12-17ではあったが、1点ビハインドで4Qを迎えた。

4Q開始直後、韓国は#33イ・スンヒョンのミドルジャンパーをきっかけに連続得点。6点ビハインドとなった日本だが、今度は#12渡邊がショートコーナーからのジャンパー、#1齋藤拓実のスティールからのオフェンスで左ウイングから3Pシュートを射抜き、1点差に戻すとアリーナの熱気を煽るような仕草を見せた。それでも韓国も集中が切れない。#1イがシュート力を披露。残り4分半で再び4点差を付けたのだ。
マッチアップしていた#18馬場は試合後、「スカウティングしながらでも28得点を奪われました。彼で来ると分かっていても、これだけ点を取るのだから”化け物”ですよ」と長崎の仲間である#1イを称えている。それでも、やられてばかりではない。相手エースの3Pシュートから約30秒後、左ウイングでオープンとなると#1齋藤のパスから3Pシュートを成功させた。「何本かいいパスをもらっても決め切れないシチュエーションが出ていたので、どこかでしっかり決めたいという思いでプレーしていたんです。彼らに流れが行きそうだったので、しっかり決めることができて本当に良かったです」と語った#18馬場。言葉どおり、この1本は相手に渡り流れを引き戻すシュートとなり、#24ホーキンソン、#12渡邊の加点で70-67となった。
残り2分、韓国#1イが3Pシュートを放ったプレーで#18馬場がファウル。3本決めれば同点になる局面だったが、2本目はリングに弾かれて失敗に。#24ホーキンソンはこのシーンについて「彼はフリースローを外さない選手。場内ファンのノイズが彼にフリースローを外させたのだと思います。ここは私たちにとって本当に大きなホームコートアドバンテージです」と感謝している。

直後のオフェンス、日本はインバウンズプレーで#19西田が得点。3点差にすると、相手ターンオーバーからのオフェンスで値千金のシュートが飛び出す。
残り1分半からのオフェンス、普通に考えれば2点を狙いに行くシーンだ。トップでボールを保持していた#1齋藤は、#24ホーキンソンのピックを使って左ウイングに進むと強気に3Pシュートを放つ。これが見事リングへと吸い込まれた。
「拓実にはずっと『もうちょっとやっていいんじゃないか』と言っていたんです」とこのシーンを語った#2富樫勇樹だ。「ちょっとパスファーストすぎるというか、もちろんそういう選手なんですけど、もうちょっとアグレッシブにアタックしてもいいんじゃないかなと思うぐらい、できる選手だと思うので。最後のスリーは大きかったですし、今後も含め、彼の力はすごく大きく必要だと思うので、ガード陣でいいコミュニケーションを取りながらやっていきたいなと思います」。
試合は78-72で日本が勝利。#24ホーキンソンがチームトップの24得点に加えて8リバウンドという準ダブルダブルの活躍を見せ、#12渡邊が15得点というスタッツとなったが、オフェンスが停滞する中で得点に繋げられたことは大きな収穫と言える。オフェンスを担当するライアン・リッチマンACの手腕について、#2富樫は「今日の試合だけじゃなく、例えば中国戦のファストブレイクだったりもそうです。そういったプレーはプレーブックにはないもので、試合前やってたりするんです。色々なアイデアがあるのは、やはりさすがだなとは思います」と全幅の信頼を寄せた。
またディフェンスを担当する吉本泰輔ACについては#12渡邊が言及。「ゲーム中のアジャストにしても、引き出しはすごく持ってる方で、どれだけ僕らが対応できるかも大事になってきます。中国戦では、対応に苦しんだところもありましたが、今日は試合を通して、カバレッジをも変えながらやって、ある程度対応できたんじゃないかなというふうに思っています」と手応えをにじませた。
ホームで欲しい1勝を手にした男子代表。桶谷大HCに対して日の丸を背負っての初勝利について質問が飛ぶと「逆に質問したいくらいです。一番最初に勝つって、めちゃくちゃうれしいんですよ。一番最初に何かを成し遂げる。これはめちゃくちゃうれしいです。ただ、それだけです」と笑顔を見せた。
続くWindow3は7月。同3日に中国戦、同6日に敵地での韓国戦となる。1次ラウンドはグループ上位3チームが2次ラウンドに進むことになるが、勝敗も持ち越すことになるため、ぜひとも連勝で終えたい。桶谷HCは「今回、代表での活動は約10日間で練習は8回程度でした。その中で全員が一致団結し、あそこまでの一体感を生み出せたことは本当に素晴らしいことだと思います。これからさらに合宿や練習試合を重ねていけば、もっと良いチームにできるという手応えを感じました。6月に再び集まり、7月のアウェーゲームに臨むのが今から本当に楽しみです」と、さらなるチームの進化に自信をのぞかせた。


写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)







