月刊バスケットボール2月号

男子日本代表、中国に逆転負け「あの場所で手にした課題」

好調の前半とは一転、後半に逆転を許す


沖縄サントリーアリーナは、2023年のFIBAバスケットボール・ワールドカップの日本開催地だ。1次ラウンド、ドイツ、オーストラリアにこそ敗れたものの、フィンランドに対して逆転勝利を収めると、順位決定ラウンドでベネズエラ、カーボベルデに連勝。アジア最上位となる19位で大会を終え、オリンピックパリ2024大会への出場権を手にした。

2月26日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選 Window2」中国戦、沖縄での日本代表戦は、それ以来の試合とあって、オフィシャルのビジュアルには“あの場所(おきなわ)では、負けられない。”というコピーが踊り、場内を盛り上げるPAアナウンサーも「あの雰囲気を作っていきましょう!」「あの熱狂を、あの興奮を再びこの場所で起こしましょう」と呼びかけ。7459人の観客がそれに呼応し、割れんばかりの歓声の中でティップオフを迎えた。



先に得点したのは日本だった。開始50秒、#12渡邊雄太がカットすると、#53アレックス・カークのパスを受けてダンクを成功。#12渡邊はさらにトップから3Pシュートも沈め、#53カークがフリースローを成功。6-0というスタートを切った。
ディフェンスでは速めのピックアップも見せて、#19西田優大、#18馬場雄大がボールマンに対して好プレッシャーをかけて、ペイントアタックを許さず。出鼻をくじかれた中国の選手は、ジャッジに対して不服そうな態度を見せるなど苛立ちを見せていた。全員でリバウンドに参加し、ターンオーバーを誘発するプレッシャーをかけて、速いオフェンスにつなぐ。終盤には#30富永啓生が連続得点。第1クォーターを終えて21-9、上々のスタートを切った。





第2クォーターに入ると、中国もボールマンプレッシャーに対応。ピックプレーからペイントアタックし得点につなぐとディフェンス強度も上げたが、日本はスペーシングのバランスもよくうまくアジャスト。素早いパスムーブから#19西田のレイアップ、ズレができない局面では#12渡邊が技ありのターンショットを決めるスキルを見せ、2桁差を保つ。クォーター終盤には、#18馬場がスティールからダンクを成功。47-33、リードを広げてハーフタイムを迎えた。3Pシュートこそ18.2%(2/11)と低調だった日本だが、FG成功率は54.8%(17/31)。サイズで劣る中、リバウンドで20-16と上回り、7本のターンオーバー(日本は3本)を誘発。「トランジションでスコアされないこと、ペイントエリア内で簡単に失点しないことを徹底します。そこから3ポイントを消しにいく形を作ります。リバウンドで勝つために、相手のターンオーバーを誘うようなアグレッシブな守備を目指します」と語っていた桶谷大HCの目指す姿を体現した前半だった。






ところが後半、思わぬ展開となる。「前半をああいう形で終えられたのは良かったです。課題は第3クォーターの入りで、リードしたところでフワっと入ってしまいました。初戦ならではの噛み合わなさが、タイミングの悪い時に出てしまった印象です」と#18馬場は振り返る。

「後半はディフェンスを強調しました。前半は簡単に点数を与えすぎていた。だから立て直すんだと確認していました」と語ったのは中国のガード、#5リョウ・サンニン。ディフェンス強度を上げた中国に対して、チームショットが作れない日本は開始約6分間無得点となり、13-0というランを許して一気に1ポゼッション差に迫られてしまった。ピックプレーから得点する中国は、#4チャオ・ジーウェイの3Pシュートが当たりだす。日本は残り2分半、キャプテンの#2富樫勇樹を投入すると、#30富永の3Pシュート、2Pシュートをお膳立て。150秒で7得点を奪ったものの、このクォーターは9-25となり、2点ビハインドとして最終クォーターを迎えることになった。



第4クォーター開始21秒、#2富樫は#53カークにディフェンスを引っ掛けてミドルジャンパーを成功。58-58としたが、ピックプレーにうまく対応できない。直後のポゼッション、スクリーンを使った#5リョウ・サンニンはペイントアタックを仕掛けてキックアウト。#26ジュー・ジュンロンに3Pシュートを決められて再びビハインドの状況となった。それでも会場の大声援を受ける中、日本も集中力を持続。#30富永が右ウイングから3Pシュートを決めると、#19西田がドライブし技ありのシュート、ピックを使った#2富樫がトップから3Pシュートを射抜いて中国にリードを許さなかったが、逆転には至らず。
高まる緊迫感の中で、中国が得点につなげたのに対して日本のシュートはリングに嫌われてしまい、残り1分弱で72-82と差をつけられてしまった。日本はファウルゲームを展開。中国はテクニカルファウル、アンスポーツマンライクファウルをコールされる荒れた終盤となったが、5点差まで詰めたのが精一杯だった。後半は33-54、日本は80-87で敗れ、今予選で初黒星を喫した。

記者会見で、桶谷 HCは「前半は素晴らしいペースでしたが、後半の出だしからターンオーバーが増え、スペインピックの対応で混乱しました。ディフェンスで守り勝つゲームにしたかったのですが、我慢しきれずペースを取り戻せませんでした」と初陣でのタフな敗戦を振り返った。#12渡邊は「みんな長くバスケやってきてる中、相手がアジャストしてくることは、ある程度予測していたのに対応できませんでした。ターンオーバーが続いてしまうとリズムが掴めなくなってしまいます。チームのリーダーの1人として、コート上で修正できなかったことは、僕の責任です。そして、その部分は自分たちが成長しなきゃいけない部分だと思っています」と課題を口にした。後半9本のターンオーバーを犯した日本だが、その内6本は第3クォーターに生まれている。

また#19西田は、苦しんだスイッチディフェンスへの対応に言及。「そこが以前からの日本の課題です」と認めると「スイッチされた時にトップでボールが止まってしまうのが現状なので、いかに次のアクションを起こすかが重要です。ボールだけが動いても仕方ないので、全員が共通理解を持って動くことが大事になります。2日間でそこを詰めていきたいです」と語り、「勝ちきれなかった、こぼした試合です。相手に何かされたというより、自分たちのミスやコミュニケーションミスからやられてしまいました」と悔しさをにじませた。



1次ラウンドはグループ上位3チームが突破できるものの、勝敗は2次ラウンドに持ち越しになる。だからこそホームゲームでは確実に白星を挙げたかった。しかし、下を向いている時間はない。大切なのは修正して次戦をものにすること。続いては3月1日、同じく沖縄サントリーアリーナでの韓国戦となる。昨日、韓国はチャイニーズ・タイペイに65-77で敗れているだけに、こちらも集中を高めて挑んでくるだろう。
#12渡邊は「2日後には(韓国戦という)次の試合が控えています。しっかりと映像を見直してコートに戻り、修正すべき点を直して、韓国戦に向けて準備を整えたいと思います」と前を向いた。

ワールドカップの熱狂が残る沖縄で手にしたのは、勝利ではなく次への課題となった。この負けをいかに糧とし、さらなる輝きを見せるか。ワールドカップ本戦への戦いは続く。







写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

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