月刊バスケットボール2月号

『ZERO RISE』舞台&アニメ化!報徳学園バスケ部出身・川上将大さん独占インタビュー

1月12日、都内で開催された「カードファイト!! ヴァンガード 15th Anniversaryブシロード新春大発表会2026」にて、ストリートバスケをテーマにしたブシロードの新クロスメディアプロジェクト『ZERO RISE』の舞台化・アニメ化が発表された。ステージには主要キャスト陣が登場し、5月公演予定の舞台『ZERO RISE』のスペシャルパフォーマンスも披露。イベントは日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語でも世界同時配信され、グローバルな盛り上がりを見せた。
 
イベント終了後、『ZERO RISE』でバリスタ役を務める川上将大さんに独占インタビューを実施。報徳学園中高のバスケ部出身で、今もなお、様々なカテゴリーの動画をチェックしているという川上さんに、学生時代の思い出やプロジェクトに懸ける思いについて存分に語ってもらった。
 

カテゴリー問わず動画を見漁るバスケ好き

ーー本日のイベント、お疲れさまでした。ステージ上で、すばらしいバスケットボールパフォーマンスを披露されましたね。
 
実はかなり緊張していたんですが、いざステージに立つと「もうやるしかない!」という気持ちになりました。僕がお客さんを煽るようなシーンでも、レスポンスをいただけたことがありがたくて、お客さんの空気感のおかげで楽しくパフォーマンスできましたね。バスケ自体は久々でしたが、ベースは体が覚えていたみたいです。ただ、左手のドリブルは不安でした(笑)。
 

ーー『ZERO RISE』はストリートバスケが題材ですが、高校時代にバスケに熱中されていた川上さんにとって、今回のオファーは特別なものだったのではないですか?
 
はい。ものすごく嬉しかったです。今まで、イベントなどのお仕事ではバスケをやる機会がありましたが、役者として舞台のお仕事にバスケが絡むのは初めてで。「最高のお仕事が来てしまった…!」という感じでしたね。思わず母に電話しました(笑)。
 

ーー報徳学園中・高のバスケ部だったそうですね。今でもバスケはお好きですか。
 
今も昔も大好きです。高校時代に一番打ち込んだのがバスケですし、今もBリーグやNBA、ウインターカップ、SOMECITYなどいろいろな試合の動画を見ます。それこそ、結構見るのが大学バスケの動画ですね。単純に面白いですし、大学バスケを見ておくと、あとでBリーグにもつながって楽しいじゃないですか。「あの選手は、あのチームに入るんだ!」とか。いつも勝手に盛り上がっています(笑)。
 

ーーそんなディープな楽しみ方をされているとは驚きです。
 
ハイライト動画とか、ついつい見ちゃうんですよね。本当に昔からずっとバスケが大好きなので、こうしたプロジェクトに関われていることが本当にうれしくて、幸せなことだなと思います。しかも今回はクロスメディアプロジェクトということで、舞台の後にアニメ化もされる。個人的にも、今までやってきた役者のお仕事に加えて、初めて声優のお仕事にも挑戦させてもらえるということで、すごくワクワクしています。中には「舞台俳優が声優なんてできるの?」って思う方もいるかもしれませんが、それを良い意味で裏切ることができたらと思っています。



バスケとの出会いと報徳学園時代

ーー改めて、バスケを始めたきっかけを教えてください。
 
始めたのは遅くて、中学1年の秋頃です。小学生の頃は少年野球、中学では最初なぜかサッカー部に入りました。でも自分に向いていないなと思ってサッカー部を辞めて帰宅部になろうとしたら、担任の先生が「もったいない! 身長も高いんだから次の部活を見つけろ!」と言って退部届をくれなくて(笑)。報徳学園は文武両道を大事にする校風で、部活動がめちゃくちゃ盛んなんですよ。それで帰宅部の道を絶たれ、母もバスケ経験者だったので、中1の秋に体験入部してみたのがきっかけです。
 

ーー野球やサッカーよりも、バスケの方が自分に合っていると感じられたのですね。
 
最初の体験で、当時の中学の監督から「タッパがあるから、ゴール下で両手を高く上げて立ってなさい」と指示されて、言われるがまま立っていたら、不思議と先輩たちのレイアップシュートが手に当たったんです。で、周りのみんなが「ナイスブロック!」とか「天才?」って褒めてくれて、「立ってるだけでこんなに褒められるスポーツがあんねや!」と思い、入部を決めました(笑)。
 

ーー報徳学園中といえば、2023年に全国中学校大会にも出場した強豪だと思いますが、当時は?
 
今みたいに全国クラスでは全然なくて、めっちゃ弱かったです。地区予選1回戦負けも普通で、とにかく楽しくバスケをする感じでしたね。だから高校に進んだとき、「バスケってこんなに頭を使うんや」って衝撃を受けた記憶があります。中学では本能のままにボールを追うだけで、戦術も何もなかったので…。転がったボールにみんなで飛び込む、猫みたいな感じでした(笑)。
 

ーー中学卒業後は附属の報徳学園高にそのまま進学し、田中敬コーチの下で3年間を過ごしました。
 
高校では、僕らの学年が田中先生がリクルートした最初の代で、いわば田中先生に3年間教わった門下生の第1期でした。僕は高校でバスケを続けるか迷っていたのですが、中3の頃、毎日のように田中先生が中学の棟まで来て「高校でもバスケ部に入れよ」と誘ってくるので、入ることになりましたね。それで田中先生が声をかけた選手たちが外部の中学からも結構入学してきたんですが、当時はまだ無名校だったので、県外の選手もいなければ兵庫県選抜に入るような目立つ選手も全然いない。いたとしても市選抜レベルで、そういう仲間たちとゼロからのスタートでした。
 

ーーまさに、チームがこれから強くなっていくタイミングだったのですね。
 
そうです。最初は無名の選手ばかりで弱かったんですが、田中先生の人脈で、実業団や社会人の強豪チームと練習試合をする機会がたくさんあって。そのうちに徐々に力がついて、高校生を相手にしたときに「意外とやれるじゃん!」と思うことが増えていきました。たまたま弱小の中学から上がった僕なんかは、まさに下剋上の面白さを一番体感していたかもしれませんね。3年生のときには県3位になれて、それも創部初のことでした。
 

下剋上の面白さを知った高校時代の青春

ーー高校時代、練習は相当ハードだったのでは?
 
かなり厳しかったですね。特に僕は、人一倍に叱られてきたかなと。当時は「なんで俺ばっかり」と思うこともあったのですが、スタメンで試合に出させてもらっていたし、先生の期待があったからだと今は思えます。自分たちより格上のチームに勝つために、練習はめちゃくちゃキツくてしんどかったけれど、それが青春でしたね。
 

ーー近年の報徳学園にはディフェンス重視の印象がありますが、当時もですか?
 
そうですね。田中先生はすごくチームディフェンスを大事にしている先生で、徹底して教えてくれました。オールコートプレスやゾーンディフェンスなど、「本当にこんなシチュエーションが来るのか?」という地味な反復練習も多かったんです。でも、いざ試合になると、相手がめっちゃ僕らのディフェンスにハマってくれるんですよ。面白いように何度もパスカットできたときには「本当に練習してきたシチュエーションが起きた!」と感動しましたね。
 

ーー高校時代、特に心に残っている大会は?
 
3年生のときのインターハイ予選ですね。当時は上位4チームによる総当たりの決勝リーグ方式だったんですが、まず接戦でトーナメントを勝ち上がって決勝リーグに進むことができ、そこで全国出場の2枠を争うことになりました。その年は、渡邊翔太選手(現・福島)のいる関西学院が圧倒的に強くて、2枠目を僕ら報徳学園、育英、神戸村野工業(現・彩星工科)の3チームで争ったんです。中でも育英はやっぱり県内一の伝統校。僕らも入学以来、一度も勝てたことがない相手でした。でも迎えた育英戦は大接戦になって、忘れもしませんが、残り13秒くらいに相手のバスケットカウントで逆転され、それでも最後にうちのエースだった選手が決め返し、大逆転で勝つことができたんです。
 

ーーそれは劇的な試合でしたね。
 
めちゃくちゃ熱かったです。いつもチームオフェンスやチームディフェンスを大事にする田中先生が、逆転されたときに初めて「4人は外に寄れ。エースに託すから、やってこい」と、アイソレーションを指示したんです。それでうちのエースの選手が1対1を仕掛けて。これ、マジな話なんですけど、最後のシュートは本当にスローモーションに感じました。ボールがリングの上を1周くるって回って、2周目くるって回って…スポンっと入った瞬間、3面ある大きな会場がドワーッ!と沸きましたね。それが高校入学以来、初めて育英に勝てた試合でした。でも、まるで『SLAM DUNK』のような展開なのですが、僕らはその育英戦に全てを使い果たしてしまって…。次の試合では、練習試合で勝っていた村野工業にボコボコにされました。僕自身、ファウルトラブルで何もできなかったですね。それで結局、決勝リーグは関西学院が3戦全勝、うちと育英と村野工業が3チームとも1勝2敗で並んで、得失点差でギリギリ全国には出られませんでした。
 

ーー同年のウインターカップ予選はどうだったんですか?
 
当時はもう一校、神戸科学技術が強かったんですよ。でもインターハイ予選のときは、そこが関西学院と当たってベスト8敗退だったんです。それで僕たち、冬のウインターカップ予選ではその神戸科学技術と同じ山に入って、準々決勝で当たることになり。下馬評的には、うちより神戸科学技術の方が強いと見られていて、うちは「神戸科学技術に当たらなかったから、夏はベスト4に入れたんだろう」と言われていました。だから、そういう評判が悔しくて、絶対に勝って見返してやろうと思って試合に臨んだんです。ただ、これは言い訳になってしまいますが、うちはエースを含むスタメンの3人がケガで抜けていました。それで神戸科学技術に力及ばず、それが高校最後の試合になりましたね。めっちゃ悔しくて、初めて試合に負けて泣きました。普段、泣くことなんて全然ないんですけど…。
 

ーーそれは悔しい引退試合でしたね。卒業後、母校の報徳学園のことはどう見ていますか?
 
もちろん、めちゃくちゃ応援しています。今シーズンも会場には行けなかったんですが、映像で追いかけていました。いつも報徳の試合だけは、県予選からハイライトではなくフルゲームで映像を見ますね。今回のウインターカップは、まず組み合わせが出たときに「うわ、いきなり大濠かよ…!」と驚きました。ただ、結果的には負けてしまったけれど、日本一のチームと対戦できたことは選手たちにとって貴重な経験ですよね。報徳は今や毎年全国に出るような強豪になって、田中先生の1期生として本当に誇らしいです。やっぱり高校バスケは熱くて面白いなと思いますし、改めて自分も全国に出たかったなと。ちなみに、僕の妹は別の高校でしっかり全国出場していて、自分よりすごいんですよ(笑)。
 

役者と“チームスポーツ”の共通点

ーー現在は役者として活躍されていますが、高校時代の学びが今に生きていることはありますか?
 
僕の中では今の仕事も、ある種の“チームスポーツ”的な側面があると思っているので、高校時代の経験はすごく今に生きています。一つの作品を、個人ではなくみんなで協力しながら作っていく。熱量を持っている人たちが集まって、切磋琢磨というか、お互い感化されると、どんどん作品が熱くなっていくんです。目標に向かってみんなで一喜一憂しながら突き進むのが本当に楽しいし、みんなで作り上げたものをお客さんに届けられて、カーテンコールで拍手をもらえたときなんか、もうたまらない喜びです。それは個人競技よりチーム競技が好きな自分の性格や人生観にもすごく合っていて、勝手に自分の天職だと思っていますね。だからこそ、僕の感覚としては稽古は部活の練習、本番は試合、千秋楽は引退試合のように感じています。逆に言えば今、高校などで部活を頑張っている子たちには、たとえプロの選手になれなくても、僕のように頑張ってきたことが将来に生きることもあるよ、まだまだ青春を味わえるよと伝えたいですね。
 

ーー舞台「ZERO RISE」では、バリスタ役を務めます。キャラクターにはどんな印象がありますか?
 
僕、小さい頃から悪役、ヴィランが大好きなんです。どんなアニメを見ていても、だいたい敵キャラを好きになる。家にも敵キャラのおもちゃばっかりありました。今回のバリスタもそうした立ち位置で、しかも100%の悪者というわけではなく、彼には彼の正義がある“愛されヴィラン”のような存在。自分がたとえほかの役だったとしてもバリスタは大好きになったキャラクターだと思うので、演じられて本当に楽しいです。
 


ーーご自身の大好きなバスケ、しかも大好きな悪役ということで、何か運命を感じますね。しかも、ゼロから這い上がろうとする若者たちを描いた作品だとお伺いしました。川上さんの高校時代とも重なるのでは?
 
そうなんです。まさしく、この作品が描こうとしている這い上がる経験や下剋上は、高校時代にたくさんしてきたので、作品とリンクしていると感じます。自分もよく知っているそういう面白さ、熱量を、舞台上でしっかり表現したいです。
 

ーー舞台上でバスケを表現する際、こだわりたい点は?
 
出演する役者の中にはバスケ未経験者もいますが、経験者の僕から見ても普通に舞台でドリブルをついて、テクニックを見せて、というのはすごいことだと思います。今後もみんなでどんどん練習を積み上げていって、5月の本番ではバスケの魅力を生々しく伝えたいですね。そして何より、バスケの“熱量”を大事にしたい。高校時代のあの頃の記憶、「負けたくない」とか「這い上がりたい」といった感情を、舞台にぶつけて表現したいです。記憶を呼び起こすというより、自然とそうなっていく気がしています。
 

ーーご自身の経験が、いろいろな面で活かされそうですね。
 
そうですね。本当に僕自身、バスケが大好きで、スポーツが持つ“熱量”のすばらしさを高校時代に知ったので、それを舞台でも大事にしたいなと思っています。しかも、ありがたいことに今回は僕たちの舞台が出発点となるプロジェクト。だから見に来てくださるお客さんに、舞台に没入して「どっちが勝つんだろう?」と手に汗握ってもらえる舞台にしたいなと。もちろん、結末が決まっている原作がある作品においても、これまで僕はどっちが勝つのか分からなくなるような熱量を目指してやってきたつもりです。ただ、今回はなおさら、新しくつくりあげる結末の分からない緊張感を最大限にお届けできればなと。今、バスケというスポーツ自体、日本でもどんどん注目度が上がっていると思いますが、このプロジェクトを通じてさらにバスケの魅力が広まってくれたらうれしいです。舞台もアニメも、この「ZERO RISE」がたくさんの人に愛してもらえたらと、強く思いますね。



Profile
川上 将大
かわかみ・しょうた
1993年4月8日生まれ/兵庫県出身/186cm/ギャレエンタテインメント所属




取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

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