月刊バスケットボール2月号

決勝はA東京vs三河に! 小酒部の勝負強さと三河の鉄壁守備が光った準決勝[天皇杯準決勝]

1月6日からスタートした天皇杯ファイナルラウンド。1月10日には準決勝が国立代々木競技場第1体育館で開催された。

A東京が三遠との激闘を制す


第1試合はアルバルク東京と三遠ネオフェニックスの一戦。A東京は昨シーズンの天皇杯ファイナリスト。琉球ゴールデンキングスに優勝を阻まれ、今回はその悔しさを晴らすべく勝ち上がってきた。三遠も昨シーズンはセミファイナルまで進出しており、さらに上を目指しての戦いだ。

A東京がペースを握り、試合を主導していくなか、三遠はデイビッド・ヌワバを中心に食らいつくと、途中出場の大浦颯太が流れを変える働きを見せる。それでも3Pシュート好調のA東京が44-35とリードを奪って前半を終えた。




後半、A東京が点差を開きにかかったが三遠も盛り返し、2桁差、1桁点差を行き来する展開に。三遠のビハインドは変わらないものの、A東京も突き放しきれないまま時間が過ぎていく。我慢が続いた三遠だったが、3Q終盤に入ると津屋一球、大浦が3Pシュート沈め、56-61と反撃。いい流れを作って最終クォーターへ突入した。

すると4Q開始からヌワバ、大浦が3Pシュートを連続して決め、ついに62-61と逆転に成功。ここから一進一退の攻防となる。A東京はマーカス・フォスターが確実に得点を積み重ね、三遠はヌワバがけん引。三遠が一歩リードしたが、A東京・小酒部泰暉の連続得点で追い付く。75-75の同点で残り2分を切った。ここでA東京は再度、小酒部にボールを託す。

司令塔のテーブス海は「小酒部が乗っていたので、彼がアタックできるプレー、彼が判断できるプレーを選択しました。普段だったら自分や、ライアン(ロシター)で打開することが多いんですけど、あそこまで乗っていたら、僕らもスペースを作って小酒部にやらせるべきだなと思ったので。その期待に応えてくれて、本当にさすがです」と振り返る。



小酒部自身も「コーチも信頼して託してくれたので、もうやるしかないなという気持ちでやり切りました」と3連続となるゴールアタックで77-75と前に出ると、そのまま逃げ切り80-75で決勝進出を決めた。

試合後デイニアス・アドマイティスHCは「終盤の勝負どころで相手にスコアをさせず、我々が逆に9-0のランを作ってしっかりゲームを勝ち切ったこと。これは選手たちがコート上で見せてくれた、本当にすばらしい仕事だったと思います」と満足げに口にした。

ライアン・ロシターは「4点ビハインドになった場面でも、僕らは諦めずに『大丈夫だ、1回のストップと1回のスコアを決めれば勝てる』と声を掛け合い、それを実行することができました。月曜日の決勝に向けても、この集中力を維持していきたいです」と決勝に気持ちを向けた。






三河が4Qわずか5失点に抑えて決勝へ


第2試合は宇都宮ブレックス、シーホース三河が対戦。昨シーズンのBリーグチャンピオンの宇都宮は、天皇杯ではこれまで3度決勝に進出しているが、いまだ優勝はない。対する三河はアイシン時代に9回の優勝を果たしているものの、2015年度の優勝を最後に、Bリーグ発足後は決勝進出を果たせていない。その2015年度の天皇杯決勝で対戦したのが宇都宮(当時リンク栃木)だ。

三河は準々決勝で21得点の活躍を見せた石井講祐が、この試合も開始早々に3Pシュートを決める。鵤誠司、星川開聖の2人を今大会初めてスターターに起用した宇都宮は、その星川が3Pシュートを決め返し、起用に答える。その後も両者互いの持ち味を出し合いながら19-17と三河がわずかにリードし1Qを終えた。



2Qに入ると三河がディフェンスからリズムを作り、徐々に点差を開いていく。宇都宮は得点が伸びないなか、ディフェンスで我慢する時間が続く。フィールドゴールの成功率が上がらない中、ギャビン・エドワーズがオフェンスリバウンドで奮闘するも、三河は石井が攻防で仕事をこなすと、西田優大の3Pシュートも決まり、36-25と2桁のリードを奪って前半を終えた。



後半に入り、宇都宮は何度も流れを呼び込もうとするが、そのたびに三河がオフェンスリバウンドや3Pシュートで流れを渡さない。唯一の不安はインサイドの柱、ダバンテ・ガードナーが4ファウルとなってしまったこと。ガードナーがベンチに下がったのを機に、宇都宮はアイザック・フォトゥがインサイドで存在感を見せ、48-53と追い上げて最終クォーターへ。

4Qが始まると三河の須田侑太郎が3Pシュート。宇都宮は比江島慎が決め返して再び5点差に戻したが、そのあとが続かない。三河の堅固なディフェンスを崩すことができずに、そのままずるずると点差を開かれてしまった。

「相手の激しさに対して、対応しきれませんでした。また、3Pシュートもなかなか入らず、相手はペイントを締めてくるチームなので、あそこまで3Pシュートが入らないと、こういう結果になってしまうのかなと思います。その中でも我慢してやってはいたのですが、最後はやはり集中力が切れてしまいました」と比江島。宇都宮は4Qで5得点にとどまり、53-71で敗退となった。



会心の勝利となった三河のライアン・リッチマンHCは「ディフェンス面がとてもすばらしかったと感じています。我々がしっかりとゲームプランに則って遂行できたことが、今日の結果に如実に現れていました」と振り返る。西田も「40分間、自分たちのディフェンスを遂行できたと思います。石井さんや須田(侑太郎)さんが持つ『勝つメンタリティ』をチームに浸透させてくれ、ルーズボール一つ、チェック一つといったプレーが自分たちの勝ちを引き寄せる鍵になりました。集中力を切らさずに戦えた結果が勝利に結びついたと思います」と同意する。

千葉ジェッツで3連覇、サンロッカーズ渋谷でも優勝を経験している石井は「タイトルを獲ることの大きさを理解しています。決勝の舞台を楽しみつつ、三河のバスケットボールを40分間ハードに戦い続けて示したいです」とチームを頂点に導こうとしている。

決勝は1月12日。アルバルク東京対シーホース三河。2000年代、企業チームからプロクラブへと生まれ変わっていく過程の中で、天皇杯を競い合ってきた古豪クラブによる一戦。現在のファンも、昔ながらのファンも、楽しませてくれる戦いになるだろう。





[天皇杯 準決勝結果]
第1試合 アルバルク東京 80 - 75 三遠ネオフェニックス
第2試合 宇都宮ブレックス 53 - 71 シーホース三河

[決勝]1月12日 (月・祝) @国立代々木競技場第1体育館
15:00~ アルバルク東京 vs. シーホース三河



文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/吉田宗彦

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