「馬場がトーンセットしてくれた」自然体の馬場雄大が見せた数字以上の貢献

見事な全員バスケットでの勝利だったと言えるだろう。
「FIBAワールドカップ2027アジア地区予選Window1」の初戦、チャイニーズ・タイペイを迎えた男子日本代表は、神戸市のジーライオンアリーナ神戸に集まった9254人のファンを大熱狂させた。
相手の出鼻をくじいた
スターティング5は齋藤拓実、西田優大、馬場雄大、渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソン。1Qの爆発力に警戒が必要なチャイニーズ・タイペイの出鼻を、馬場がくじいてみせた。
この試合で両チーム通じて初めての得点を、鮮やかなバックカットからのレイアップで沈めると、ディフェンスでも相手のポイントガードに前から激しくプレッシャーをかけた。「馬場がトーンセットしてくれた」。試合後の取材対応で原修太が開口一番に語った言葉が、振り返ればこの試合の全てだったように思うほど、攻防における馬場のインパクトは大きかった。


彼が作った「トーン」に合わせるように、渡邊が速攻やアリウープダンクで会場を沸かせ、途中出場の富永啓生も得意の3Pシュートをおとりにペイントに切り込み、効果的な得点をチームに供給。齋藤やホーキンソンも追随し、1Qの最後には馬場がハーフコートブザービーターを決め切って、23-10という最高の滑り出しを締め括った。
結果的に、そこから常に2桁得点以上の差を付ける一方的な試合運びで、最大リードは31点。90-64というスコアは、勝利とともに後々の得失点差を考える意味でも価値の高い結果となった。個人スタッツに目を向けると渡邊がチーム最多の20得点、馬場とホーキンソンがそれぞれ14得点、富永が13得点と続き、彼ら以外にも6選手が3得点以上を記録。トム・ホーバスHCが掲げた「No Lag(遅れやズレがない)」という言葉をまさに体現した、新生・日本代表が目指す試合運びだったと言えるだろう。
「アジアカップではポイントガードに頼ってしまって、周りが止まってボールも止まるケースがありました。全員が動きながらラグをなくすという意味で、全員が得点源になれるようなバスケットボールを短い合宿期間で準備してきて、それを本当に最初から表現することができました」
馬場はこのように試合を振り返った。

自然体なプレーで見せた
彼自身のプレーもこれまでの代表戦以上に自然体でリラックスしているように映った。渡邊は「この合宿中は何だかいつもよりもリラックスしているような感じに見えたので、その辺りも良いプレーにつながったんじゃないかと思います」と馬場について話し、この試合の彼のプレーについて、「まずディフェンスで相手のエースを完全に抑えてくれたので。そこは本人が一番強みにしている部分だと思いますし、そういうことがうまくできて、それがオフェンスにも良い形でつながったんだと思います。やっぱり彼の良さは、走り出しの速さやカッティングの鋭さ。僕たちが彼のカッティングのタイミングなどにしっかり合わせることができれば、彼をより生かすプレーを出せると思っていました。そういった意味では、今日の速攻やカッティングからのレイアップは彼のしたいようなプレーで、それを僕たちがさせてあげることができたんじゃないかなと思います」と語った。
馬場自身も渡邊のコメントと同様の感覚を得ていた。この試合は特別シュートタッチが良かったわけではないが、ディフェンスで激しくプレッシャーをかけ、走り、カットし、空けば3Pを打つ──そうやってシンプルなプレーから稼いだ14得点と3本のスティール、そしてプラスマイナスの+17とエフィシェンシー+17という数字、そして、その数字以上のインパクトをゲームにもたらした様は、まさしく“ヴィンテージ馬場雄大”のそれだったと言っていい。


ホーバスHCも馬場に大きな賛辞を送る。FIBA主管における国内試合後の記者会見は、前半が英語で実施されるのだが、この英語パートの約10分間でホーバスHCは3度も馬場を賞賛した。馬場個人の活躍について聞かれた質問はなかったのにもかかわらず、だ。
「馬場は相手のオフェンスを本当にかき乱してくれました。オンボールディフェンスもすばらしかったです。相手にリングまでのドライブを許さなかった。全員が守備で一体となっていました。とても良かったです」
馬場に相手のPGをマークさせる前提で、西田をSFに、齋藤をSGにぶつけるラインナップを選んだ。ホーバスHCの起用意図と信頼に、馬場が100%応えた形だ。
本人も「トム監督が僕を信用して使ってくれたので、自信を持ってやりました。対策どうこうというよりは、まず個々の戦いで負けている場合ではない、ここで止まっている日本代表でもないと思っていたので、僕が先陣を切って(ディフェンスで)上からプレッシャーをかけていました」と、話した。
日本らしさを取り戻せたか?──そんな質問が飛ぶと、彼は少し考えてこう答えた。
「河村(勇輝)選手や八村(塁)選手が入ったときには、“日本らしさ”はまた変わると思うんですけど、今いる選手たちという意味では、このバスケが一番の日本らしさなのかなと思いました。それをほかの選手も感じていると思うので。みんなが動きながら、誰かがメインというよりも全員で戦っていくところは、日本らしさにつながるかなと思います」
振り返れば、「FIBAワールドカップ2023」の開幕直前の強化試合で、ホーバスHCは「馬場には馬場らしくプレーしてもらいたい」と語っており、それが表現された日の日本代表は必ずといっていいほど試合に勝っていた。
馬場が馬場らしくあるかどうか──それは、日本代表を計るバロメーターなのかもしれない。



「FIBAワールドカップ2027アジア地区予選Window1」の初戦、チャイニーズ・タイペイを迎えた男子日本代表は、神戸市のジーライオンアリーナ神戸に集まった9254人のファンを大熱狂させた。
相手の出鼻をくじいた
カッティングとディフェンス
スターティング5は齋藤拓実、西田優大、馬場雄大、渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソン。1Qの爆発力に警戒が必要なチャイニーズ・タイペイの出鼻を、馬場がくじいてみせた。この試合で両チーム通じて初めての得点を、鮮やかなバックカットからのレイアップで沈めると、ディフェンスでも相手のポイントガードに前から激しくプレッシャーをかけた。「馬場がトーンセットしてくれた」。試合後の取材対応で原修太が開口一番に語った言葉が、振り返ればこの試合の全てだったように思うほど、攻防における馬場のインパクトは大きかった。


彼が作った「トーン」に合わせるように、渡邊が速攻やアリウープダンクで会場を沸かせ、途中出場の富永啓生も得意の3Pシュートをおとりにペイントに切り込み、効果的な得点をチームに供給。齋藤やホーキンソンも追随し、1Qの最後には馬場がハーフコートブザービーターを決め切って、23-10という最高の滑り出しを締め括った。
結果的に、そこから常に2桁得点以上の差を付ける一方的な試合運びで、最大リードは31点。90-64というスコアは、勝利とともに後々の得失点差を考える意味でも価値の高い結果となった。個人スタッツに目を向けると渡邊がチーム最多の20得点、馬場とホーキンソンがそれぞれ14得点、富永が13得点と続き、彼ら以外にも6選手が3得点以上を記録。トム・ホーバスHCが掲げた「No Lag(遅れやズレがない)」という言葉をまさに体現した、新生・日本代表が目指す試合運びだったと言えるだろう。
「アジアカップではポイントガードに頼ってしまって、周りが止まってボールも止まるケースがありました。全員が動きながらラグをなくすという意味で、全員が得点源になれるようなバスケットボールを短い合宿期間で準備してきて、それを本当に最初から表現することができました」
馬場はこのように試合を振り返った。

自然体なプレーで見せた
本来の“馬場らしさ”
彼自身のプレーもこれまでの代表戦以上に自然体でリラックスしているように映った。渡邊は「この合宿中は何だかいつもよりもリラックスしているような感じに見えたので、その辺りも良いプレーにつながったんじゃないかと思います」と馬場について話し、この試合の彼のプレーについて、「まずディフェンスで相手のエースを完全に抑えてくれたので。そこは本人が一番強みにしている部分だと思いますし、そういうことがうまくできて、それがオフェンスにも良い形でつながったんだと思います。やっぱり彼の良さは、走り出しの速さやカッティングの鋭さ。僕たちが彼のカッティングのタイミングなどにしっかり合わせることができれば、彼をより生かすプレーを出せると思っていました。そういった意味では、今日の速攻やカッティングからのレイアップは彼のしたいようなプレーで、それを僕たちがさせてあげることができたんじゃないかなと思います」と語った。
馬場自身も渡邊のコメントと同様の感覚を得ていた。この試合は特別シュートタッチが良かったわけではないが、ディフェンスで激しくプレッシャーをかけ、走り、カットし、空けば3Pを打つ──そうやってシンプルなプレーから稼いだ14得点と3本のスティール、そしてプラスマイナスの+17とエフィシェンシー+17という数字、そして、その数字以上のインパクトをゲームにもたらした様は、まさしく“ヴィンテージ馬場雄大”のそれだったと言っていい。


ホーバスHCも馬場に大きな賛辞を送る。FIBA主管における国内試合後の記者会見は、前半が英語で実施されるのだが、この英語パートの約10分間でホーバスHCは3度も馬場を賞賛した。馬場個人の活躍について聞かれた質問はなかったのにもかかわらず、だ。
「馬場は相手のオフェンスを本当にかき乱してくれました。オンボールディフェンスもすばらしかったです。相手にリングまでのドライブを許さなかった。全員が守備で一体となっていました。とても良かったです」
馬場に相手のPGをマークさせる前提で、西田をSFに、齋藤をSGにぶつけるラインナップを選んだ。ホーバスHCの起用意図と信頼に、馬場が100%応えた形だ。
本人も「トム監督が僕を信用して使ってくれたので、自信を持ってやりました。対策どうこうというよりは、まず個々の戦いで負けている場合ではない、ここで止まっている日本代表でもないと思っていたので、僕が先陣を切って(ディフェンスで)上からプレッシャーをかけていました」と、話した。
日本らしさを取り戻せたか?──そんな質問が飛ぶと、彼は少し考えてこう答えた。
「河村(勇輝)選手や八村(塁)選手が入ったときには、“日本らしさ”はまた変わると思うんですけど、今いる選手たちという意味では、このバスケが一番の日本らしさなのかなと思いました。それをほかの選手も感じていると思うので。みんなが動きながら、誰かがメインというよりも全員で戦っていくところは、日本らしさにつながるかなと思います」
振り返れば、「FIBAワールドカップ2023」の開幕直前の強化試合で、ホーバスHCは「馬場には馬場らしくプレーしてもらいたい」と語っており、それが表現された日の日本代表は必ずといっていいほど試合に勝っていた。
馬場が馬場らしくあるかどうか──それは、日本代表を計るバロメーターなのかもしれない。



写真/中川和泉、文/堀内涼(月刊バスケットボール)






