月刊バスケットボール12月号

Bリーグ

2025.11.25

名古屋Dの連覇か北海道の復権か、決勝カードが決定! [インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025]

B.LEAGUE U18を象徴する2チームが決勝へ


決勝に勝ち上がったのは、カテゴリー設立当初からB.LEAGUE U18文化を築いてきた象徴的な2チームだった。11月25日、「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」(会場:栃木県・日環アリーナ栃木)大会4日目、準決勝が行われて前年王者・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18が5年連続5度目、レバンガ北海道 U18が2年ぶり4度目となる決勝進出を決めた。

今大会は、B.LEAGUE U18チームの文化構築と醸成を目的に開催されるもの。B.LEAGUEのミッションである『世界に通用する選手やチームの輩出』に向け、個人の能力に応じた育成強化の環境を形成する機会としても位置づけられている。


昨日に続いて3Pシュートが好調だった名古屋D U18#2若野



SR渋谷 U18の気迫を受け止め、名古屋Dが盤石の勝利


第1試合で行われたのは名古屋D U18対サンロッカーズ渋谷 U18。両者は今年9月に「インフロニア B.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」で対戦し、名古屋D U18が91-55で快勝している。「覚悟の違いを見せられました」と語っていたのはSR渋谷 U18の秋葉真司HC。スタメンの#19安齋寛都は昨日、「あの試合で自分たちが気づかされたことが多かったんです。そこからずっと名古屋Dを超えるべく歯を食いしばって練習してきました。もう一度、自分たちの力をぶつけたいという思いです」と語っていた。

試合では、そんな気迫を試合開始から披露する。ボールマンにプレッシャーをかけてミスを引き出し、ペイントでスペースを与えない。さらに何としても奪ってやろうとリバウンドに飛び込む。名古屋D U18のキャプテン#2若野瑛太は「リバウンドも強かったですし、ディフェンスのプレッシャーも高かった。相手の気合いを感じました」と振り返る。
それでも名古屋D U18には状況を打開する力がある。昨日の準々決勝で大会最多タイとなる8本の3Pシュートを沈めた#2若野は本日もシュートタッチがよく、前半だけで4本の3Pシュートを成功。仲間につられてか、#9春田結斗も連続して3Pシュートを決めるなど3Pシュートでスコアを伸ばし、13点差を付けてハーフタイムを迎えた。巻き返したいSR渋谷は第3クォーター、ボールマンへの寄りを厳しくし、開始4分で9-2のラン。#10棚橋康成、#19安齋寛都がタフショットを決めると、中学3年生にしてU18に籍を置く#47山野井皓も得点源になったが、名古屋D U18の勢いを止めるには十分ではなかった。#2若野、#6小川莞大、#9春田という3年生に加えて、1年生の#11佐藤駿のシュートで残り5分から18-5のランを作り、60-39として第4クォーターを迎えた。

残り10分で21点ビハインドはヘッドダウンしてもおかしくない状況。しかし、SR渋谷 U18は最後まで気迫のディフェンスを見せて追い上げを図った。試合後、名古屋D U18山下諒HCは相手の姿勢について「相手は最後の最後までしっかりディフェンスを徹底してきました。それは僕らにとって嫌なことですし、本当にいいチームだなと感じていました」と、ライバルの健闘を称賛した。果たして名古屋D U18は72-58で勝利し、5年連続5度目の決勝進出を決めた。


ビハインドの中、SR渋谷 U18は最後まで集中力を切らさなかった



伝統の北海道が大阪を撃破。2年ぶりの王座奪還へ


第2試合では、北海道 U18と大阪エヴェッサ U18が決勝進出を懸けて激突した。大阪 U18は今大会のサプライズチームと言える。初戦となる2回戦で長崎ヴェルカ U18を下すと、3回戦では前年準優勝の千葉J U18にわずか1点差で劇的勝利を果たすと、準々決勝では第1クォーターで6-29というビハインドとなりながら、79-75で勝ちきった。最も勢いに乗っているチームと言ってもいいだろう。“日本一”を目標に掲げて今大会に臨んだ大阪U18の鳥和成HCは「北海道さんは歴史もあるチームで選手たちに自主性がある本当に嫌なチーム。胸を借りるつもりで思い切ってやるだけです」と語っていた。


強い気迫を見せた北海道 U18キャプテンの#11安藤煌太朗

試合は、北海道 U18が開始5分で16-3とリードを作るところからスタート。“自主性を持つ” 3年生が高い決定力でシュートを沈め、リードを広げていった。特に強い気迫を見せたのがキャプテンの#11安藤煌太朗。「昨年、準決勝で敗れた悔しさは今でも残っています。チームとしてはもちろん、個人としても絶対に勝ちたい。強い思いがプレーに表れたんだと思います」と振り返ったように、攻防で違いを作り、ハーフタイムまでに34-23とリードを作った。

それでも準々決勝が証明するように、大阪 U18は決して諦めることはない。第3クォーターに入るとディフェンス強度を上げて相手オフェンスをスローダウンさせると、#17髙木秀隼、#21羽田瑛人といった選手がシュートをねじ込んでいく。さらに第4クォーター序盤では、#19中石昊希が連続得点。8点差まで縮めたが、ここからが遠かった。北海道 U18は、キックアウトパスから#6木村颯太や#4中川稟太郎が3Pシュートを射抜いてリードを広げると66-54で逃げ切った。


接戦の連続で疲労がたまっている中、全力を出して戦った大阪 U18

2年ぶり、決勝でライバルが相まみえる


今大会の歩みは、北海道U18と名古屋D U18の歩みと重なる。まず、北海道 U18は現在トップチームで活躍する内藤耀悠らが引っ張って2021年大会から3連覇を達成。いずれの大会も準優勝と悔しい思いをしていた名古屋D U18は昨年、現トップチームの今西優斗が中心となって悲願の初優勝を果たした。ある意味、戦い慣れている相手とも感じるが、北海道 U18の齋藤拓也HCは「いえいえ、まったく慣れていませんよ。むしろ戦いたくない相手です」と笑顔を見せた。一方、名古屋D U18の山下HCは「選手たちも仲がよくて、お互いに(決勝で)戦いたいなと考えていたと思います」と語ると、「実は宿舎が同じで朝食の時間も重なっていたので、『最終日の朝、一緒に食事しましょう(=決勝で対戦しましょう)』と齋藤さんに話していたんです」と裏話を打ち明けてくれた。

B.LEAGUE U18を象徴する2チームによる決勝を制するのはどちらか? 決勝は明日26日、13時にティップオフを迎える。

【大会4日目/11月25日(火)試合結果】
<準決勝>
名古屋D 72-58 SR渋谷
北海道 66-54 大阪

【大会最終日/11月26日(水)試合予定】
<3位決定戦>
11:00〜 SR渋谷×大阪
<決勝>
13:00〜 名古屋D×北海道




大会概要

インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025


主催:公益財団法人日本バスケットボール協会、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
主管:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
特別協賛:インフロニア・ホールディングス株式会社
協賛:株式会社モルテン、株式会社サードシップ
日程:2025年11月22日(土)~11月26日(水)
会場:日環アリーナ栃木(所在地:〒321-0152栃木県宇都宮市西川田4-1-1)
出場チーム:40チーム
大会形式:トーナメント(ノックアウト方式)
競技規則:「2025 バスケットボール競技規則 (Official Basketball Rules 2024)」
出場権獲得:上位4チームが「インフロニア B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2026」の出場権を獲得する。





写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

PICK UP

RELATED