月刊バスケットボール12月号

Bリーグ

2025.11.25

琉球 U18・宮里俊佑の現在地「勝ちに導けるPGを目指しています」

「決めなければいけなかった」 チームの命運を背負う覚悟


「この状況をイメージしてずっと練習してきました。自分がやらないといけないという責任も感じて、ずっと練習してきました。それでも最後に決められませんでした」
栃木県・日環アリーナ栃木で開催中の「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」。11月24日の準々決勝で、琉球ゴールデンキングスU18はサンロッカーズ渋谷U18と対戦し、53-61で惜敗となった。後半の勝負どころで最もボールを託された#29宮里俊佑は果敢にリムアタックを繰り返したが、あと一歩及ばず。決め切れなかったシュートを思い、人目もはばからず涙を流した。


試合後、唇を噛み締めた宮里

立ち上がりから、SR渋谷 U18はシュートが好調。前半終了時点で12点のリードを許した琉球U18だが、粘り強さこそがチームの真骨頂である。3Qに入ると、U16日本代表の#13ブレイク ジェレマイヤ、キャプテンの#71名城寿唯のシュートで連続得点すると、3Q後半以降、4Qは#29宮里を中心にオフェンスを展開。電光石火のスピードを生かしてのレイアップ、ファウルをもらっての得点につなげる。当然、SR渋谷 U18もマークを強めたが、それは想定済み。「自分に絶対ヘルプが寄ってくると思っていましたし、オープンになる仲間も見極めてプレーできていました。ヘルプが寄ってきた中でパスを出すことで、自分のドライブが生きてくると信じていました」

しかし、シュートはリングに弾かれるシーンが増えてしまう。「本当に最後、自分が決めなければいけないシュートを落としてしまいました。そこが最大の敗因です」。自分のプレーがチームの命運を左右するというプレッシャーを受け止めたうえで放っていたシュートが得点につなげられない。そんな悔しさが試合後の涙につながった。




インフロニア B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2025で優勝、ベスト5に選ばれた

昨年度、琉球 U15では越圭司(Concordia Lutheran Schools of Omaha)と強力バックコートコンビを組み、Jr.ウインターカップ2024-25で準優勝となり、3月に開催されたインフロニア B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2025ではチームを初優勝に導いた。U15を終えた段階で越がアメリカへ留学したように、高校へ進む選択肢もあった宮里だが、迷わず琉球 U18を選んだ。

「トップが身近にある。それは一つ目指している目標だからこそU18を選びました」と語る宮里は、「勝ちに導けるポイントガードをずっと目指しています」と語る。自分が最も早く成長し、目標に到達できるからこそ琉球 U18を選んだというわけだ。

この夏にはU16日本代表に選出され、FIBA U16アジアカップ2025に出場。FIBA U17ワールドカップへの出場権獲得に貢献した。海外チームを相手にFG成功率45.9%(17/37)、8.7得点、4.2リバウンド、5.3アシストというスタッツを残した宮里だが、「ディフェンスの強度がU15と違う。レベルが上がっていると感じています」と語っているとおり、BリーグU18の強度は新たな挑戦となる。

宮里を指導する浜口炎HCは、「才能的にも人間的にも素晴らしいですし、B1で活躍できる選手へと順調に成長しています」と高く評価しながらも課題は「全部」だと語る。

「バックアップとして難しい状況での出場が多い中、バスケIQの高さを生かしてゲームを立て直してくれました。課題は、フィジカル、ワイドオープンでの3P決定力、ハンドリング、ディフェンスなど全部ですが、彼特有のオフェンスでの緩急のリズムは稀有な才能だと思います」。

すでにトップチームの練習にも参加しているという宮里について、浜口HCは「トップチームの桶谷大コーチと連携しながら、しっかり育てて3年後と言わず、早いうちにトップチームに送り込めるようにこちらも頑張っていきたいと思っています」と未来も見据えている。





3年生でバランサーとしてチームを支える#12桶谷都人も「すでに3年生以上のスキルがあるし、コートにいれば安定感が全然違う」とその力を認める。だからこそ、琉球 U18は彼にボールを託す。宮里も責任を背負ってプレーしたものの、今回は結果に結びつかなかった。同じ場面を何度も経験し、そのたびに“まだ足りない”という悔しさを噛み締めながら練習を積み重ねていくことが、本人が描く「ゲームを勝ちに導けるポイントガード」へとつながっていく。

涙の準々決勝を経て、宮里はまたコートに戻る。今週末にはU18日清食品ブロックリーグで東福岡高戦に臨む予定だ。「勝負を決める場面でのシュート力が本当に必要だと感じています」。悔しさを糧に、宮里はまた一段階成長するはず。その未来に、期待が高まる。


3年生もサポートする





写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

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