SR渋谷 U18・古河シェーンが見せる驚異の成長曲線、バスケ歴1年半ながら存在感を発揮

スパイクが見つからずサッカー断念、バスケの世界へ
栃木県・日環アリーナ栃木で開催中の「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」。大会3日目の11月24日には準々決勝4試合が開催される。昨年に続いてベスト8に駒を進めたサンロッカーズ渋谷U18は昨年大会で激闘を演じた琉球ゴールデンキングス U18と再び対戦する。
各学年に実力者が揃う今年のSR渋谷 U18の中で存在感を放っているのが、高校1年生ながらスタメンとなっている#25 古河シェーン(188cm・88kg・SF/PF)だ。抜群の身体能力を生かしたリバウンド力は、すでにチームに欠かせない軸となっており、初戦となる2回戦の神戸ストークス U18戦(85-77で勝利)で15得点、10リバウンドのダブルダブル、3回戦の茨城ロボッツ戦(84- 46で勝利)で4点、10リバウンドと連続して2桁リバウンドを奪っている。この安定感は、古河自身が「やるべきこと」を明確に理解しているからこそ生まれている。

スタメンで出場する古河(左から2番目)
実は今大会では、チームの司令塔で同級生の#21岸歩武がコンディション不良のため欠場。大会に向けて送られたメッセージでよりやる気が高まっているという。
「岸君に『お前がそこ(リバウンド)をやらなかったら誰もシュートを打てない。お前がいるからみんなが自信を持って打てるんだ』と言ってくれました。それは自信につながっているし、一人一人に送ってくれた岸君のメッセージで、チームのモチベーションもすごく高まっています」。
古河がバスケを始めた理由は、ユニークだ。小3からサッカーを続けていたのだが、足のサイズ(32cm)と大きく、横幅も広いため合うスパイクを見つけられず断念。そこで友人に誘われて、中2で初めてバスケットボールを始めたのだ。さらに興味深いことに、入ったチームが都大会まで勝ち進む。そこでの活躍がSR渋谷ユースディレクターを努める山田将樹氏の目に留まり、中学3年生の12月にチームへ正式加入となる。現在高校1年生だから、バスケ歴1年半ということを考えると、その成長速度は驚異的と言える。

同級生・岸の言葉も受けて、やる気に燃えている古河
自身の強みについて質問すると、彼は迷うことなくこう答えた。「ジャンプ力と身体能力。リバウンドを取ってゴール下を決め切るところが自分の強みです。ダンクもできます。サッカーで培ったボールへの反応もルーズボールやリバウンドに生きているかなと思います」。サッカーでは、センターバックやミッドフィールダーを務めていたというが、空中戦や周囲の状況を把握する感覚は、インサイドでのプレーにも自然とつながっているようだ。
古河はまたバスケでの将来に明確なビジョンを持っている。「ポジションアップして3番になれたらいいなと思っています。大学はアメリカに行きたいと考えていて、海外でも通用するような選手になりたいです」。そのためにハンドリングや3Pシュートなど、幅広い練習メニューをこなし、通う学校が英語を話せる生徒が多いということで日常的な会話を通じて語学力も向上させている。

実はSR渋谷 U18には、同じくバスケ歴1年ながら、インサイドで活躍する#34寺澤陸(188cm・76kg・PF)という逸材もいる。「学年、年齢とか関係なく、着実に積み上げることを、彼らに求めています。まだまだ伸びしろはたっぷりです」と語ったのは秋葉真司 HCだ。
ベスト4進出をかけた琉球戦は、昨年のリベンジマッチでもある。バスケ歴の浅さを感じさせない古河の躍動は、チームにどんな勢いをもたらすのか。無限の可能性を秘めた「伸びしろたっぷり」な彼らの戦いぶりから、ますます目が離せなくなりそうだ。

写真/伊藤大允、石塚康隆(月刊バスケットボール)、文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)






