月刊バスケットボール12月号

Bリーグ

2025.11.21

B.LEAGUE U18 最強決定戦が明日開幕! 年に一度のビッグタイトルを掴むのはどこだ「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」

前年初優勝を果たした名古屋D U18が優勝候補筆頭


11月22日(土)~26日(水)にかけて、栃木県・日環アリーナ栃木にて「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」が開催される。BリーグU18チームの文化醸成や世界に通用する選手の育成を目的としたこの大会に、今年は過去最多となる40チームが出場。BユースNo.1の座を懸けた激闘が繰り広げられる。

B.LEAGUE U18のシーズンは、6月~8月にかけて北・東・中・西・南の5地区(1地区8チーム)に分かれて地区内総当たりを行う「インフロニア B.LEAGUE U18 REGIONAL LEAGUE 2025」で幕開けする。各地区を勝ち上がった12チームは、「インフロニア B.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」に進出。来年2月までという長期間をかけて、もう一つのNo.1を決める総当たり戦を実施する。この戦いに臨んでいるレバンガ北海道 U18、仙台89ERS U18、宇都宮ブレックス U18、千葉ジェッツ U18、サンロッカーズ渋谷 U18、横浜ビー・コルセアーズ U18、シーホース三河 U18、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18、滋賀レイクス U18、ライジングゼファー福岡 U18、佐賀バルーナーズ U18、ゴールデンキングス U18は、今大会でも中心となることは間違いないだろう。


前回王者の強みは経験ある3年生が多いこと。#2若野、#6小川ら3年生カルテットに注目
 
その中で優勝候補の筆頭と見られるのが、第1シードに入った前回王者・名古屋D U18である。強みは、昨年からスタメンで出ている3年生が豊富にいること。すでにトップチームでのプレーも経験している#2若野瑛太は凄みを増しており、キャプテンとして強力なリーダーシップも発揮。「全大会で優勝を目指しています」と宣言する。加えて「オフェンスでのアタックやアシストが自分の強み」と語る#6小川莞大もB1でプレー経験があり、#9春田結斗、副キャプテンの#14川邉蒼侑と構成する高3カルテットがコート上にいる局面は、隙が見当たらない。さらに実力がある1年生も加わっており、選手層は屈指と言える。ヘッドコーチとして長らくチームを率いた大西順氏(育成ディレクターに就任)の後を受けた山下諒新HCは「チャンピオンシップ連覇、インターナショナルカップでの優勝が目標。平面でどれだけ強度の高いプレーができるかを意識して取り組んでいる」と語っている。「インフロニアB.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」でも5戦全勝と絶好のスタートを切っているが、勢いを維持して今大会でも連覇となるか。




個の強さを生かしながら、新たな戦術に挑戦中の琉球 U18
 
同じ山の最下段にシードされたのは、チャンピオンシップで3年連続ベスト4に進んでいる琉球 U18。U18創設時からチームを率いてきた与那嶺翼氏は、トップチームのアシスタントコーチ兼デベロップメントコーチに就任したため、後任として浜口炎氏(前福岡HC)が新HCに就いた。その浜口HCが課題に掲げているのが「個人の力に頼らず、ボールを動かしてチームショットでイージーな得点を増やす」こと。持ち味であるディフェンスからのトランジションオフェンスに加え、スペーシングの意識も浸透させたバスケに手応えを感じていると語る。

注目したいのは高校1年生の#29宮里俊佑と高校2年生の#13ブレイク ジェレマイヤ デービッド海斗。両者は男子U16日本代表として「FIBA U16アジアカップ2025」に出場し、4位入賞に貢献した。#29宮里については2025年3月に開催された「インフロニア U15 CHAMPIONSHIP 2025」優勝に導く活躍をしており、チームのバランサー的存在である#12桶谷都人も「すでに3年生以上のスキルがあるし、コートにいると安定感が全然違う」と一目置く。突破力ある#33長嶺充来、高校2年生ながらインサイドで強さを見せる#88奥間翔、さらに#17加藤仁雄、#32金城煌太など個で打開できる力を持つ選手がこれまでどおり小気味よいバスケを見せる一方で、スペーシングを意識してハーフコートオフェンスを展開する。厚みを増したオフェンスは必見である。チームは9月に香港遠征を行っており、高い強度の海外バスケも経験している。今こそ、それらの成果を見せる時だろう。


B.LEAGUE U18随一の高さが強みの横浜BC U18
 
左側の山では、#96阿部真冴橙、#77丹野路和という3年生のダブルエースが武器の仙台 U18、エースの#14江原行佐(192cm)、インサイドの要となる#15エルマスリ アダム(201cm)を筆頭に、#13高橋陽斗(196cm)、#12加集煌大(191cm)、#11大越海藍(190cm)などB.LEAGUE U18随一の高さを生かしたスケールの大きなバスケを展開する横浜BC U18、#10棚橋康成や#72鏑木捺貴、#15甲斐達弘など実力あるメンバーの中に、「インフロニア B.LEAGUE U16 CHALLENGE CUP 2025 Aug.」で優勝に導いた#47山野井皓、#25古河シェーン、#34寺澤陸らがいるSR渋谷 U18も注目したいチームである。



前年準V千葉J U18に名門・北海道 U18などズラリ


右側の山で両端のシードに入ったのは前回準優勝の千葉J U18と一昨年まで3連覇を果たしている北海道 U18。

千葉Jは関谷間(セントトーマスモアスクール)、クーリバリ セリンムルタラ(神戸)という強烈な個が卒団。さらに吉村康夫新HCが就任し、ディフェンス強度を高めてアップテンポなオフェンスの中で全員が得点するというチームに変貌している。その変化については、トップチームの協力も大きいようで#3近藤颯とともに練習に参加したキャプテン#10武田勇晟は、「原(修太)選手や田代(直希)選手のオフボールの動きや決断力の速さから多くを学んだ」と説明。オールラウンドさが魅力の#17佐藤亮太も「西村(文男)選手のアドバイスを生かしている」と言うなど成長につながっていると手応えを語っている。「インフロニア B.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」では4戦全勝と好発進となった。昨年とスタイルが様変わりしているものの、同じく上位ラウンド進出を期待できそうだ。


千葉J U18は平均値が高いという特徴を生かし、チームバスケを展開する

前回3位・北海道 U18の軸となるのは、1年生から活躍する#9西村優真、#11安藤煌太朗である。両者は10月にユース育成特別枠でトップチームに登録され、貴重な経験を積んでいる。西村、安藤に加えスタメンの#6木村颯太、シックススマンとして出場する#4中川稟太郎と3年生が多くコートにいる時間帯は隙が見当たらない。一方で下級生が主体となって出ている時間帯のディフェンスは課題だったが、「インフロニア B.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」では7戦全勝と絶好調。+19.1という平均得失点差が示すとおり、下級生もステップアップを果たしている。齋藤拓也HCがまたもチームを頂点に導くのか。#11安藤は「今年は日本一を取りに行く」と意気込みを見せている。


B.LEAGUE U18を引っ張ってきた北海道 U18。またも強さを発揮するか!?
 


そのほか、右側の山では滋賀 U18にも注目したい。2022年、2023年大会※ではベスト16だったが、前回大会では初のベスト8入り。寺下太基HCが「理想とするチーム像に確実に近づいている」と力強く語る。中心となるのはB1出場経験を持つ#15梶原悠真。どんな展開からでも得点できることが魅力で、勝負どころでは特に注目したい選手である。また梶原のキックアウトから#6北川俊、#10西村匠人、#8宮田来夢など多くの選手が3Pシュートを決められる選手も多いのも強みである。順調に勝ち上がった場合、準々決勝で北海道 U18と対戦することになる。チーム初のベスト4進出はなるか、実現すれば注目のゲームとなる。
※B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2022、B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2023


寺下太基HCが「理想とするチーム像に確実に近づいている」と力強く語る滋賀 U18
 
またU18 川崎も興味深いチームである。出場決定戦で仙台 U18に敗れ、「インフロニア B.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」進出を逃したものの、#35鈴木蒼太、#11高橋秀成(U16日本代表)、#14角田永夢などスコアラーが揃うロスターは魅力的だ。村岡史哉HCは「U15からの昇格に加えて、過去にU12やスクールに在籍していた選手が復帰するなどで、チームのベースが上がり、完成度が高まっている」と手応えを語っている。勢いに乗って勝ち上がる可能性もあるだろう


U18 川崎はダークホースと見るべきチームだ
 
2021年から始まった同大会では、北海道 U18がまず3連覇を果たし、昨年は名古屋D U18が悲願の初優勝を果たした。B.LEAGUE U18の名門が上位にコマを進めるのか、それとも新興勢力が現れるのか。11月22日、いよいよ戦いの幕が上がる。





大会概要
インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025
 
主催:公益財団法人日本バスケットボール協会、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
主管:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
特別協賛:インフロニア・ホールディングス株式会社
協賛:株式会社モルテン、株式会社サードシップ
日程:2025年11月22日(土)~11月26日(水)
会場:日環アリーナ栃木(所在地:〒321-0152栃木県宇都宮市西川田4-1-1)
出場チーム:40チーム
大会形式:トーナメント(ノックアウト方式)
競技規則:「2025 バスケットボール競技規則 (Official Basketball Rules 2024)」
出場権獲得:上位4チームが「インフロニア B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2026」の出場権を獲得する。
大会公式サイト:https://www.bleague.jp/u18-championship/2025/
試合配信あり( https://www.youtube.com/@BLEAGUE/streams )





文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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