アイシンBTテーブス新HC、初陣に敗戦も「プレーオフは不可能じゃない」と立て直し誓う

新HC就任初戦が古巣・富士通との試合に
11月8日、アイシンウィングスが富士通レッドウェーブと対戦。59-85で敗れた。この試合は、2 日前にアイシンの新ヘッドコーチ就任が発表されたBTテーブスにとっての初陣。さらに対戦相手は昨シーズンまで自身が率い、Wリーグ連覇を達成した古巣という運命的な一戦だった。
昨シーズン、9勝19敗でWプレミア7位となり、入れ替え戦の末に1部残留を決めたアイシン。今シーズンも開幕から1勝5敗と苦しいスタートを切る中、ディレクターだったテーブス氏が指揮官に就任し、藤丸勇海前HCがアシスタントコーチへと役職変更することが発表された。名将の下で再起を図る形となったアイシンだったが、女王・富士通の壁は厚かった。
試合は、前半こそ41-42とアイシンが食らいついたものの、後半に失速。富士通の激しいディフェンスの前にオフェンスが停滞し、後半の得点はわずか18点に終わった。2Pシュート成功率は37.1%(13/35)にとどまり、ターンオーバーは17(富士通は4)を記録。かつての教え子たちが展開するプレッシャーの前に屈する形となった。
アイシンのHCとしての初陣が古巣相手となったことについて、テーブスHCは「富士通との試合というタイミングは偶然。特別な気持ちはなかった。もうどんな相手にも倒さないといけない」と目の前の勝利に集中していたことを明かした。その言葉通り、前半は周到な準備が功を奏す。「チーム(富士通)の選手やシステムはよく分かっている。いつもと違う守り方を考え、前半はプラン通りについていけた」。
それでも、後半は富士通が一枚上手だった。「向こうのアジャストは一つだけ。前半以上のボールプレッシャー、ディナイ、そしてサイドラインのトラップ。強い気持ちでプレーしてきた。そこから私たちがプレッシャーにどんどん負けてしまい、エントリーパスも難しくなった。オフェンスが止まってしまった」と振り返る。特に痛かったのが、勝負どころで増えたターンオーバーだ。テーブスHCは「完全に富士通の流れになった」と語ると、「1対1のバトルで負けた。いろいろなポジションで負けたから、前半みたいな良い形は消えてしまった」と個々の競り負けがチーム全体の機能不全につながったと悔しさをにじませた。

選手に指示を出すテーブスHC
「目標はプレーオフ。私たちは前向きです」
自身が育て上げた選手たちとの対戦は「考えたら難しい」と正直な気持ちを吐露しつつも、「試合中は自分のチームにフォーカスしていた。目を合わせないようにした」とプロフェッショナルな姿勢を貫いたテーブスHC。それでも「試合後、みんなが(挨拶に)来てくれてうれしかったよ」と再会に表情を緩ませた。
ヘッドコーチ就任から間もないアイシンについては、「まだ形ができていない。ここからスタートという段階」と、現状では発展途上と認める。「分解練習からやらないといけない。ディフェンスチームになりたい。そこがベース」とチームを再構築する考えだ。またプラスの要素として挙げたのは選手たちの姿勢で、負けが込んでいる中でも「チームの雰囲気はいい。ネバーギブアップの姿勢がある」と評価している。
そして今後の目標を問われると、力強く宣言した。
「チームの目標はプレーオフ。今の成績を見ると難しそうと思われるかもしれないが、シーズンはまだ長い。これから上位チームに1勝1敗で渡り合えればチャンスはあると思う。私たちは前向きです。一方で、どうしても入れ替え戦には進みたくない」
初陣はほろ苦い結果となったが、名将の目はすでに未来を見据えている。ディフェンスを基盤とした「テーブス・アイシン」が、ここからいかに巻き返しを図るのか。その手腕に注目が集まる。

いかに巻き返すか、テーブスHCの手腕に注目したい
協力=Wリーグ







