筑波大・朝比奈あずさが見せた成長、インカレに向け「最後は笑顔で終われるように頑張ります」

昨年より順位アップも残った悔しさ
10月26日、「第75回関東大学女子バスケットボールリーグ戦」最終日に臨んだ筑波大は拓殖大に対して効果的なディフェンスを展開。オフェンスでは今リーグ戦でブレークを果たした#11川井田風寧が5本の3Pシュートを成功させるなど存在感を発揮して79-64で勝利した。
試合の中で、圧倒的な存在感を放ったのは、大黒柱の#14朝比奈あずさだ。この試合では38分25秒出場とほぼ出ずっぱりで22得点、7リバウンド、3ブロック、2アシスト、2スティールをマーク。大会全体では総得点で6位(243点)、3Pシュート成功数で6位(27本)、リバウンド数で6位(106本)、ブロックショット数で2位(19本)を記録し、優秀選手賞を受賞した。
チームとしては8勝6敗と勝ち越し。昨年より1つ順位を上げた3位とあって、朝比奈は「去年より1個上の順位で終われたことはすごく良かったと思います」と語り始めると、「それでも、上の2つ(東京医療保健大、白鴎大)には勝てそうで勝てませんでした。“もっと自分たちはできる”という気持ちが大きいです」と悔しさをにじませた。“勝てそうで勝てない”、それが現実になったのが1周目の東京医療保健大戦だった。この試合では3Qを終えて73-58とリードしながらも、4Qで9-34という猛攻を受けて逆転負けを喫した。ケガ人が多かったリーグ戦ということもあり、本来の力を出し切れなかったという思いを抱くのも当然だろう。池田英治コーチも「序盤はいい形で入れたと思いますが、ケガ人も出てローテーションが変わり、噛み合わない部分も出てしまいました」とリーグ戦を振り返っている。

3位でリーグ戦を終えた筑波大
半年間の特訓の成果を披露
昨季の筑波大は、4アウト1イン、5アウトといったフォーメーションを取り入れ、スペーシングを生かすバスケを採用。山田葵(現富士通)や#24上野心音がペイントアタックを仕掛け、インサイドでは粟谷真帆(現日立ハイテク)、朝比奈が強さを発揮した。しかし、その先輩たちが卒業した今季は、「パッシングでズレを作り、全員で走って守るプレイスタイル」(朝比奈)を目指してきた。
自身のステップアップに加え、ハンドラーが少ないというチーム事情もあって朝比奈は春先に「3Pシュートももちろんですが、自力で外から切っていくところを、もっとやっていきたいと思っています。留学生相手はもちろん、ガード陣や日本人相手に対しても切り崩せるようなドライブを身に付けたいと今、取り組んでいます」と語っていた。

積極的なドライブも見せた
そこから半年が経過。リーグ戦で見せた成長には目を見張った。ハンドラーとなってボールをプッシュし、ガードにプレッシャーをかけられても慌てることもない。自身で掲げていたとおり、ペイントアタックも仕掛け、アウトサイドではプルアップの3Pシュートも決めてみせるなど、プレーの幅が大きく広がっていた。
一体どんな特訓を積んでいたのか? 朝比奈は「アシスタントコーチの藤永(真悠子、元富士通・日立ハイテク)さんに、課題としている部分のメニューを作ってもらい、ほぼ毎日のように一緒にワークアウトをやってもらってきました。それが、自分にとって本当に大きいです。去年に比べれば、どんどんレベルアップしていると感じます。けど自分が目指しているところは、もっと上のところにあるので、まだまだという思いです」と向上心をのぞかせた。
4年生の朝比奈にとって、残る大舞台は「第77回インカレ」(女子は12月6日〜14日開催)。チームの集大成となるこの大会に、これまで積み上げてきた成果をぶつける覚悟だ。
「インカレで優勝し、日本一になることが目標。そのためには、日々の練習でどれだけ積み重ねられるかが大事です。リーグ戦では医療さんや白鷗さんに強度で上回られて負けてしまったので、練習からその強度を作っていきたい。しっかり準備をして、最後は笑顔で終われるように頑張ります」

3Pシュートのリズムが良くなり、精度もアップ

文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)
 
 





