三遠は「制裁付き継続」、湘南はB.NEXT交付「B.革新」初年度全55クラブが確定

三遠は制裁付きでB.PREMIER継続、湘南はB.NEXT交付に
Bリーグは10月30日、「B.LEAGUEクラブライセンス判定結果発表会見」を開き、未決事項だった2件の結果を発表。三遠ネオフェニックスは新アリーナの工期遅延について「クラブ起因ではない合理的理由」と認定され、罰金3000万円の制裁付きで2027-28シーズンのB.PREMIERライセンス交付が決まった。また湘南ユナイテッドBCについても、2026-27シーズンのB.NEXTライセンス交付となった。これにより、B.革新初年度(2026-27シーズン)は、B.PREMIERが26、B.ONEが25、B.NEXTが4の計55クラブでスタートすることが決まった。
会見の冒頭、島田慎二チェアマンは、三遠の判断に至る経緯を説明。豊橋市長選挙後に一時中断していた新アリーナ計画は、住民投票で賛成多数を得て再開したものの、工期は遅延。リーグはクラブ・事業者・自治体との面談や提出書類で実施状況を確認し、2029-30シーズン開幕当初からB.PREMIER基準のホームアリーナとして使用できる見通しを担保できたとして、例外規定に基づく「制裁付き継続」を採用した。科された罰金はリーグ諸経費を差し引いたのち、ユース分配金や審判の研修・育成費などの競技力向上の原資に充てられる。
一方の湘南は、前回審議時点で約6,200万円(2025年6月期決算)に及ぶ債務超過、資金繰りの不透明さが課題だったが、新オーナーとしてエフィラグループ株式会社を迎えたことでそれらの目処が立ち、B.NEXTライセンス交付に至った。島田チェアマンは「覚悟を持って参画いただくことを確認した」と述べ、運営体制の立て直しに期待を示した。
B.PREMIERの来季・再来季、B.ONEの来季の地区分けが決定
これでB.革新初年度の構図が最終確定。下記のとおり、B.PREMIERは東西2地区、B.ONEは北・東・中・西・南の5地区で編成。B.NEXTは大会形式を調整中で、ユース出身選手を中心としたU22選抜チームの参戦も検討していると明かした。
【2026-27/2027-28 シーズン B.LEAGUE PREMIER 地区分け:2 地区制(東・西)】
[東地区]北海道、仙台、秋田、茨城、宇都宮、群馬、A千葉、千葉J、A東京、SR渋谷、川崎、横浜BC、富山
[西地区]
信州、三遠、三河、名古屋D、滋賀、京都、大阪、神戸、島根、広島、佐賀、長崎、琉球
【2026-27 シーズンB.LEAGUE ONE 地区分け:5 地区制(北・東・中・西・南)】
[北地区]青森*、岩手*、山形*、福島*、越谷*
[東地区]埼玉*、東京U*、東京Z*、立川*、八王子*
[中地区]横浜EX*、新潟*、金沢*、福井*、岐阜*
[西地区]静岡*、FE名古屋、奈良*、岡山*、徳島*
[南地区]香川*、愛媛*、福岡*、熊本、鹿児島
*= B.NEXTライセンス交付でB.ONE(仮入会)のクラブ
【2026-27 シーズンB.LEAGUE NEXT】
品川、湘南、三重、山口
※地区、大会方式は調整中

B.NEXTにはU22選抜チームも参戦させたいと語った
B.ONE基準を整理、B.PREMIER新規参入は最短2029-30
また運用方針も整理された。B.ONEライセンスの平均入場者数要件は実績と立場に応じて見直しが入り、既存のB.ONE取得クラブ(FE名古屋・鹿児島・熊本)は「平均2000人かつ売上4億円を直近3季(2024-25〜2026-27)のいずれかで達成」すればよい(およびアリーナ要件)。一方、新たに2027-28のB.ONE取得を目指すクラブは「平均2000人を2季連続(2024-25、2025-26)で達成」(およびアリーナ要件、ユース設立済み)が必要となる。
また、B.NEXTライセンスのままB.ONEに参入できる仮入会制度は当面継続するが、2031-32シーズンで終了。2031年10月審査で所定のB.ONEライセンスが取得できなければ、2032-33シーズンからB.NEXTに降格となる。
B.PREMIERへの新規参入については、最短で2029-30シーズンから。対象クラブは所定の2季要件(2025-26/平均4,000人・売上12億円、2026-27/平均3000人・売上9億円)を満たし、B.PREMIER仕様アリーナの確保を前提とする。2026-27シーズンの条件が下がることについて、島田チェアマンは、数年前から決めていたことで、B.ONEの盛り上がりを見込んだうえで「上を目指す機運を阻害しないために、上がり口のハードルを一定程度設計している」と説明している。
会見の最後に島田チェアマンは、「現行55クラブすべてにライセンスが交付されたが、これはゴールではない」と強調。Bクラブが存在しない6県への展開を進める「47都道府県プロジェクト」を推進しつつ、B.NEXTからB.ONE、そしてB.PREMIERへとつながる成長の道筋を一層明確化していく方針を示した。

文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)






