B.LEAGUE Hope、フィリピン「テネメント」で社会貢献イベントを開催

フィリピン国籍のBリーグ選手が描かれたコート
フィリピンの“聖地”で広がる笑顔と希望
Bリーグは10月25日・26日の2日間、フィリピン・マニラ首都圏タギッグ市のテネメント・フォート・ボニファシオで「B.LEAGUE Hope ASIA HOOP FESTIVAL 2025 in Manila」を開催した。同イベントは、バスケットボールを通じて比日両国の絆を深め、社会課題の解決に貢献することを目的としている。
テネメントは、バスケ文化の根付くフィリピンの中でも特別な場所として知られる。建物の壁面やコートには鮮やかなアートが描かれ、地域の人々が日常的にプレーを楽しむ“聖地”とも言われる場所である。今回のイベントでは、同施設に新たにBリーグ所属のフィリピン出身選手をモチーフにしたバスケットボールコートが登場。2日間にわたり、子どもたちへのクリニックや3x3・1on1のトーナメントなどが行われ、Tシャツの寄付や「Pass It Forward」プロジェクトを通じたユニフォーム提供も実施された。

クリニックの様子

1on1や3x3のトーナメントも行われた
クリニックでは、バスケの基本動作だけでなく、日常生活での体の使い方や運動習慣の大切さを学ぶ機会も提供。子どもたちは寄贈されたTシャツを身につけ、笑顔でボールを追った。
25日に行われたセレモニーでは、日本でプレーするフィリピン国籍選手、ドワイト・ラモス(レバンガ北海道)、エージェー・エドゥ(群馬)、カイ・ソット(越谷)、キーファー・ラベナ(横浜BC)、フランシス・ロペス(FE名古屋)、レイ・パークスJr.(大阪)から、現地の子どもたちへ向けたビデオメッセージを上映。それぞれの選手が母国への思いと、バスケが持つ力を語ったメッセージは、集まった観客に大きな感動を与えた。
テネメントの代表者であるジェニファー・クレン・コルピンさんは、「この場所でBリーグのイベントを祝う機会をいただき感謝しています。日本でプレーするフィリピン人選手たちを誇りに思っています。今回のイベントに参加した子どもたちの中から、将来Bリーグで活躍する選手が生まれてほしい」と話した。また、参加した少年は「コートがとてもきれいでした。僕と同じくプロの選手になりたい子どもたちはたくさんいます。皆さんのおかげで、バスケを学んでいます。ありがとうございます」と、夢を語った。
本イベントでも実施された「Pass It Forward」は、B.LEAGUE Hope ASIAとして継続的に行われているプロジェクト。小さくなったユニフォームや廃棄予定の衣類を再利用・寄付する取り組みで、今回は過去のB.Hopeイベントで製作されたTシャツ50枚が寄贈された。経済的に困難な状況にある家庭が多いテネメントにおいて、バスケットボールを通じて笑顔と希望を届ける象徴的な活動となった。
<イベント概要>
名称:B.LEAGUE Hope ASIA HOOP FESTIVAL 2025 in Manila
日程:2025年10月25日(土)〜26日(日)
会場:The Tenement, Fort Bonifacio(フィリピン・マニラ首都圏タギッグ市)
主催:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)
内容:クリニック、3x3・1on1トーナメント、寄付・セレモニー、ビデオメッセージ上映
<選手のメッセージ>
●ドワイト・ラモス(北海道)
——B.LEAGUEのフィリピンでのイベント開催について
B.LEAGUEがこうした機会を通じてフィリピンの子ども達に寄付をしたり、支援をすることはただただ素晴らしいことだと感じます。どんな風になっていくのか楽しみです。
——子どもたちへのメッセージ
今日は僕もその場にいてみんなと一緒に一部始終見て一緒に助け合えたら良かったけど、それが叶わなくて残念です。でも、そのコートを見て、夢を追い続けてください。次のレベルまで上を目指していきましょう。また会おう、ありがとう!
●エージェー・エドゥ(群馬)
——B.LEAGUEのフィリピンでのイベント開催について
コミュニティにバスケットボールを通じたインパクトを生み出す有意義なイベントです。バスケットボールというスポーツは、多くの助けになりうる素晴らしいプラットフォームだと思います。
——子どもたちへのメッセージ
子供たちに励ましの言葉を送りたいです。フィリピンでは困難なことはあるだろうけど、目標に向かって諦めずに信念を持ち続け、努力を続ければ必ず夢を叶えます。
●カイ・ソット(越谷)
——B.LEAGUEのフィリピンでのイベント開催について
このイベントは私にとって大きな意味を持っています。個人的に、フィリピンの若い世代にとって励みになると思います。子供の頃、バスケットボール選手として育った私にとって、フィリピンのバスケットボール選手が国際的に活躍する姿を見ることは大きな意味を持っています。テネメントに描かれた選手の一人になれることは、私にとって光栄です。
——子どもたちへのメッセージ
本当に現場に行ってみんなに会いたかったよ。このイベントに関わってくれた全ての人を誇りに思うし、特に一生懸命頑張っている子どもたちへ、幸運を祈ります。たくさん楽しんでください。そして、今から続く未来には、もっとたくさんの子ども達がここB.LEAGUEでプレーするのを楽しみにしています!
●キーファー・ラベナ(横浜BC)
——B.LEAGUEのフィリピンでのイベント開催について
まずB.LEAGUEがこのようなイベントをテネメントで開催することを誇りに思います。日本でプレーするフィリピン人選手として、胸がいっぱいになる思いです。家族と離れ、夢を追って故郷をあとにした僕らですが、そのおかげでB.LEAGUEとフィリピンのコミュニティが共に母国のみんなに対して、特にバスケットボールの次世代を担うフィリピンの若者達に向けて、寄付など様々な支援を実現できたことは感無量です。
——子どもたちへのメッセージ
イベントを楽しんで!そしてもっともっとバスケットボールを愛してください。B.LEAGUEでプレーするみんなの”お兄さん達”は、みんなをインスパイアし続けられるように頑張るから、次世代のみんなが今度はフィリピンの代表として、ここ日本で僕らに続いてくれたら嬉しいです。楽しんで、グッドラック!
●フランシス・ロペス(FE名古屋)
——B.LEAGUEのフィリピンでのイベント開催について
この活動は子どもたちを支援するという点で本当に意義のあるものだと思います。特に将来バスケットボール選手になることを夢見る子どもたちにとって、ぼくらのようにプロとして日本でプレーする選手達を身近に感じられる、自分も将来はその1人になるんだと思えるような機会を提供することは、コミュニティの支えになると感じます。だから、このような子どもたちのために貢献できる活動に参加できることに、とてもワクワクしています。
——子どもたちへのメッセージ
プロのバスケットボール選手になりたい子どもたち、僕らのようにB.LEAGUEでプレーすることを夢見る子どもたち、とにかく毎日一生懸命努力してください。そして、あなたが最高のあなたでいられるように、支えてくれる人を見つけてください。あなたのことを引きずり下ろそうとする人からは離れて、しっかりハードワークしながら、あなたを支えてくれる人と人生を歩んでください。それは、バスケットボールだけの話ではなく、コートの外でも、あなたの成功を心から願う人の言葉をよく聞いて、毎日努力し続けることを忘れないでください。それが、プロのバスケットボール選手になりたいという子ども達へ自分ができる最大のアドバイスかなと思います。
●レイ・パークスジュニア(大阪)
——B.LEAGUEのフィリピンでのイベント開催について
まずはこのイベントを実施してくれることに関して、B.LEAGUEに感謝します。テネメントで、次世代を担うユースに”HOPE”を与えると同時に、必死に努力し挑み続ければ境界を超えていけるのだというスピリットを伝えてくれるでしょう。フィリピンの中にとどまらず、海を渡って日本という非常に美しい場所でバスケットボールをする未来に繋がるかもしれません。僕達がその代表だと思っていますし、願わくば僕らの活動が次世代のみんなをインスパイアする原動力になっていたら嬉しく思います。このようなプラットフォームを用意してくれたことに改めて心から感謝します。
——子どもたちへのメッセージ
今日という特別な日を楽しんで!これは本当にスペシャルなことだし、僕ら”Pinoy”(=フィリピン人)もやればできるんだっていうことを改めて思い出す機会です。参加者のみんなへ、幸運を祈ります!そしてたくさんの刺激を受けて、もっと上へ行くんだという心の火を燃やし続けてください。あなたが苦境にもがいていたとしても、どんな環境にいても関係なく、バスケットボールの美学とは「誰もが平等」であることです。そして僕らは自分だけじゃなくて、それをファミリーにももたらすことができます。一生懸命頑張れば、目指すべきゴールや夢を掴むチャンスはみんなにあるのです。とにかく今日は楽しんで、ケガすることなくたくさん良いプレーをしてね。また近いうちにみんなに会えるのを楽しみにしています。

文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)






