月刊バスケットボール12月号

大学

2025.10.27

東京医療保健大がリーグ戦制覇で今季3冠、最終戦では白鷗大との接戦を制す

東京医療保健大が全勝優勝を達成


10月26日、日本体育大学世田谷キャンパスで行われた第75回関東大学女子リーグ戦1部最終日、東京医療保健大が白鷗大を67-59で下して全勝優勝。スプリングトーナメント(関東大学女子選手権大会)、新人戦(関東大学女子新人戦)に続いて今季3冠目を達成した。

リーグ戦は1部8チームでの総当り2回戦制で、約2ヵ月をかけて行われる長丁場である。また、約1ヵ月後に迫る第77回インカレ(11月29日〜12月14日)に向けての前哨戦の大会でもある。

今季の東京医療保健大は、選手層の厚さが際立っている。キャプテンの#44清水紫音をはじめ、#91大脇晴、#5絈野夏海、#11五十嵐羽琉、#17門脇瑚羽など、昨季から多くの出場機会を得ていた選手が多数在籍。そこに#0ロー ジョバ(慶誠高出身)、#7後藤音羽(浜松開誠館高出身)、#61深津唯生(桜花学園高出身)、#14前田珠涼(昭和学院高出身)といった有望な1年生が加わった。この充実した戦力を生かし、チームはスプリングトーナメントと関東新人大会をともに制覇。今リーグでも開幕から破竹の連勝を重ね、結果的に14戦全勝という結果で頂点に立った。その中には、筑波大戦で15点のビハインドを4Q(34-9)でひっくり返す逆転勝ちや、山梨学院大戦での3点差勝利(80-77)など、薄氷を踏むような試合もあったのは事実だ。

キャプテンの清水紫音は、「ケガ人が出て大変な時期もありましたが、その分一人ひとりが自覚を持ち、自分の役割をコートで表現できたと考えています」とリーグ戦を振り返る。ケガ人の一人が、スタメンガードの#5絈野だった。肩のコンディション不良により、9月28日の専修大戦以降は一度もコートに立たず。それでもチームが勝ち続けられたのは、厚い選手層の支えがあったからにほかならない。そして迎えた12戦全勝での最終週、10月26日に筑波大を80‐61で下し、優勝を決定づけた。それでも最終日には、絶対に勝ちたい相手が待っていた。インカレ決勝で6年連続対戦している白鷗大である。


東京医療保健大のエース、大脇晴はMVPを受賞



ライバル対決再び、互いの意地がぶつかった最終戦

昨年のインカレ決勝は、あまりにも強烈な印象を残した。前年女王・白鷗大と東京医療保健大が激突した試合は、実に約3時間に及ぶ死闘。4度の延長戦までもつれ込む中、両チームが全力を出し尽くした末に、白鷗大が111‐103で勝利し、2年連続3度目の優勝を飾った。

その白鷗大は今年度、スプリングトーナメントと新人戦でいずれも準優勝。佐藤智信監督はスプリングトーナメント時に、「全員が3Pシュートを放てること、加えて大脇選手がボール保持をするといろいろなズレができ、そこをケアすると他の人にやられてしまう。フィジカルが強いので、しっかりコントロールして破っていかないと自分たちのペースにならない」と相手の完成度を称えつつ、課題を口にしていた。さらに、関東新人戦で采配を振るった根本雅敏アシスタントコーチも「医療さんの強度にアジャストし切れなかったが、やろうとしていることはできていた。精度を上げていければ」と発言。両大会を通じてチームとしての方向性を明確にしつつある様子がうかがえた。

迎えた最終戦は、さすがライバル対決という試合展開となった。前日、白鷗大の佐藤監督は「圧倒的に強い相手のリバウンドをどう攻略するかが鍵になる。また、ペイントエリア内での失点をいかに減らすか。単純なミスをしないことも重要です」と語っていた。その言葉どおり、白鷗大は東京医療保健大にインサイドでスペースを与えず。加えてリバウンドでは何人もの選手が飛び込み競り合うなど、気迫を全面に出してプレーを見せる。


最終戦、白鷗大最多となる11得点をマークした#11佐々木凜

それでも東京医療保健大・清水は「出だしから勢いのある相手で、接戦になることは覚悟していました」と振り返る。5点リードで迎えた2Q、#7後藤音羽がドライブから得点を重ねると、#91大脇の3Pシュート、#0ジョバのフリースローも続き、一気に36‐25と2桁のリードを奪った。一方の白鷗大は、2Q中盤以降、シュートがリングに嫌われる時間帯が続いた。それでも、インサイドで粘り強いディフェンスを見せていた#77東小姫の3Pシュートや、#5池田凜のフローターで応戦。なんとか9点差に詰め寄り、ハーフタイムを迎えた。

3Qは白鷗大の18‐13。4点ビハインドで最終クォーターを迎えると#17高木美波の3Pシュートで56‐57と1点差となって、残り5分を迎えたが、ここからオフェンスで苦しんでしまう。#77東の3Pシュート、#9佐坂光咲の3本のフリースローなどで追加点を挙げたものの、東京医療保健大は#91大脇、#0ジョバがインサイドで得点を重ね、67‐59で勝利した。

「インサイドで体を張られるプレーはかなり抑えられましたが、こぼれ球、つまりリバウンドの部分をまだやりきれていません。そこが課題です」と敗因を語った白鷗大・佐藤監督だが、「春に比べればかなり改善されています」と手応えも語った。

一方、東京医療保健大の清水は「リーグ戦を通して大切にしてきた“ウイニングマインド”、つまり自分に自信を持つことを全員がコートで体現できたのが勝因です」と勝利を喜ぶと、「ディフェンスのアジャストやリバウンドなど、まだ課題は多くあります。オフェンスも強みを持つ選手が多いので、その能力をさらに生かせるようにしたい。この1か月でチームの強みを伸ばし、圧倒的に勝てるチームになれるよう頑張ります」と力強く語った。

東京医療保健大は今季、スプリングトーナメント、関東新人戦、リーグ戦、インカレ、そして皇后杯と5冠を目標に掲げている。3冠を手にした今、次なるターゲットは、大学バスケ界最大の栄誉であるインカレの奪取となる。

一方で、白鷗大をはじめ、春からの借りを返そうとする大学も少なくない。果たしてインカレでは、どんなドラマが待ち受けているのか、注目したい。





[最終順位]
優勝/東京医療保健大(4年ぶり4回目)
2/白鷗大
3/筑波大
4/拓殖大
5/山梨学院大
6/日本体育大
7/早稲田大
8/専修大



[個人賞]

最優秀選手賞/大脇 晴(東京医療保健大4年)
敢闘賞/佐坂 光咲(白鷗大4年)


優秀選手賞/ロー ジョバ(東京医療保健大1年)
優秀選手賞/朝比奈 あずさ(筑波大4年)
優秀選手賞/藤澤 夢叶(山梨学院大4年)


得点王/藤澤 夢叶(山梨学院大4年)314点
3ポイント王/藤澤 夢叶(山梨学院大4年)45本
リバウンド王/アダム アフォディヤ(白鷗大3年)OF54 DF128 TO182
アシスト王/永田 姫舞(日本体育大4年)、岡田 彩葉(山梨学院大1年)63本
MIP賞/永田 姫舞(日本体育大4年)43票
監督賞/恩塚 亨(東京医療保健大)




表彰式のあと、大学最後のリーグ戦を戦い終えた8大学の4年生が集まって集合写真も撮影




文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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