Bリーグが「B.STATS LAB 2024-25 SEASON REPORT」を公開、リーグの今を数字で可視化

昨季のスタッツを多角的視点から分析したレポート
10月23日、Bリーグは昨シーズンのスタッツレポート「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASON STATS REPORT」を公開した。本レポートは、B.STATS LABにて取得している公式記録・スタッツを様々な切り口で集計・可視化したもの。B.LEAGUEが掲げる次世代構想「B.革新」を見据え、クラブの現状把握や強化計画の参考となる情報を提示することを目的としている。
B.STATS LABはB.LEAGUEの公式記録作成・管理を担う機関で、データスタジアム株式会社が運営。B1・B2リーグ戦、ポストシーズン、オールスターの全試合の記録をセントラル方式(映像を見ながら中央オフィスで記録入力)でリアルタイム作成する仕組みを採用している。これは国内プロスポーツでは初の試みである。
レポートは全138ページと圧巻のボリュームで、以下3つのパートで構成されている。
(1)「B.革新」/競技力・代表強化・ドラフトの観点からデータを可視化し、2026-27シーズンに向けたリーグ・クラブの現在地を確認。
(2)「編成・強化」/選手の年齢・国籍・登録区分などの属性をもとに、リーグ全体の傾向を分析。勝率上位クラブの共通点の洗い出し。
(3)「振り返り」/2016-17シーズンの開幕以降をアワードや順位表から俯瞰。
冒頭に書かれているとおり、「リーグおよび各クラブ関係者を主な対象としたもの」ではあるが、ファンにとっても興味深い内容となっている。
以下は編集部で気になったトピックである。
●B1は“接戦化”、B2は格差傾向
・B1では「6点差以内の試合」の割合が2023-24シーズンより増加し、再び接戦が増える傾向を示した。一方でB2は僅差試合の割合が過去最低(21%)となった。これは極端な勝率のクラブが存在したことが影響したと考えられる。
●アジア特別枠導入後、リードチェンジが増加
・平均リードチェンジ回数は2020-21シーズンを境に増加。これは同年度に導入されたアジア特別枠により、帰化選手を擁するクラブとの戦力差が縮まり、競争力が高まったことを示唆している。クラッチタイム(4Q残り5分以内で5点差以内となった試合展開)突入率もB1では48.8%を維持しており、半数近くの試合がクラッチゲームになっていた。B2については40.2%だった。
●国際比較で伺えるディフェンシブな傾向
・NBA、ユーロリーグ、NBL(オーストラリア)、KBL(韓国)、CBA (中国)という海外5リーグとのeFG%(実効FG成功率)、TOV%(ターンオーバー率)、ORB%(攻撃リバウンド率)、FTR(フリースロー獲得率)を分析。B1・B2ともにORB%が高く、eFG%が低い。セカンドチャンスを重視するリバウンド中心型で、ディフェンシブな傾向が見られる。
●代表選手在籍クラブは高勝率
・代表強化の章では、パリ五輪・アジアカップ予選に出場した選手の所属クラブを比較。代表選手を擁するクラブの平均勝率は.598で、フォーファクターズ(eFG%、TOV%、ORB%、FTR)の主要指標でも優位に。代表活動がクラブ競争力にも好影響を与えている可能性を示した。
●早期プロ入り組が12%で過去最高
・ドラフト章では、大学4年卒業組と高卒・中退などの早期キャリア組を比較。2024-25シーズンは早期キャリア組が全体の約12%と過去最高を記録し、平均得点では4シーズン連続で大学卒業組を上回る。2026年1月に予定される第1回Bリーグドラフトを前に、育成の成果を裏付けるトレンドとなっている。
●外国籍選手の多国籍化が進行
・B1の外国籍選手の国籍数は初年度の6か国から19か国に拡大。アメリカ国籍の割合は約9割→約7割まで低下し、アジア特別枠導入を機にフィリピン選手が増加した。Bリーグが掲げる「アジアとの共創」の姿がデータにも反映されている。
細かく見ていけば、さらに興味深い発があるだろう。
「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASON STATS REPORT」リンク
https://www.bleague.jp/files/user/STATSREPORT2024-25.pdf

文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)