「自分たちに対して怒りがあった」安藤周人とアルバルク東京が示すべきもの「情けない姿は見せられない」

新本拠地・トヨタアリーナ東京での初陣は、厳しい現実を突きつけられる結果となった。
B1リーグ2025-26シーズンが開幕し、その開幕節で10月3日に唯一カーディングされたのが、アルバルク東京と宇都宮ブレックスのゲーム1だった。
A東京としては新アリーナで初の公式戦。相手は昨季王者の宇都宮という、申し分ないマッチアップだ。アリーナ最寄りの青海駅と東京テレポート駅はアルバルク一色に装飾され、アリーナ前の広場も含めて、スポーツの試合というよりも「祭り」と表現した方が合っているような盛り上がりを見せていた。あとはメインディッシュに熱戦が見られれば──ファンはそう考えていただろうがしかし、試合は思いもよらぬ一方的な展開となる。

宇都宮に圧倒されたゲーム1
A東京は大黒柱のライアン・ロシターと、同じく新加入ビッグマンのブランドン・デイヴィスがインジュアリーリスト登録を余儀なくされ、スティーブ・ザックとアイラ・ブラウンを招集して何とかロスターを立て直した緊急事態。さらに、試合直前にはスターティングPGのテーブス海がコンディション不良によって欠場することが発表され、台所事情はより厳しいものとなった。それだけにとどまらず、ゲーム1前半にはテーブスに代わって先発を務めた中村浩陸までもが足首負傷によって途中退場。安藤周人やセバスチャン・サイズの奮闘はあったものの、終始宇都宮に圧倒された。
56-81。
オフェンスでもディフェンスでも持ち味がほとんど出ぬまま試合が終わったと言っていいだろう。
「自分たちに対しての怒りというか、フラストレーションを溜めるシーンがあったと思う」
こう絞り出すように語ったのは、チーム最多16得点の奮闘を見せた安藤周人だ。フィジカルの強さとディフェンス力にプライドを持つはずの自分たちが、その土俵で相手に圧倒されたこと、そして何より、新アリーナの初戦という特別な開幕戦で、ファンやアリーナ建設に携わった関係者に報いることができなかったことが悔しかった。
「本当にこのアリーナを作ってくれた人たちに申し訳ないというか。感謝の気持ちを忘れないように、アリーナを作ってくれた方たちのためにも、勝利を届けられるように第2戦は頑張りたいです」
行き場を失った怒りや喪失感は、安藤らチームが一番感じていたことだろう。一方で、彼は下を向いたり、行その怒りを誰かにぶつけたりはしないとも話した。それは、最後に笑う──つまり優勝する──ためである。
「そういうことをしている場合ではないですし、そういうことをしているチームでは勝てないと思います。いかに我慢強くプレーできるかを意識したいです」
試合後のロッカールームでは、デイニアス・アドマイティスHCの檄が飛んだ。欠場したロシターとデイヴィスからも客観的な視点から感じた指摘が伝えられたと安藤は明かす。それ以上の具体的な内容を我々が知る由はないが、取られたコミュニケーションの一つ一つが改善の材料にしていかなければならない。安藤の表情は自分にそう言い聞かせているようにも見えた。

点差が付いた終盤には、意気消沈しかけたチームにあって、安藤自身は闘志を失うまいと積極的なプレーを披露。「正直、言い方は悪いかもしれませんが、点差もあったしチームメイトのことを考えている暇なんてなかったです。がむしゃらにやり続けるしかありませんでした。見に来てくれたファンの方々に情けない姿は見せられないし、さっきも言いましたが、アリーナを作ってくれた方たちへの感謝の姿勢を試合で見せなければいけない立場なので、僕としては点を取る姿、チームメイトを助ける姿を見せるためにも、がむしゃらにやり続けるしかないと思います」と、果敢にリムにアタック得意の3Pシュートを打ち続けた。
彼が記録した16得点のうち半分の8得点が4Qの10分間に挙げたもの。後半全体でも13得点と、前半とは見違えるように、スタッツ面でもフィールドゴール試投数は前半の倍近くに増えていた。
安藤は今年で31歳と、中堅からベテランの立場になりつつある。その中で今まで以上にプレー面、リーダーシップ面の両方で自発的にチームを引っ張る意識が芽生えている。そして、それは大ベテラン菊地祥平からアドバイスされたことでもある。
「祥平さんからもどんどん(自分から)コミュニケーションを取った方がいいと思うし、点を取りに行った方がいいんじゃないかと言われました。そういった姿勢を、自分が点を取りに行く姿勢を見せつつ、今日は何人か試合中も困っているようなそぶりがあったので、そういった選手を見付けて自分からコミュニケーションを取って、(その選手が)気持ち良くプレーができるように手助けできたらいいなと思います」
立場や役割は人を変化させ、それまでの天井を突き破るきっかけを与えてくれる。大敗の中に見えた光明の一つが、安藤の意識変化となるかもしれない。まずはゲーム2で彼らがどんな戦いを見せ、その思いを示すのか、注目したい。
B1リーグ2025-26シーズンが開幕し、その開幕節で10月3日に唯一カーディングされたのが、アルバルク東京と宇都宮ブレックスのゲーム1だった。
A東京としては新アリーナで初の公式戦。相手は昨季王者の宇都宮という、申し分ないマッチアップだ。アリーナ最寄りの青海駅と東京テレポート駅はアルバルク一色に装飾され、アリーナ前の広場も含めて、スポーツの試合というよりも「祭り」と表現した方が合っているような盛り上がりを見せていた。あとはメインディッシュに熱戦が見られれば──ファンはそう考えていただろうがしかし、試合は思いもよらぬ一方的な展開となる。

宇都宮に圧倒されたゲーム1
「がむしゃらにやり続けるしかない」
A東京は大黒柱のライアン・ロシターと、同じく新加入ビッグマンのブランドン・デイヴィスがインジュアリーリスト登録を余儀なくされ、スティーブ・ザックとアイラ・ブラウンを招集して何とかロスターを立て直した緊急事態。さらに、試合直前にはスターティングPGのテーブス海がコンディション不良によって欠場することが発表され、台所事情はより厳しいものとなった。それだけにとどまらず、ゲーム1前半にはテーブスに代わって先発を務めた中村浩陸までもが足首負傷によって途中退場。安藤周人やセバスチャン・サイズの奮闘はあったものの、終始宇都宮に圧倒された。
56-81。
オフェンスでもディフェンスでも持ち味がほとんど出ぬまま試合が終わったと言っていいだろう。
「自分たちに対しての怒りというか、フラストレーションを溜めるシーンがあったと思う」
こう絞り出すように語ったのは、チーム最多16得点の奮闘を見せた安藤周人だ。フィジカルの強さとディフェンス力にプライドを持つはずの自分たちが、その土俵で相手に圧倒されたこと、そして何より、新アリーナの初戦という特別な開幕戦で、ファンやアリーナ建設に携わった関係者に報いることができなかったことが悔しかった。
「本当にこのアリーナを作ってくれた人たちに申し訳ないというか。感謝の気持ちを忘れないように、アリーナを作ってくれた方たちのためにも、勝利を届けられるように第2戦は頑張りたいです」
行き場を失った怒りや喪失感は、安藤らチームが一番感じていたことだろう。一方で、彼は下を向いたり、行その怒りを誰かにぶつけたりはしないとも話した。それは、最後に笑う──つまり優勝する──ためである。
「そういうことをしている場合ではないですし、そういうことをしているチームでは勝てないと思います。いかに我慢強くプレーできるかを意識したいです」
試合後のロッカールームでは、デイニアス・アドマイティスHCの檄が飛んだ。欠場したロシターとデイヴィスからも客観的な視点から感じた指摘が伝えられたと安藤は明かす。それ以上の具体的な内容を我々が知る由はないが、取られたコミュニケーションの一つ一つが改善の材料にしていかなければならない。安藤の表情は自分にそう言い聞かせているようにも見えた。

点差が付いた終盤には、意気消沈しかけたチームにあって、安藤自身は闘志を失うまいと積極的なプレーを披露。「正直、言い方は悪いかもしれませんが、点差もあったしチームメイトのことを考えている暇なんてなかったです。がむしゃらにやり続けるしかありませんでした。見に来てくれたファンの方々に情けない姿は見せられないし、さっきも言いましたが、アリーナを作ってくれた方たちへの感謝の姿勢を試合で見せなければいけない立場なので、僕としては点を取る姿、チームメイトを助ける姿を見せるためにも、がむしゃらにやり続けるしかないと思います」と、果敢にリムにアタック得意の3Pシュートを打ち続けた。
彼が記録した16得点のうち半分の8得点が4Qの10分間に挙げたもの。後半全体でも13得点と、前半とは見違えるように、スタッツ面でもフィールドゴール試投数は前半の倍近くに増えていた。
安藤は今年で31歳と、中堅からベテランの立場になりつつある。その中で今まで以上にプレー面、リーダーシップ面の両方で自発的にチームを引っ張る意識が芽生えている。そして、それは大ベテラン菊地祥平からアドバイスされたことでもある。
「祥平さんからもどんどん(自分から)コミュニケーションを取った方がいいと思うし、点を取りに行った方がいいんじゃないかと言われました。そういった姿勢を、自分が点を取りに行く姿勢を見せつつ、今日は何人か試合中も困っているようなそぶりがあったので、そういった選手を見付けて自分からコミュニケーションを取って、(その選手が)気持ち良くプレーができるように手助けできたらいいなと思います」
立場や役割は人を変化させ、それまでの天井を突き破るきっかけを与えてくれる。大敗の中に見えた光明の一つが、安藤の意識変化となるかもしれない。まずはゲーム2で彼らがどんな戦いを見せ、その思いを示すのか、注目したい。
文/堀内涼(月刊バスケットボール)