長崎ヴェルカとアルティーリ千葉 “同期対決”がB1開幕戦で実現! 狩俣昌也「ヴェルカとアルティーリには、ほかのクラブにはないストーリーがある」

9月22日、都内にて「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON」のティップオフカンファレンスが開催された。B1所属の26クラブを代表して各クラブ1名が登壇(宇都宮ブレックスはFIBAインターコンチネンタルカップ出場のため欠席)した会見後に、対戦カードごとの囲み取材が行われた。
“あのとき”と同じ会場で
開幕節とあって、どのカーディングにも注目が集まる中、因縁の対決と呼べるのが、長崎ヴェルカとアルティーリ千葉による、“同期対決”だ。
2021-22シーズンにB3リーグに加盟した両クラブは、同リーグを圧倒的な強さで勝ち抜き、1年で昇格したB2でもすばらしい成果を残した。22-23シーズンの戦績は長崎が43勝17敗、A千葉が47勝13敗である。同年のレギュラーシーズンはA千葉が3勝1敗と勝ち越していたものの、うち2試合が1桁差、そして、全ての試合で互いに84得点以上を記録するハイスコアの撃ち合いが展開されていた。
プレーオフでは、A千葉のホームに長崎が乗り込む形でセミファイナルで対峙。このシリーズに勝った方がB1昇格となる大一番だった。1戦目はレギュラーシーズン同様のハイスコアゲームを長崎が制してA千葉に同プレーオフ初の黒星を与えると、2戦目はA千葉が逆襲。長崎をシーズンで2番目に少ない61得点に封じ込めてみせた。迎えたゲーム3は前半を終えて長崎が僅か1点リード(46-45)する大接戦。そこから3Qに28-18と抜け出した長崎が勝利し、B1昇格を果たしたのだった。
開幕戦の舞台は、奇しくも“あのとき”と同じ千葉ポートアリーナ。2023年のセミファイナルゲーム3には4147人が応援に駆け付けたが、今回の開幕戦はそれ以上の来場者数を記録することになるだろう。



長崎とA千葉からティップオフカンファレンスに登壇したのは、創設時からチームを支える狩俣昌也と大塚裕土。狩俣は37歳、大塚は38歳を迎えた大ベテランだ。
2人が口をそろえたのが、B2プレーオフでの記憶。
狩俣が「B2時代にセミファイナルで対戦したイメージがファン、ブースターの皆さんにはあると思います。当時から僕や大塚選手は所属していて、チームスタッフも何人か残っています。そんなクラブとまたこうしてB1で試合ができるのはすごく楽しみですし、立ち上げが同じ年のクラブとして、ヴェルカとアルティーリには、ほかのクラブにはないストーリーがあると思います。試合を楽しみながら、あのとき以上のアツい試合をお見せできるように頑張りたいです」と話すと、大塚も「B2のセミファイナルで負けて、長崎はB1で2シーズン戦って、クラブとしてもこの2シーズンですごく成長していると思っています。当時僕らが戦っていたメンバーとは少し変わっていますけど、自分たちもその2シーズン分を早く追いつかなければという思いもあります。当時のセミファイナルが面白かったと言ってもらったことはたくさんえりましたし、それだけ注目されていたんだと自覚もしています。この開幕カードでも面白い試合を見せたいです」と、穏やかに、しかしどこか闘志を感じるトーンで話した。
2クラブの成長曲線は、B1〜B3のどのクラブよりも急激だと言って差し支えないだろう。A千葉がはB2で2シーズンの足踏みをしてしまったとはいえ、新興勢力の枠を超越した勢いがあり、それ以上に評価できるのが互いに強固なカルチャーを形成してきたことだ。長崎は創設から僅か数年でHAPPINESS ARENAという“城”を手にし、A千葉も海浜幕張駅付近に新たなホームアリーナの建設が予定されている。
チームビルディングの面では、長崎は馬場雄大や今季加入したスタンリー・ジョンソンらスター選手を獲得しつつ、段階を踏んでB1での戦いにアジャストしていった。対するA千葉はより創設メンバーを重視した継続路線を選んで「プロセスを大切に」歩みを進めてきた。その過程は対照的かもしれないが、どちらも信念を持って突き進み、かつ正しい選択をし続けたからこそ、今日の成功があるわけだ。

2選手に、互いのクラブの成長を外からどう見ているのかと尋ねると、それぞれこう回答した。
「長崎が先にB1に昇格して、すごいスピードで新アリーナもできたり、馬場雄大選手が加わったり、すばらしいビルドアップをしていると感じています。僕もいろいろなクラブを経験してきましたが、自分たちもかなりのスピードでクラブが成長していると思っています。ただ、長崎はそれ以上のスピード感を持って成長していると思っています。B1での2シーズンでも良い戦いをしているので、ライバル関係はありながらもリスペクトの気持ちを持っています。自分は一人のプレーヤーですが、クラブの成長というところもすごく気にしているので、長崎はクラブとしてすごく成長していると思って見ています」(大塚)
「アルティーリはプロセスを大事にしているように感じます。メンバーもそうだし、僕らが戦っていたときのチームを引き継ぎながら新しいメンバーを加えて、B2の中でどんどん力を付けているなと思っていました。このオフもすごく良い補強をする中で、でもB2からB1に昇格させたコアメンバーは変えていません。そういうところでも、やはりチームカルチャーやプロセスを本当に大事にされているチームだと感じています」(狩俣)
クラブ間の縁以外にも、選手同士の縁もある。長崎のジョンソンとA千葉のブランドン・アシュリーは共にアリゾナ大出身で、ジョンソンがフレッシュマンだった2014-15シーズンにはチームのトップ2スコアラーとして活躍した。
同シーズンでジョンソンは平均13.8得点6.5リバウンド、アシュリーは同12.2得点、5.2リバウンドを記録している。ちなみに、このシーズンのアリゾナ大には、ペイサーズのTJマッコネル、“ヨルダンのコービー・ブライアント”と話題になった元NBA選手のロンデイ・ホリス・ジェファーソン、そして横浜ビー・コルセアーズのケーレブ・ダーズースキー、川崎ブレイブサンダースのドゥシャン・リスティッチも所属。主なスタメンは、ジョンソン、アシュリー、ダーズースキー、マッコネル、ホリス・ジェファーソンであった。

左からホリス・ジェファーソン、ターズースキー、ジョンソン、マッコネル、アシュリー
アシュリーとの関係を理解した上で、大塚は要注意選手にジョンソンを挙げた。「ウチのブランドンとはカレッジが一緒の元チームメイトです。スタンリーはプレシーズンでもすばらしいパフォーマンスをしているので、チームとして警戒しながらリスペクトを持って戦いたいです」
狩俣の言葉を借りるならば、この2クラブには「ほかのクラブにはないストーリー」がある。
2シーズンを経て再び顔を合わせる両者がどんな戦いを見せるのか。リーグもこのマッチアップの価値やストーリー性を理解した上で、カーディングしたはずだ。
狩俣は言う。
「B3、B2とずっとライバルで、B3時代もB2時代もずっと比べられていました。僕らが先にB1の舞台に立ちましたけど、縁のあるアルティーリとリーグ10周年の開幕カードで戦えることに縁を感じます。ほかにないストーリーを大事にしていきたいです」
“あのとき”と同じ会場で
両雄が2年越しの再戦
開幕節とあって、どのカーディングにも注目が集まる中、因縁の対決と呼べるのが、長崎ヴェルカとアルティーリ千葉による、“同期対決”だ。
2021-22シーズンにB3リーグに加盟した両クラブは、同リーグを圧倒的な強さで勝ち抜き、1年で昇格したB2でもすばらしい成果を残した。22-23シーズンの戦績は長崎が43勝17敗、A千葉が47勝13敗である。同年のレギュラーシーズンはA千葉が3勝1敗と勝ち越していたものの、うち2試合が1桁差、そして、全ての試合で互いに84得点以上を記録するハイスコアの撃ち合いが展開されていた。
プレーオフでは、A千葉のホームに長崎が乗り込む形でセミファイナルで対峙。このシリーズに勝った方がB1昇格となる大一番だった。1戦目はレギュラーシーズン同様のハイスコアゲームを長崎が制してA千葉に同プレーオフ初の黒星を与えると、2戦目はA千葉が逆襲。長崎をシーズンで2番目に少ない61得点に封じ込めてみせた。迎えたゲーム3は前半を終えて長崎が僅か1点リード(46-45)する大接戦。そこから3Qに28-18と抜け出した長崎が勝利し、B1昇格を果たしたのだった。
開幕戦の舞台は、奇しくも“あのとき”と同じ千葉ポートアリーナ。2023年のセミファイナルゲーム3には4147人が応援に駆け付けたが、今回の開幕戦はそれ以上の来場者数を記録することになるだろう。



長崎とA千葉からティップオフカンファレンスに登壇したのは、創設時からチームを支える狩俣昌也と大塚裕土。狩俣は37歳、大塚は38歳を迎えた大ベテランだ。
2人が口をそろえたのが、B2プレーオフでの記憶。
狩俣が「B2時代にセミファイナルで対戦したイメージがファン、ブースターの皆さんにはあると思います。当時から僕や大塚選手は所属していて、チームスタッフも何人か残っています。そんなクラブとまたこうしてB1で試合ができるのはすごく楽しみですし、立ち上げが同じ年のクラブとして、ヴェルカとアルティーリには、ほかのクラブにはないストーリーがあると思います。試合を楽しみながら、あのとき以上のアツい試合をお見せできるように頑張りたいです」と話すと、大塚も「B2のセミファイナルで負けて、長崎はB1で2シーズン戦って、クラブとしてもこの2シーズンですごく成長していると思っています。当時僕らが戦っていたメンバーとは少し変わっていますけど、自分たちもその2シーズン分を早く追いつかなければという思いもあります。当時のセミファイナルが面白かったと言ってもらったことはたくさんえりましたし、それだけ注目されていたんだと自覚もしています。この開幕カードでも面白い試合を見せたいです」と、穏やかに、しかしどこか闘志を感じるトーンで話した。
2クラブの成長曲線は、B1〜B3のどのクラブよりも急激だと言って差し支えないだろう。A千葉がはB2で2シーズンの足踏みをしてしまったとはいえ、新興勢力の枠を超越した勢いがあり、それ以上に評価できるのが互いに強固なカルチャーを形成してきたことだ。長崎は創設から僅か数年でHAPPINESS ARENAという“城”を手にし、A千葉も海浜幕張駅付近に新たなホームアリーナの建設が予定されている。
チームビルディングの面では、長崎は馬場雄大や今季加入したスタンリー・ジョンソンらスター選手を獲得しつつ、段階を踏んでB1での戦いにアジャストしていった。対するA千葉はより創設メンバーを重視した継続路線を選んで「プロセスを大切に」歩みを進めてきた。その過程は対照的かもしれないが、どちらも信念を持って突き進み、かつ正しい選択をし続けたからこそ、今日の成功があるわけだ。

2選手に、互いのクラブの成長を外からどう見ているのかと尋ねると、それぞれこう回答した。
「長崎が先にB1に昇格して、すごいスピードで新アリーナもできたり、馬場雄大選手が加わったり、すばらしいビルドアップをしていると感じています。僕もいろいろなクラブを経験してきましたが、自分たちもかなりのスピードでクラブが成長していると思っています。ただ、長崎はそれ以上のスピード感を持って成長していると思っています。B1での2シーズンでも良い戦いをしているので、ライバル関係はありながらもリスペクトの気持ちを持っています。自分は一人のプレーヤーですが、クラブの成長というところもすごく気にしているので、長崎はクラブとしてすごく成長していると思って見ています」(大塚)
「アルティーリはプロセスを大事にしているように感じます。メンバーもそうだし、僕らが戦っていたときのチームを引き継ぎながら新しいメンバーを加えて、B2の中でどんどん力を付けているなと思っていました。このオフもすごく良い補強をする中で、でもB2からB1に昇格させたコアメンバーは変えていません。そういうところでも、やはりチームカルチャーやプロセスを本当に大事にされているチームだと感じています」(狩俣)
クラブ間の縁以外にも、選手同士の縁もある。長崎のジョンソンとA千葉のブランドン・アシュリーは共にアリゾナ大出身で、ジョンソンがフレッシュマンだった2014-15シーズンにはチームのトップ2スコアラーとして活躍した。
同シーズンでジョンソンは平均13.8得点6.5リバウンド、アシュリーは同12.2得点、5.2リバウンドを記録している。ちなみに、このシーズンのアリゾナ大には、ペイサーズのTJマッコネル、“ヨルダンのコービー・ブライアント”と話題になった元NBA選手のロンデイ・ホリス・ジェファーソン、そして横浜ビー・コルセアーズのケーレブ・ダーズースキー、川崎ブレイブサンダースのドゥシャン・リスティッチも所属。主なスタメンは、ジョンソン、アシュリー、ダーズースキー、マッコネル、ホリス・ジェファーソンであった。

左からホリス・ジェファーソン、ターズースキー、ジョンソン、マッコネル、アシュリー
アシュリーとの関係を理解した上で、大塚は要注意選手にジョンソンを挙げた。「ウチのブランドンとはカレッジが一緒の元チームメイトです。スタンリーはプレシーズンでもすばらしいパフォーマンスをしているので、チームとして警戒しながらリスペクトを持って戦いたいです」
狩俣の言葉を借りるならば、この2クラブには「ほかのクラブにはないストーリー」がある。
2シーズンを経て再び顔を合わせる両者がどんな戦いを見せるのか。リーグもこのマッチアップの価値やストーリー性を理解した上で、カーディングしたはずだ。
狩俣は言う。
「B3、B2とずっとライバルで、B3時代もB2時代もずっと比べられていました。僕らが先にB1の舞台に立ちましたけど、縁のあるアルティーリとリーグ10周年の開幕カードで戦えることに縁を感じます。ほかにないストーリーを大事にしていきたいです」
写真/©︎B.LEAGUE、編集部 文/堀内涼(月刊バスケットボール)