エヴァンス ルーク(アルティーリ千葉)インタビュー——「僕もチームメイトも、心底勝ちたいと思っている」

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2025-26シーズンをはじめてB1の舞台で戦うアルティーリ千葉に加入したエヴァンス ルークが、そのインパクトをプレシーズンの段階から感じさせている。レバンガカップでは幸先の良い優勝に貢献。ブランドン・アシュリー抜きで戦った琉球ゴールデンキングスとの2試合は、どちらも敗れたものの平均16.0得点、フィールドゴール成功率52.0%(13/25)、3P成功率36.4%(4/11)、4.5リバウンド、2.0アシストとエースの穴を埋める存在感を示した。
エヴァンスは様々な意味でこのチームにフィットする要素を備えた新戦力だが、新天地で迎える今季に向けどんな意気込みを秘めているだろうか。

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チャンピオンシップ進出争いをにぎわし、その先を目指したい
——アルティーリ千葉入りの決め手となったのはどんなことでしたか?
理由はいくつかありました。僕に興味を示してくれた時点で、数試合の映像でどんなプレーをするのかを見てコーチと話したんですけど、環境的に僕に合っていてなじみやすそうだし、ここならばチームの力になれると思いました。千葉の町も素晴らしくて、ワイフも住みやすそうだねと気に入ってくれたんですよ。
——中でも特に大きかったのはどんなことでしたか?
やっぱり皆がプレーする様子ですね。一体感があって、コート上で成功を一緒に喜ぶことができて。誰かがいいプレーをするとベンチの皆も飛び上がって盛り上がるじゃないですか。お互いがお互いについて喜べるというのは素晴らしいことです。
——以前から知っているチームメイトはいますか?
ええ、レオ(前田怜緒)とはナショナルチームのキャンプで一緒でしたし、彼が信州ブレイブウォリアーズにいた頃には対戦相手でした。ほかにも対戦したことがあるプレーヤーが数人いましたけどね。
——千葉市に住むのは初めてだと思いますが、どこかお気に入りの場所など見つけましたか?
来日当初は時差ボケなんかもあったし、まだ引っ越してきて日が浅い上に毎日バスケットボールで忙しいので、あまり見て回ったりできていません。でも、そういうことも楽しみにしています。もういろいろと、チームメイトたちからお勧めの場所を教えてもらっているんですよ。
——エヴァンス選手はカリフォルニア州出身だし、ビーチもいいんじゃないですか?
そうなんですよ! 故郷のサンディエゴには素敵なビーチがたくさんあって、僕のお気に入りの場所だったんです。ここの新居から海辺まで10分くらいだということで、絶対に行かなきゃと思っています。
——チームメイトやファンとの会話では日本語も話されるんですか?
ええ、基本的なレベルですけどね。特にチームメイトたちと一緒のときは外国籍と日本人の橋渡しをやったりもするんですよ。
——このチームでは、どんな形で力になりたいですか?
僕ができることの一つは自分の経験を生かすこと。これまで12年間日本でプレーしてきて、直近の数年間はB1でしたしね。ファイティングイーグルス名古屋ではB2でのプレー、B1への昇格、昇格後の苦難を伴う成長の過程に身を置いてきました。そうした経験を皆に伝えることで力になれると思います。
——B2とB1で「ここが違う」と思ったのはどんなことでしたか?
最も強く感じたのはフィジカルさです。B1は総体的に、日本人のガードがフルコートでかけてくるプレッシャーから、外国籍ビッグマンの力強さまで、B2に比べてものすごく高いです。
——エヴァンス選手はその部分でもかなり力になれそうですね。
そうですね。合流直後にも皆に伝えたんですけど、この部分は練習からしっかりやっていかないといけないと思っています。練習でフィジカルにプレーしないで試合に臨むと、びっくりしている間に第1Qが過ぎて、ようやく慣れた頃には前半が終わっていたなんていうことになってしまいますから。それでは勝つことはできないですからね。
——アルティーリ千葉の練習中の緊迫感はどんなふうにとらえていますか?
いい感じだと思います。このチームは多くのメンバーが3年間、4年間と一緒にプレーしてきているので、それよりも僕の方がいかになじんでいくかというところです。チームによって、あるいはコーチによって練習への取り組み方は違うもので、僕には学ぶべきことがたくさんあります。プレーのスタイルもそうだし、個々のチームメイトにどんな傾向があるかもそう。いい形でフィットしていけるように頑張っています。
——なかなかB1昇格をできず悔しい思いをしてきた歴史を持つチームで、チームメイトとの一体感を作り上げるのはとても大事だと思います。エヴァンス選手は同じ経験をしていませんが、内面的なギャップをどのようにして埋めようと思っていますか?
確かに僕は同じ経過に身を置いてはいませんでしたけど、勝ちたいという思いは同じです。チームメイトたちも僕も、心底勝ちたいと思っています。その意気込みが同じであれば、僕らは一つになって戦えます。目標は勝つこと。それで充分です。
——エヴァンス選手自身について教えてください。好きな音楽、食べ物、にぎやかな方か物静かな方かなど、いかがでしょうか。
僕は、やたらと一喜一憂せずに、感情を抑えて平穏を保つのが自分のいいところだと思います。仲間が何かを成し遂げたときには大いに喜びたいですけどね。
アウトドア派かインドア派かといったら、どちらかと言えばインドア派。リラックスするのが好きですね。日本の夏は暑いし、あまり外に出ない方がいいでしょう(笑) でも、開幕したらもっとそうなるかも…。シーズンは長くて試合もたくさんこなさなければならないし、水曜日の試合も練習もありますからね。僕はとしてしっかり休んで栄養を取ってというところを重視しているので、いろんなことをしすぎないように心がけているんです。年齢に応じた体のケアをしていこうというわけです。
食べ物ではメキシコ料理が好きです。日本食もいいですね。寿司は最高です! でもラーメンやうどんも食べるし、結構なんでもいける方ですよ。
——最後に、今季に向けた意気込みをお聞かせください。
毎シーズン、優勝が目標であることはもちろんなのですが、B2からB1に昇格して結果を出すのはとても難しいということを僕は身をもって知っています。確か、昇格直後のシーズンで勝率5割に到達したチームはなかったと思いますが、そのラインでチャンピオンシップ進出争いをにぎわし、さらにその先を目指すというのは、僕らにとっていい目標のように思います。僕個人としてはディフェンスであれ、リバウンドであれ得点面あれ、毎試合チームに望まれる部分で貢献できるように頑張ります。
昨季のB1チャンピオンシップより(©B.LEAGUE)
アンドレ・レマニスHCは、「ルークは完成されたベテラン。直近のB1を体験しているし、B2でプレーした時期もあるので、昇格直後の流れについての知識や理解といったことも教えてもらえる」と、エヴァンスが話したのと同じ視点で貢献を期待している。「帰化枠でプレーする彼の能力やサイズをどんな形で生かせるか、それがローテーションにどんなインパクトをもたらすか、これからが楽しみです」
アルティーリ千葉は今季、エヴァンスと渡邉伶音以外全員が継続契約。また、渡邊は昨季特別指定枠で在籍していたので、純粋な新戦力はエヴァンスのみと捉えることもできる。クラブにとって帰化枠プレーヤーを迎えるのは初めてでもあり、レマニスHCがどのようなラインナップをどのように投入するかは、今季のアルティーリ千葉に関する見どころの一つ。エヴァンスの双肩にかかる期待は大きいが、どんなプレーで応えるか? B1のラストシーズンでその答えを確認していこう。
文/柴田健
タグ: アルティーリ千葉