渡邊雄太(千葉J)が語るNBAの“戦闘意識”——「グリズリーズの初年度は全員ニーパッド着用が強制」

©月刊バスケットボール
9月2日に東京・新宿区のアルペントーキョーで、渡邊雄太(現・千葉ジェッツ)のトークショーが開催された。このイベントは、渡邊のパフォーマンスを支える必須アイテムとなっているサポーターを提供するマクダビッドがファンのために設けた機会。2023-24シーズンまで6年間にわたってNBAで活躍した渡邊は、コンディショニングやケガの予防に関する本場アメリカでの体験や、日本のバスケットボールがレベルアップするために必要なことなどを語った。現場は場内に入れないファンが店舗前の通りにもあふれ、道行く人々も立ち止まって店内をのぞき込んではスマホで写真撮影するなど大盛況だった。
渡邊にとってマクダビッドは、「小さい頃から本当に憧れのブランド」だったという。「自分が着けるのはちょっとおこがましいんじゃないかというぐらい、みんなが憧れるブランドでした。今、こうやって着用させてもらって、かっこいいタペストリー(店内に展示されていた)も作ってもらっていることが、本当すごくありがたいです。実際に着用していてもすごく使いやすくて、今となっては本当に欠かせないアイテムで、本当に感謝しています」という渡邊。実は、NIT(National Invitation Tournament)での優勝、アトランティック10カンファレンスの最優秀ディフェンシブ・プレーヤー賞受賞など、輝かしい実績を残したジョージ・ワシントン大時代からマクダビッドの製品を愛用していたという。

©月刊バスケットボール
「大学時代には、ニーパッドをまず使わせてもらっていました。膝に痛みがあったときに、ぶつかけて痛みをひどくしないようにしていましたね。今は足首のサポーターや太もものパッドですね。昔から長い間愛用させてもらっているブランドです」
マクダビッドは、アメリカ・シカゴ創業で世界70か国の幅広い競技のアスリートに愛用されているスポーツメディカルブランド。渡邊が話しているように。足首など関節を保護するサポーターや、激しいコンタクトから身体を守るパッド、疲労軽減の効果があるコンプレッションウェアなどを展開している。ヨーロッパ最高峰リーグとしてしられるユーロリーグの公式パートナーとしても知られている。マクダビッドが取り扱うアイテムの使用について渡邊は、「パフォーマンスに影響します」と断言した。
「着けているという安心感だけで、もう一段プレーのギアを上げていくことができます。逆にパッドがないとぶつけてしまうんじゃないか、サポーターをつけていないと捻挫してしまうんじゃないかという恐怖感と一緒にプレーしなくてはいけないので。着けている安心感だけで、プレーの質はかなり上がっていると思います」
©月刊バスケットボール
具体的には、足首サポーターの機能性については、「安心感、着けたときの固さがすごくいい」とのこと。「同時に、だからといってそれが全然気にならない。固いサポーターは動きにくくなるようなイメージを持たれやすいと思うんですけど、そんなことは全然なくてすごいフィット感があって、身体の一部みたいな感じで活用することができるのが本当にいいと思います」と話す。サポーターに欠かせない要素である固定力と動きやすさの両立をしっかり備えているところが全国のプレーヤーたちにお奨めのポイントだ。
また、パッドに関しては、以下のように興味深い話をしてくれた。
「自分を守ってくれるというメリットはもちろんですけど、相手を守る意味でもニーパッドだったりエルボーパッドみたいなアイテムは、接触する相手をケガさせてしてしまうので。僕もニーパッドも自分のケガ防止のために着けていたんですけど、自分がニーパッドを着ければ相手にももかんを入れることは絶対なくなるので、そういう意味でチームメイトに対して気を遣えるところはすごくいいんじゃないかなと思いますよ」
チームの中では、先輩やチームメイトに気兼ねして、全員でおそろいのアイテム以外身に着けるのに気が引けるようなこともあるかもしれないが、渡邊は「格好から入るのは、僕は別に悪いことじゃないと思うんです。それに、例えば先輩に何か言われたら、『いや、先輩を守るために着けているんです』と言えば大丈夫だと思います」と、周囲への気兼ねよりも実利としての安全性を優先することを推奨していた。「グリズリーズの初年度は全員ニーパッド着用が強制で、“絶対つけろよ”と言われていましたから」という実体験も語る渡邊の言葉には説得力があった。
©月刊バスケットボール
千葉Jでの1シーズン目を終えた渡邊は、Bリーグでプレーする日本人選手のレベルアップや、海外からやってくる外国籍選手たちのレベルの高さを実感している様子だった。自身は、世界でなかなか実績を残せずにいた日本のバスケットボールを、2大会連続オリンピック出場を実現するまでに高めてきたキーマン。その立場から、日本のレベルアップのために「若い世代の育成がしっかりしないと。いかに日本中でいい取り組みができるか。日本ももっともっと力を入れていかなきゃいけないんじゃないかなと思います」と語る。
拠点を国内に変えて2シーズン目を迎える渡邊は、次世代の子どもたちに、目の前で本場NBAの迫力を見せ、夢を膨らませるという重要な役割を担っている。そのためには、しっかり身体のケアをして、ケガの可能性を最小限にすることが大切だ。このオフ期間は、コンディショニングに関して「イチからしっかりプログラムを作ってもらってやっていました。どこか一部だけを鍛えてもバランスが悪くなっちゃいますし、しっかり身体全部のバランスが整うように取り組んできました」という。念入りに作り直した身体を、マクダビッドのアイテムでプロテクトして臨む2025-26シーズン。華麗な3Pショットや豪快なダンク、ブロックショットを炸裂させる渡邊の活躍に期待しよう。
©月刊バスケットボール
©月刊バスケットボール