月刊バスケットボール10月号

中学(U15)

2025.08.26

鹿児島全中を制したのは男子・金沢学院大附、女子・京都精華学園!

8月22〜24日の3日間、鹿児島県川内市と鹿児島市で全国中学校バスケットボール大会、通称“全中”が開催された。例年、決勝進出チームは3日間で6試合をこなすタフなスケジュール。最終日の24日には、男女の準決勝と決勝が行われた。

女王・京都精華が劣勢をはね返して3連覇達成!

女子準決勝は、まず京都精華学園が高南との近畿対決を制し、2023年大会から3年連続で決勝進出。もう一方の準決勝では、四日市メリノール学院が八王子一との接戦を制し、優勝した2022年以来の決勝進出を決めた。こうして決勝戦は、近年の中学女子バスケ界をけん引する2校による好カードが実現した。





序盤、京都精華は#15アニボグ・ジェニファー・チナザ(190cm)の高さを生かしたゴール下やフリースローで着実に得点を重ねる。一方のメリノールは、エースガード#11安井穂香を中心に高確率で3Pシュートを沈め、離されずに食らい付く展開。京都精華のキャプテン#4松田梨月の2本の3Pシュートに対し、メリノールも#12佐藤ひまりの3Pシュートや#10豊山響寧のステップインで応戦し、23-21と京都精華が僅かに2点リードして1Q終了。2Qに入っても、京都精華が逃げ、メリノールが追い掛けるという展開がしばらく続いた。



風向きが変わったのは前半残り5分。メリノールは足を使ったディフェンスで中にボールを入れさせず、オフェンスでは#11安井の2本の3Pシュートや#17庄司希望の連続得点で逆転に成功する。逆に京都精華はアウトサイドのシュートが決まらず、オフェンスが単発に。7点ビハインドで前半を終え、後半が始まっても劣勢が続いた。






3Q序盤、ついにその差を10点差まで広げられると、京都精華はこの苦しい時間帯であえて5人全員を下級生に交代。ただ、これは山本綱義コーチの言葉を借りれば「うちのお家芸」であり、京都精華中・高がここぞという場面で使う切り札だ。初戦から準決勝までの試合でプレータイムをもらい経験を積んできた控えの下級生たちは、この緊張感ある場面でも思い切り良くプレー。前からプレッシャーを仕掛けて流れを引き寄せ、#12杉本愛姫のリバウンドシュートや#9板倉杏紗のバンクシュートで追い上げる。



結局、京都精華はセカンドメンバーで戦った約3分間のうちに最大12点あった差を5点まで詰め、再びスタメンと交代。ベンチで気持ちを整え、後輩たちの活躍にも励まされた3年生たちは、#6永尾芽希が2本の3Pシュートを決めるなどして再逆転に成功した。56-52で4Qを迎えると、その後も堅いディフェンスでメリノールに主導権を渡さない。そのままリードを広げ、78-66で京都精華が逃げ切り勝利。#15チナザが30得点、16リバウンド、4アシスト、4ブロックと圧巻の活躍を見せたほか、苦しい時間帯をベンチメンバーを含めてチーム一丸で乗り切り、大会3連覇を達成した。


 
試合後、山本コーチは「うちは見てのとおり、ディフェンスは得意だけれどシュート力がないとか、シュートは入るけれど走れないとか、一人一人に少しずつ足りないものがある。でもそれを、少しは補い合って戦えるようになりました」とチームの成長を称賛。優勝の喜びをかみ締めつつ、「まだJr.ウインターカップもありますし、その前に高校生のお姉さんたちはウインターカップがあります。彼女たちは今、インターハイの悔しさをバネに猛練習しているので、良い見本を見せてくれることを期待しています」と、中高両チームの今後を見据えていた。



男子は金沢学院大附が創部4年目にして圧倒的な強さを見せる

男子はまずトーナメント左側の準決勝、4連覇を狙っていた四日市メリノール学院を金沢学院大附が破り、初めて決勝の舞台に進出。一方、反対側の山からは関東1位の梅丘が、決勝トーナメント1回戦(vs.倉敷北)を8点差、2回戦(vs.倉敷南)を5点差、さらに準決勝では京都精華学園を4点差で下す快進撃を見せ、決勝へと駒を進めた。

2面からメインコートに移って行われた決勝戦。両チームとも大舞台に緊張が見られ、1Qは10-5と重い立ち上がり。しかし、金沢学院大附は激しいディフェンスからスティールに成功して#8矢作拓真らが速攻を決め、リバウンドでも優位に立って2Qから徐々にリードを広げていく。前半を28-17で折り返すと、3Qには#7カルドウェル佳哉や#5小田爽太郎が3Pシュートを決め、さらに点差を広げた。



対する梅丘も、エース#4野呂田桜輔を中心に、#8野村勇人や#5勇﨑陽太の3Pシュートで対抗する。3Q終了時には21点差を付けられる苦しい展開となったが、4Qはディフェンスを強化し、このクォーターを7失点に抑える粘りを見せた。しかし、点差を詰めるも逆転には至らず、終盤には金沢学院大附が#4村井衛のドライブや#5小田の3Pシュートで突き放し、58-43で勝利を収めた。

創部から4年目にして、初優勝の偉業を成し遂げた金沢学院大附。苦しい時間帯はあったが、終わってみれば決勝の15点差が最小で、それ以外の全試合で大差を付ける圧倒的な強さを見せ付けた。






16人いる3年生は、チームの2期生。下級生の頃から実戦経験を積んできた選手たちも多かったが、去年は夏も冬も白谷柱誠ジャック(福岡大附大濠高)を擁する四日市メリノール学院に敗退。去年からスタメンで経験を積んできた#8矢作は「去年の悔しさがあったので、今年は絶対に勝とうと思っていました。去年よりシュートも入るようになったし、大事な試合でもいつもどおりプレーできて、メンタル面も成長できたと思います」とこの1年間の歩みを振り返る。頼もしいプレーを見せた3年生たちに対し、角田敏コーチは「県大会やブロック大会で勝っても、選手たちには『成長だよ、まだまだ伸びるよ』とずっと言い続けてきました。実際、この大会中にも大きく成長してくれましたし、これからも成長していくと思います」と目を細めていた。

※全出場チームのメンバー表、決勝トーナメントを中心とした大会レポート、注目選手は9月25日発売の月刊バスケットボール11月号で!





文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

タグ: 全中

PICK UP

RELATED