月刊バスケットボール10月号

イランに惜敗、ホーバスHCと富永が口にした「遂行力不足」[FIBAアジアカップ2025]

終盤4分無得点…ファウルトラブルと攻めのズレが勝敗を分けた


8月8日、FIBAアジアカップ2025(サウジアラビア・ジッダ)で男子日本代表(FIBAランク21位)は難敵イラン(同28位)に70-78で敗戦。試合後の記者会見でトム・ホーバスHCは勝負どころでの遂行力が不足していたと語った。

会見の冒頭、ホーバスHCは「接戦になることは分かっていましたが、タフな試合でした。3Q終盤に良い流れを掴み始めたと思ったし、相手が疲れているとも感じていました。しかしその後、我々はターンオーバーが出て、ファウルトラブルもありました。4Q開始時点で、2人(富永啓生、西田優大)の選手が4ファウルになっていました。それで勢いが衰えてしまった感じです。逆に相手はステップアップし、良いシュートを何本か決めました」と振り返ると、「接戦では、バウンドや流れが自分たちに向いてくれる必要があります。しかし、今日はそうなりませんでした」と運にも見放されたと語った。

終始競り合いとなった試合、日本は4Q残り3分58秒に富永が決めたレイアップを最後に無得点となってしまった。その点についてホーバスHCは「啓生(富永)がファウルアウトし、いくつか悪いポゼッションがありました。オンボール・ディフェンスに対する我々の攻め方ですが、やりたかったことと少し違いました」とコメント。さらに「我々はペイント内でのシュート成功率が高くありませんでした。それはイランのディフェンスが非常に良かったことの証しです。そして、相手は最後の数分で3本の3Pシュートを決めて試合を決定づけました。遂行力の問題です。我々はもう少しうまく遂行すべきでした」と課題を口にした。




イランの選手にずっと掴まれていたという中、5本の3Pシュートを決めた富永啓生

同じく会見に出席した富永啓生は「試合終盤までコートに立てなかったことを申し訳なく思っています」と悔しさを滲ませると、勝負を分けた4Q終盤についてホーバスHCと同じく「もっとうまく遂行するべきだったと感じています。最後の3分間はあまり良いシュートも打てず、ターンオーバーも出てしまった。特に終盤は遂行力とポゼッションを大事にすることが重要です」と言及した。

この日、富永は5本の3Pシュートを沈めてチームトップの22得点。イランは執拗なディフェンスを展開してきたが、#55セイエド・マフディー・ジャファリや#3シナ・ヴァヘディとエキサイトしたシーンもあった。その局面について聞かれると「コートの中で彼はずっと僕を掴んでいました。だから、『play the basketball.(バスケをしろよ)』と言っただけ。それ以外はわかりません」と回答。また、初出場となった選手もいる中で何を示したいかと聞かれると、「僕も3年前、初めて公式戦でプレーしたのがアジアカップでした。今は少し経験を積み、若い選手にこういった試合で何が必要かを示すことが重要だと考えています」と、模範を示したいとアピールした。

8月10日、日本はグループステージ最終戦でグアムと対戦する。ホーバスHCは「次の試合の準備をしなければなりません。我々のトーナメントはまだ終わっていません。準備はできています」と語っている。グアムには昨年11月(82-75)、今年2月(77-56)と連勝中。相性の良さを生かし、確実に勝利してノックアウトステージへ弾みを付けたい。





■FIBAアジアカップ2025 男子日本代表登録メンバー(所属、年齢は7月27日現在)

【スタッフ】
ヘッドコーチ: トム・ホーバス(JBA)
アシスタントコーチ: 勝久 ジェフリー(川崎ブレイブサンダース)、佐々 宜央(琉球ゴールデンキングス)、冨山 晋司(JBA)
スポーツパフォーマンスコーチ: 佐藤 晃一(JBA)、緒方 博紀(JBA)
アスレチックトレーナー: 一柳 武男(JBA)、古澤 美香(JBA)
チームドクター: 武田 秀樹(NTT東日本関東病院)
テクニカルスタッフ: 磯野 眞(長崎ヴェルカ)
チームマネージャー: 西村 拓也(JBA)
アシスタントチームマネージャー: 大木 瀬音(JBA)
サポートスタッフ: 保田 延彦(JBA)

【選手】
#2 富樫 勇樹(PG/167cm /31歳/千葉ジェッツ)
#4 ジェイコブス 晶(SF/203cm/21歳/フォーダム大)
#7 テーブス 海(PG/188cm/26歳/アルバルク東京)
#13 金近 廉(SF/196cm/22歳/千葉ジェッツ)
#14 狩野 富成(C/206cm/23歳/サンロッカーズ渋谷)
#18 馬場 雄大(SF/196cm/29歳/ –=co-キャプテン)
#19 西田 優大(SG/190cm/26歳/シーホース三河)
#23 ジャン・ローレンス・ハーパージュニア(PG/181cm/22歳/サンロッカーズ渋谷)
#24 ジョシュ・ホーキンソン(C/PF/208cm/30歳/サンロッカーズ渋谷=co-キャプテン)
#30 富永 啓生(SG/188cm/24歳/レバンガ北海道)
#91 吉井 裕鷹(SF/196cm/27歳/三遠ネオフェニックス)
#99 川真田 紘也(C/204cm/27歳/長崎ヴェルカ)
【リザーブ選手】#20 山﨑 一渉(SF/200cm/22歳/ノーザン・コロラド大)
※ポジション(P)=PG-ポイントガード、SG-シューティングガード、SF-スモールフォワード、PF-パワーフォワード、C-センター

【FIBAアジアカップ2025】
開催期間 : 8月5日 (火) ~ 8月17日 (日)
開催地 : サウジアラビア・ジッダ
日本戦スケジュール : (※TIPOFF時間はいずれも予定)
・8月6日 (水) 99-68 シリア
【放送・配信】日本テレビ、DAZN、TVer

・8月8日 (金) 70-78 イラン
【放送・配信】テレビ朝日、DAZN、ABEMA

・8月10日 (日) vs. グアム 20:10 TIPOFF
【放送・配信】テレビ朝日、DAZN、ABEMA

大会公式サイト (日本語) : https://www.fiba.basketball/ja/events/fiba-asiacup-2025






文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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