月刊バスケットボール10月号

桜花学園、亡き恩師に捧ぐ日本一!4年ぶり26回目の優勝【中国インターハイ2025】

頂点に導いた桜花学園のキャプテン#4濱田 ななの

桜花学園が4年ぶり日本一奪還


「中国インターハイ2025」(7月27日~8月1日/岡山県岡山市)もいよいよ最終日、8月1日、女子決勝で日本航空北海道(北海道)と桜花学園(愛知)が対戦。2Q25-15とした桜花学園が16点リードを作って後半を迎えると、粘る日本航空北海道を振り切って勝利。4年ぶり26回目の日本一奪還を果たした。


創部わずか3年で初の全国大会決勝まで上り詰めた日本航空北海道。186cmの#00ファトゥマタ・カマラによる堅実なディフェンス、#1宇都鈴々奈と#73中村泉咲が見せるオフェンス、そしてエース#6庵原有紗の勝負強さと、チーム全体のバランスが光る。準々決勝では4連覇を狙う女王・京都精華学園(京都)を撃破し、準決勝では前年準優勝の岐阜女(岐阜)も倒して決勝の舞台に立った。
対するのは、32度目の決勝進出となる名門・桜花学園。チームの得点源でムードメーカーでもある#7イシボ・ディバインは4試合のうち3試合でダブルダブルを達成。#4濱田ななのと#8勝部璃子は試合を重ねるごとに調子を上げ、華麗な技術と卓越したスピードを誇る司令塔#6竹内みやも見逃せない存在だ。今大会では3回戦で優勝候補の大阪薫英女学院(大阪)を撃破。精華女(福岡)との準決勝では苦戦を強いられたものの、4Qでの攻守の連携により逆転勝利を収めた。選手たちが胸に抱く想いは共通している。それは26度目の全国制覇を成し遂げ、昨年末に亡くなった井上眞一コーチへ優勝の報告を届けることだ。


試合開始から互いに点を取り合った両者



日本航空北海道は#6庵原のミドルシュートで先制。桜花学園は直後に#8勝部が決めると#4濱田、#7ディバインと連続得点を奪う。日本航空北海道は#6庵原がシュートを沈め続けるが、#6竹内、#4濱田がレイアップで得点した桜花学園が残り5分で12-10とした。
日本航空北海道は#1宇都の3Pシュート、#6庵原のミドルシュートで得点し競り合うが、桜花学園は高確率でシュートを決定。#8勝部の3Pシュート、#7ディバインがプットバックを決めるなどでじりじりとリードを広げ、21-15で1Qを終えた。

桜花学園は2Q、ファーストオフェンスで#4濱田がプルアップ3Pシュートを成功。さらに堅いディフェンスを展開し、ズレを作らせない。日本航空北海道は#1宇都がジャンパー、レイアップで得点源となったが、桜花学園は#8勝部がバスケットカウント。ボーナススローも決めて27-16とした。日本航空北海道は#00カマラのバスケットカウントに続いてリバウンドから#6庵原が決めて差を詰めたが、桜花学園は2ファウルとなった相手エース#6庵原に仕掛けて追加点。#7ディバイン、#9國武珂憐がシュートを決めて差を広げた。日本航空北海道は#1宇都も2ファウルとなってベンチへ。#73中村泉咲が3Pシュートを沈めると終了間際に#6庵原が得点。それでも桜花学園は#15水林夢翔がブザービーターを決定。46-30とリードを広げてハーフタイムを迎えた。


日本航空北海道#73中村 泉咲は武器である3Pシュートで得点

笑顔でコートに入ってきた日本航空北海道は3Q、ボックスアウトの意識が高くなってリバウンドで互角に。攻撃に転じるが、開始5分で#6庵原、#73中村が挙げた4得点のみとスコアが伸びない。それでもクォーターには、#00カマラのプットバックに続いて#6庵原がフリースローで、#1宇都がクロスオーバーからのジャンパーで得点。桜花学園は#6竹内のシュートが決まったが、日本航空北海道が巻き返し、桜花学園の54-42で3Qを終えた。


桜花学園#6竹内 みやは何度となくチャンスを作り、自らも得点



勝負の4Qに入っても、日本航空北海道はリバウンドで優勢に。桜花学園のプレッシャーもあって序盤は得点が伸びなかったが、残り7分半、#73中村のスティールから#38菅野愛子がレイアップを決めて10点差とした。このあと互いに速いテンポで攻める中、約3分間得点が止まったが、残り4分半に桜花学園#8勝部が3Pシュートを成功させた。それでも日本航空北海道は下を向かない。#1宇都が果敢なドライブからファウルをもらって得点に続いて#6庵原がレイアップを成功。残り3分で9点差とした。


日本航空北海道#6庵原有紗はエースらしいプレーでけん引

猛追される桜花学園は残り1分半、#5山田桜来がレイアップをねじ込んで63-52と再び2桁差に。逆転勝利を狙う日本航空北海道はタイムアウトを取って、矢倉直親コーチから指示が出す。タイムアウト明け、#6庵原がジャンパーを決めると、#73中村の3Pシュートが飛び出して残り50秒で6点差に。直後に桜花学園のターンオーバーを引き出すと#6庵原がジャンパーを決め、残り23.6秒で桜花学園の63-59となった。このあと桜花学園は時間を使い切り、試合終了。4年ぶり26回目の日本一奪還を果たした。

桜花学園は#8勝部がチームトップの19得点。#6竹内は13得点、#7ディバインは12得点(10リバウンド)と3人が2桁得点をマーク。日本航空北海道は#6庵原が28得点、10リバウンドのダブルダブル。さらに#1宇都が11得点を奪い、#00カマラが10得点、14リバウンドと記録した。リバウンドでは40-35と上回った日本航空北海道はターンオーバー(TO)も12本と決してミスは多くなかった。ただ、桜花学園のTOはわずか5本。ミスの少なさも勝利につながったようだ。

<桜花学園優勝オンコートインタビュー>
白慶花コーチ
「素直にすごくうれしいです。私たちはディフェンスから流れを掴むチームなので、そこから流れを掴もうよと話していて、最後はリバウンドを徹底しようと指示しました。選手たちも自分たちで話し合っていたので、絶対いけると思っていました。桜花一丸、命懸けというのをテーマに掲げて、コートに立っている選手も、ベンチの選手もチームが一つになったし、応援席から見守ってくれている部員たちや保護者の方々も含めて一つの思いで、あの、試合に臨めたことが勝因だと思います。

岡山インターハイは、井上先生が初優勝を果たした場所で、生前もすごく楽しみにされていました。その思いを隣で聞いていたので、この優勝をプレゼントしたいと思っていましたし、部員たちが本当に、命懸けでもがきながらも、一生懸命やってくれていました。なんとか自分にできることを120%出して、勝利を届けたいなと思ってやっていました。ちょっと先生も喜んでくれるんじゃないかなと思います(笑)。ありがとうございました」

#4 濱田ななの選手のコメント
「めちゃくちゃうれしいです。自分たちが差を詰められている時間帯でも、『気持ちで攻めよう』とみんなで言葉をかけながらプレーしていました。
自分は、その調子が上がらない時間帯もあったんですけど、頼もしい仲間たちがいるので助けられていました。プレッシャーも多少はあったんですけど、自分たちはチャレンジャーなので、しっかり自分たちのバスケを40分間、徹底しようという気持ちでやっていました。3年生が少ない中で、1、2年生は不安もあったと思います。それでも、最後までついてきてくれて支えてくれて、本当にありがとうと言いたいです。ありがとうございました」

#8 勝部璃子選手のコメント
「まだ全然実感が沸かないのですが、日本一になれてすごいうれしいです。最近は負けてしまうことが多くて、今年こそは絶対日本一になりたいという強い思いを持っていました。(日本航空北海道#6庵原のディフェンスについて)前半の部分で、結構やられてしまい、自分も思うようにプレーできなかったんですけど、みんなが『大丈夫だよ』と声をかけてくれたので、オフェンスでしっかり取り返すことができたんじゃないかなと思います。(今日が誕生日)本当に一生忘れられない最高の誕生日です。ありがとうございます。自分はもっと成長していきたいと思っているので、ウインターカップに向けて、また成長した姿が見せられるように頑張りたいと思います。ありがとうございます」


勝負どころで飛び出した桜花学園#8勝部 璃子の3Pシュート

日本航空北海道 59-63 桜花学園
1Q 15-21
2Q 15-25
3Q 12-8
4Q 17-7






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