月刊バスケットボール10月号

大学

2025.08.01

【WUBS2025】「日本勢躍進」の期待を背負う日本学生選抜と日体大

新人インカレでの京都産業大戦で果敢なアタックを見せる湧川裕斗(©月刊バスケットボール)



日体大、日本学生選抜、白鷗大と日本勢がこぞって初日で敗れた第3回ワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ(World University Basketball Series=以下WUBSWUBS2024から1年が過ぎ、今年も89日(土)~11日(祝・月)にかけて、国立代々木競技場第二体育館でWUBS2025が開催される。昨年5位と日本勢最高成績を収めた日体大、その日体大に5-6位決定戦で屈した日本学生選抜は2年連続出場。新チームで昨年の悔しさを晴らす機会を得た。

WUBS2025に出場する顔ぶれは、ディフェンディング・チャンピオンのデ・ラサール大とフィリピン大のフィリピン勢2チームに、昨年準優勝の高麗大(韓国)、同3位の国立政治大(NCCU=チャイニーズ・タイペイ)、同4位のシドニー大(オーストラリア)、そして初出場の香港大(HKU=香港)の海外勢6チームに日体大と日本学生選抜を加えた8チーム。初日の組み合わせは以下のとおりとなっている。

89日(土)の対戦(1回戦4試合)
Game1 NCCU vs デ・ラサール大(11:10~)
Game2 HKU vs 日本学生選抜(13:10~)
Game3 日体大 vs シドニー大(15:10~)
Game4 フィリピン大 vs 高麗大(17:10~)

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日体大、日本学生選抜とも、まずは初戦に勝って4強入りを果たし、チームとしてだけではなく日本の大学バスケットボール界の上昇機運を加速していきたいところ。ビッグゲームを前に、両チームの戦力を振り返っておこう。


日本学生選抜は全員1、2年生の大胆なチーム構成

WUBS2025の日本学生選抜は724日に発表された。指揮官は昨年から継続して西尾吉弘HC(大東文化大学監督)が務める。また、セレクションに際して根底に下級生に機会を用意する考えがあることも昨年同様に感じられる。平均身長188.7cmも、昨年のチーム(189.5cm)と大きくは変わらない。

■WUBS2025の日本学生選抜チーム

<選手> ☆はWUBS2024出場選手
#1 佐藤 友(SF / 189cm / 東海大2年)☆
#2 赤間 賢人(SG / 189cm / 東海大2年)
#3 小川 瑛次郎(SF / 187cm / 白鷗大2年)
#4 中村 英司(SG / 188cm / 大東文化大2年)
#5 石川 晃希(PF / 192cm / 明治大2年)
#6 菅野 陸(PG / 177cm / 山梨学院大2年)☆
#7 児玉 ジュニア(SG / 180cm / 日本経済大2年)
#8 湧川 裕斗(PG / 183cm / 明治大1年)
#9 近 怜大成(C / 200cm / 大東文化大1年)
#10 松本 秦(SF / 191cm / 早稲田大1年)
#11 井伊 拓海(C / 197cm / 筑波大1年)
#12 十返 翔里(SF / 191cm / 東海大1年)
#13 高田 将吾(SF / 189cm / 筑波大1年) ※「高」ははしごだか

<チームスタッフ>
チームリーダー/ヘッドコーチ 西尾 吉弘 大東文化大
アシスタントコーチ 松島 良豪(国士舘大)、仲澤 翔大(筑波大)
アスレティックトレーナー 関根 悠太(帝京平成大)
ストレングス&コンディショニングコーチ 鎌田 晃太郎(サンロッカーズ渋谷)
テクニカルスタッフ 櫻井 椋介(国士舘大)
チームマネージャー 大島 理子(大東文化大)
アシスタントチームマネージャー 幸地 あすか(東海大)

昨年と異なるのは西尾HCがチームリーダーを兼務していることと、ロスターの全員が12年生という点。WUBS2024を経験したメンバーも佐藤と菅野の2人だけで、1年生が6人おり、現実的かどうかは別として1年生だけでコート上を占めることさえ可能だ。そうした意味では、昨年以上に大胆な人選と言えるのではないだろうか。

今回初選出のメンバーには、新人インカレを制した日本経済大の得点源で、大会のMVPを受賞した児玉や、昨年ウインターカップ2024で福岡大附大濠高の全国制覇に大きく貢献した湧川、大東文化大の期待のビッグマンで身長200cmの近らが名を連ねる。近、井伊、十返は7月にウィリアム・ジョーンズカップの日本代表として日の丸を胸に戦ってきたばかり(このチームには西尾HCもアシスタントとして帯同)。半数以上がアンダーカテゴリーで代表活動を経験しているロスターでもあり、ポテンシャルの高さに疑問の余地はない。


日本経済大の児玉ジュニアは、新人インカレで新たな歴史を作る初優勝に大きく貢献し、大会MVPに選出された(©月刊バスケットボール)

昨年悔しい思いをした西尾HCが、同じ思いを共有する佐藤と菅野の力も借りながら、有能なタレントがそろうこの集団にどんな闘志を注ぎ込むか。WUBS2025は、いよいよ開幕まで10日を切っている。

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風雲急を告げる日体大のチーム状況

スプリングトーナメントで3連覇を成し遂げWUBS2025の出場権を勝ち取った日体大では、いくつか気になる出来事があった。中でも非常にインパクトが大きいと思われるのは、同大会の得点王となりMVPに選出された小澤飛悠のプロ転向だ。77日に名古屋ダイヤモンドドルフィンズ入りが発表されている。押しも押されもせぬエースがチームを離れたことで、戦力に少なからぬ影響があると考えるのが自然だろう。

その小澤を除き、スプリングトーナメントで出場機会があったのは以下の選手たちだ。

#1 コネ ボウゴウジィ ディット ハメード(C / 207cm / 3年)
#5 高口 陽季(SF / 188cm / 2年) ※「高」ははしごだか
#6 吉田 叶貴(F / 183cm / 3年)
#7 西部 秀馬(F / 189cm / 4年)
#10 早田 流星(F / 185cm / 4年)
#11 山口 瑛司(PG / 181cm / 2年)
#13 新谷 勇晴(PG / 187cm / 1年)
#14 土合 夢咲(F / 184cm / 1年)
#15 サー シェッハ(C / 200cm / 1年)
#17 小野寺 星夢(SG / 180cm / 1年)
#21 月岡 熙(PG / 174cm / 4年)
#23 東郷 然(PG / 187cm / 1年)
#35 大江 悠斗(PG / 170cm / 3年)
#41 石川 響太郎(SG / 180cm / 4年)
#45 朝田 健心(SG / 180cm / 3年)
#52 小田 健太(SF / 185cm / 3年)
#55 寺岡 拓真(SF / 177cm / 3年)

この中で#1コネは同大会のリバウンド王と優秀選手賞、#21月岡はアシスト王、#7西部はベストファイブ輝いている。また#5高口、#11山口、#13新谷、#15サー、#17小野寺、#23東郷らは6月の関東新人戦で数字を残した。ただ、関東新人戦での日体大は、本戦3回戦で江戸川大に敗れ、最終的に11位と予想外に元気のない結果に終わった。これが日体大に関してもう一つ気になる出来事だ。


WUBS2025で心機一転の再スタートを期する日体大にあって、運動能力が高いビッグマンのコネが屋台骨として活躍することも欠かせない条件だろう(©月刊バスケットボール)

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年連続24回目の優勝を果たしたスプリングトーナメントから、大きく変化した状況に置かれている日体大。チームキャプテンの#10早田、ゲームキャプテンの#21月岡ら上級生を中心に、再起を期して臨むWUBS2025では、昨夏の成績を上回り王座を争う輝かしい姿を期待したい。

文/柴田健

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