月刊バスケットボール10月号

大学

2025.07.24

【WUBS2025】期待しかない「リディーム・チーム」——日本学生選抜

WUBS2024で日本学生選抜の一員としてプレーした菅野は、その後FIBA U18アジアカップ2024で日本代表に選出された(©FIBAU18AsiaCup2024))



日本のカレッジバスケットボールファンにとって、第4回を迎えるワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ(World University Basketball Series=以下WUBS)での大きな注目点の一つに、昨年に続き2大会連続での出場が決まっている日本学生選抜のメンバーと戦いぶりがあるのではないだろうか。昨年は初日に高麗大との接戦に72-79で競い負けたことが響いて最終的に6位。2日目に白鷗大から手にした80-58の勝利が唯一の白星であり、最終日は日体大に77-93で再び敗れた。

指揮官を務めた西尾吉弘HC(大東文化大学監督)以下誰も、国の名前を背負ったチームでのこの結果に満足できなかったのはもちろんだ。しかし一方では、12人中10人が2年生以下という若いメンバーの間に短期間で絆も芽生え、みごとな連係からの得点シーンが多々あり、チーム一丸となった堅守が光る時間帯も長かった。大会を終えて西尾HCが、「このチームでもう少しやってみたいと思いました」と話したほど、WUBS2024の日本学生選抜は手応え、見応えのあるチームでもあったのだ。

来る89日(土)~11日(祝・月)に国立代々木競技場第二体育館で開催されるWUBS2025に臨む今年のチーム構成は、まだ発表されていない。しかし2度目の挑戦となる今回は、昨夏の悔しさを引き継いで上位進出という結果をぜひとも期待したいところだがどうなるか。初日の対戦相手は初出場の香港大(香港)。勝てば翌日はディフェンディング・チャンピオンのデ・ラサール大(フィリピン)と同3位の国立政治大(NCCU=チャイニーズ・タイペイ)の勝者とセミファイナルを戦うことになる。

昨年黒星を喫した相手の高麗大と日体大は、フィリピンから初出場を果たすフィリピン大(フィリピン)、シドニー大(オーストラリア)とともに逆山。まずは初戦に勝利して4強入りを決め、最後に昨年のリベンジを果たして優勝——こんな流れで日本学生選抜の名誉挽回なるか? これはWUBS2025全体の見どころの一つでもあるだろう。



単独チームとして出場する日体大を除く国内の大学生プレーヤーたちの中で、WUBS2025の日本学生選抜に名を連ねる可能性が高いのはどんな顔ぶれだろうか。第48回李相佰盃⽇・韓⼤学代表バスケットボール競技⼤会(以下李相佰盃、5月1618日に韓国で開催)、第44回ウィリアム・ジョーンズカップ(以下ジョーンズカップ、71220日までチャイニーズ・タイペイで開催)、FIBA U18アジアカップ2024(以下U18アジアカップ2024、昨年929日にヨルダンで開催)でのセレクションを、参考まで掲載しておこう(※印はWUBS2024の日本学生選抜に名を連ねたプレーヤー)。

☆李相佰盃メンバー(プロ転向を表明したプレーヤーは除外)
塚本 智裕(PG / 80cm / 大東文化大4年)※
中川 知定真(PF / 192cm / 東海大3年)
田中 流嘉州(F / 194cm / 大東文化大4年)
轟 琉維(PG / 169cm / 東海大3年)※
大館秀太(SF / 200cm / 東海大九州2年)※
広瀬 洸生(SG / 190cm / 青山学院大3年)※
ウィリアムス ショーン莉音(PF / 197cm / 白鷗大2年)
境 アリーム(C / 198cm / 白鷗大3年)
武藤 俊太朗(SG / 190cm / 明治大3年)
佐藤涼成(PG / 173cm / 白鷗大4年)

☆ジョーンズカップの大学生メンバー
中川 知定真(PF / 192cm / 東海大3年)
近 怜大成(C / 200cm /大東文化大1年)
広瀬 洸生(SG / 189cm /青山学院大3年)※
ウィリアムス ショーン莉音(PF / 197cm /白鷗大2年)
アピア パトリック眞(C / 197cm /専修大2年)
佐藤 涼成(PG / 173cm / 白鷗大4年)

U18アジアカップ2024に出場した現在大学生のプレーヤー
髙田 将吾(F / 189cm /福岡大附大濠高3年→筑波大)
菅野 陸(PG / 177cm /山梨学院大1年)※
深澤 桜太(PF / 198cm / 中央大1年)※
和田 拓磨(SG / 187cm /北陸高3年→大東文化大)
十返 翔里(SF / 191cm /八王子学園八王子高3年→東海大)
千保 銀河(SF / 188cm / 開志国際高3年→明治大)

WUBS2024では日本学生選抜に1年生が4人選ばれていたので、例えばU18アジアカップ2024のメンバーから十返や千保らにも可能性は十分ある。


FIBA U18アジアカップ2024での十返(©FIBAU18AsiaCup2024)





また、今年5月のスプリングトーナメント、7月のルーキーインカレでどんなプレーヤーの活躍が際立っていたかも要チェック事項に違いない。スプリングトーナメント3連覇を達成して単独チームでWUBS2025に出場する日体大からは、同大会で3年生の小澤飛悠が最優秀選手賞と得点王に輝いたほか、4年生の西部秀馬が優秀選手賞、3年生のコネ ボウゴウジィ ディット ハメードは優秀選手賞に加えリバウンド王、そして4年生の月岡熙がアシスト王の栄誉を手にした。そしてこのほか、以下のプレーヤーが個人賞を受賞している。

☆スプリングトーナメント2025個人表彰
佐藤 涼成(PG / 173cm / 白鷗大4年): 敢闘賞、MIP
針間 大知(SG186cm、明治大4年): 優秀選手賞
高山 鈴琉(PG173cm、中央大3年): 優秀選手賞
塚田 大聖(PF196cm、明治大3年): 優秀選手賞
三浦 健一(F190cm、早稲田大3年): 3P
芦田 真人(SG182cm、青山学院大3年): 3P

☆ルーキーインカレ個人表彰
児玉 ジュニア(SG180cm、日本経済大2年): 最優秀選手賞
ロイ 優太郎(SF190cm、白鷗大2年): 敢闘賞、リバウンド王
是久 春道(PF187cm、日本経済大2年): 優秀選手賞
ボディアン・ ブーバカー・ベノイット(PF198cm、日本経済大1年): 優秀選手賞
南澤 空(PG167cm、白鷗大2年): 優秀選手賞
石川 晃希(PF192cm、明治大2年): 優秀選手賞
太田 凜(SG182cm、京都産業大2年): 優秀選手賞
ソロモン レイモンド(C203cm京都産業大1年): 得点王、リバウンド王
湧川 裕斗(PG183cm、明治大1年): 3P王、MIP
淺田 竜輝(SG180cm、日本経済大2年): アシスト王

上記のリストは、WUBS2025の日本学生選抜に選出される可能性がある全てのプレーヤーということではない。例えばスプリングトーナメント決勝で、日体大に敗れたとはいえ3P12本中6本を決めて22得点を稼いだ白鷗大の小川瑛次郎(SG187cm)のようなタレントもいる。小川は2022年にFIBA U17ワールドカップで3P成功率1位という勲章を手にしており、翌23年にはU19日本代表のワールドカップベスト8進出の力になった。昨年はU233x3ワールドカップに出場した日本代表のメンバーでもあり、フィジカルさとショットメイクを年々高めている。


FIBA 3x3 U23ワールドカップ2024のベナン戦で果敢なダライ部を試みる小川(©FIBA3x3U23WC2024)

どんなロスターになるにせよ、個々のタレントには期待しかない日本学生選抜。短期間にチームとしてのまとまりを育み、ポテンシャルを最大限コート上で発揮する難しさは、混成チームで結果を求める際の宿命だが、どこまでできるか? 昨年の悔しさを忘れず、笑顔で追われる結果を期待しながら、セレクションの行方とWUBS2025での戦いぶりに注目しよう。





文/柴田健

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