月刊バスケットボール10月号

女子日本代表2大会連続準優勝、4Q3P攻勢で同点にするも勝利ならず [FIBA女子アジアカップ2025]

4Qいい流れを作ったが勝利ならず


7月20日、女子日本代表(FIBAランク9位)は「FIBA女子アジアカップ2025」(中国・深圳)決勝でオーストラリア(同2位)と対戦。前半を終えて43-54、3Qを終えて59-67と苦しい時間が続いたが4Q、3Pシュート攻勢で同点に。しかし、その後、リードを許して79-88で敗戦。2大会ぶりの優勝はならなかった。

グループBに入った日本は初戦・レバノン戦(72-68)、第2戦・フィリピン戦(85-82)と連勝を飾ったが、第3戦のオーストラリア戦では前半を51-42とリードして折り返しながら、後半(16-37)に失速し67-79で今大会初黒星を喫した。準決勝進出決定戦ではニュージーランド(同26位)に対して後半に流れを掴んで77-62で勝利。そして昨日、前回決勝で敗れた開催国の中国 (同4位)との対戦では、前半を2点ビハインドで終えたものの、3Q24-14とし、リードを作ると4Qも反撃を許さず。90-81で勝利した。日本は女子アジアカップにおいて、2013年大会(タイ・バンコク)から2021年大会(ヨルダン・アンマン)まで5連覇を達成。6連覇をかけて臨んだ前回の2023年大会(オーストラリア・シドニー)では、決勝で中国に敗れている。

日本のスタメンは不動の#26田中こころ、#2今野紀花、#3馬瓜ステファニー、#8髙田真希、#10渡嘉敷来夢。日本の初得点は今日も#26田中。中国戦のファーストシュートのようなディープ3Pシュートを射抜く。さらに#2今野が右ショートコーナーからジャンパーを沈めた。しかし、オーストラリアも#15カイラ・ジョージが2本連続で3Pシュートを沈めるなどスタートからシュートタッチが良い。追いかける展開となる中、#3馬瓜が3ポイントプレー、#26田中が緩急を生かしてトップからレイアップを決めて10-8としたが、インサイドで失点し再びリードを許す。#26田中のレイアップから得点が止まっていた日本は、#4川井麻衣のフリースローで3分ぶりの得点。6点差としたが、高さを生かすオーストラリアに得点を許し、12-22とされてしまった。このあと日本は#26田中の3Pシュート、#8髙田、#10渡嘉敷のフリースローなどで追加点を奪ったものの、20-29で1Qを終えた。日本は1Qターンオーバー6本を犯し、9点を献上した(オーストラリアはTO0)。

2Qに入っても日本はレイアップに続いて、#10渡嘉敷の得点を演出するなど#26田中がオフェンスをけん引。一方でオーストラリアのオフェンスに苦しむ時間が続き、残り5分で26-42となった。それでも、#3馬瓜が個人技でファウルを奪って得点につなげると、#52宮澤、#37薮未奈海が3Pシュートを成功。さらに#10渡嘉敷のレイアップ、#8髙田のターンアラウンド・ショットとオフェンスにリズムが出てきた。クォーター終盤には#26田中がプルアップ3Pシュートに続いてレイアップを決めたが、43-54でハーフタイムを迎えた。日本は#26田中が19得点と唯一の2桁得点。チームとしては2Pシュートで56.25%(9/16)、3Pシュートで50%(5/10)と高い成功率をマーク。しかしターンオーバー9本から12点を献上した(豪州はTO2で2失点)。



3Q開始から、日本のディフェンス強度がアップ。シュートミスを引き出すと、#52宮澤が積極的な仕掛けを見せて得点。47-56と9点差にすると、#8髙田の連続得点で7点差と迫った。それでもオーストラリアは再びボールマンへのディフェンスを強めると、インサイド・アタックから得点。再び2桁差に戻した。それでもクォーター終盤に再び点差を詰めた日本。#52宮澤、#4川井、#10渡嘉敷の得点でこのクォーターは16-13と上回り、59-67で3Qを終えた。

勝負の4Q序盤、日本は3Pシュート攻勢。#52宮澤の2本連続に続いて#8髙田がウイングから射抜き、残り8分で68-70とした。さらに残り7分20秒、#8髙田が左ショートコーナーからジャンパーを沈めて同点に。オーストラリアが着実にスコアを伸ばす中、日本は#52宮澤がまたも3Pシュートを沈め返して簡単にリードを広げさせない。

それでも2点差で迎えた残り4分50秒、オーストラリアは#12ステファニー・リードが3Pシュートを成功。さらにインサイドでも決められて残り4分で7点差を付けられた。この直後、日本は#8髙田のフリースローで連続失点をストップしたものの、残り3分を切ったところで再び10点差にされてしまった。最後まで懸命なディフェンスを見せた日本だったが、得点が伸びず。79-88で敗れ、2大会連続準優勝となった。

日本は#26田中が21得点、6リバウンド、9アシストをマークし、#52宮澤が18得点、#8髙田が14得点と3人が2桁得点。チームとして2Pシュート成功率が45.95%(17/37)、3Pシュート成功率が42.86%(9/21)と高い精度を見せたうえ、リバウンドでも38-39と奮起したが、ターンオーバーが17(オーストラリア9)と増えてしまった。



■FIBAアジアカップ2025
日程:2025年7月13日〜20日
開催地:中国・深圳(深圳スポーツセンター)
出場国(予選グループフェーズ)
【グループA】中国(4)、ニュージーランド(26)、韓国(14)、インドネシア(57)
1位:中国(3勝)
2位:韓国(2勝1敗)
3位:ニュージーランド(1勝2敗)
4位:インドネシア(3敗)

【グループB】日本(9)、オーストラリア(2)、フィリピン(44)、レバノン(54)
1位:オーストラリア(3勝)
2位:日本(2勝1敗)
3位:フィリピン(1勝2敗)
4位:レバノン(3敗)
※()内数字はFIBAランキング(2025年7月7日時点)
試合日程(日本時間)
7月13日(日) 14:30 日本 72-68 レバノン
7月14日(月) 20:30 日本 85-82 フィリピン
7月15日(火) 17:30 日本 67-79 オーストラリア
7月18日(金)17:30 準決勝進出決定戦 日本 77-62 ニュージーランド
7月19日(土) 準決勝 日本 90-81 中国
7月20日(日) 決勝 日本 79-88 オーストラリア
放送・配信:BSフジ・フジテレビ・CSフジテレビNEXT・TWO・FOD・DAZN

■2025 年度バスケットボール女子日本代表チーム
FIBA 女子アジアカップ 2025 日本代表選手 メンバー表

【スタッフ】
チームリーダー 小栗 弘(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ コーリー・ゲインズ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ 宮田 知己(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アナライジングコーチ 伊藤 恭子(デンソー アイリス)
通訳 下條 海(公益財団法人日本バスケットボール協会)
スポーツパフォーマンスコーチ 臼井 智洋(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー 荻野 まゆみ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー 小川 未央 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
チームマネージャー 古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)
チームマネージャー 小松 佳緒里(ENEOSサンフラワーズ)
テクニカルスタッフ 有賀 早希(富士通 レッドウェーブ)
ドクター 小松 孝行(順天堂大学医学部スポーツ医学研究室)

【選手】
髙田 真希(PF / 185cm /35歳 / デンソー アイリス)
渡嘉敷 来夢(C / 193cm / 34歳 / アイシン ウィングス)
宮澤 夕貴(PF / 183cm / 32歳 / 富士通 レッドウェーブ)
川井 麻衣(PG / 171cm / 29歳 / デンソー アイリス)
栗林 未和(C / 188cm / 26歳 / 東京羽田ヴィッキーズ)
馬瓜 ステファニー(SF / 182cm / 26歳 / CASADEMONT ZARAGOZA)
オコエ 桃仁花(PF / 183cm / 26歳 / ENEOSサンフラワーズ)
今野 紀花(SG / 179cm / 25歳 / デンソー アイリス)
星 杏璃(SG / 171cm / 25歳 / ENEOSサンフラワーズ)
東藤 なな子(SG/PG / 175cm / 24歳 / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
薮 未奈海(SF/SG / 178cm / 20歳 /デンソー アイリス)
田中 こころ(PG / 172cm / 19歳 / ENEOSサンフラワーズ)
※年齢・所属は7月7日時点





文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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