女子日本代表がFIBA女子アジアカップ開催地に向けて出発|ゲインズHC「目標は優勝」

「日本がトップレベルのチームであることを世界に証明したい」
7月10日、FIBA女子アジアカップ2025(中国・深圳/7月13〜20日)に臨む女子日本代表が出国前の記者会見を実施。コーリー・ゲインズHC、キャプテンの髙田真希、さらに渡嘉敷来夢、田中こころが大会への意気込みを語った。
初めに取材を受けたゲインズHCは、今大会を「ジャパンバスケットボール」の完成に向けた土台作りの場と位置付け、「我々の目標は優勝すること」と強調。「アジアカップでもワールドカップでも、常に優勝を目指します。それと同時に、この長いプロセスの始まりとして、いい習慣を作っていくことが大切です」と語った。そして、「NBAでも最初から勝てるチームはほとんどありません。だからこそ、我々もこの段階でしっかりと土台を築いていくことが重要です」と続け、プロセスの重要性を強調した。
選出された12人の平均身長は180cmと大型になったが、ゲインズHCは「ロスターを決めるうえで身長は重視していません。選手たちがたまたま大きかっただけ」と説明。「日本にとっては大型ラインナップかもしれませんが、他のチームに比べればまだまだ小さい。一番大事なのはスピードとペースです」と言い切った。
髙田真希キャプテンは、新体制の初陣となる今大会について「まだまだ成長段階だとは思っていますが、勢いをしっかり生み出せるように自分が声を出して、リーダーシップを取りたいです」と意気込みを示し、「選手個々も能力が高いですし、ディフェンスもオフェンスもアグレッシブになってきています。このスタイルのバスケットが展開できれば、優勝も取れると思いますし、世界とも戦えると感じています」と手応えを語っている。

「勢いを生み出せるよう声で引っ張りたい」とリーダーとしての覚悟をにじませた髙田
気になる中国やオーストラリアといった高さのある相手への対策については、「高さ対策は簡単ではありません。試合中に苦しい展開もあると思うので、お互いにカバーしながら、マッチアップを変えていくなどして助け合えたらいいなと思います」とコメント。また、久しぶりのFIBA大会出場となる渡嘉敷の存在について「2m超えの選手がいると、彼女(渡嘉敷選手)の負担は相当大きくなると思います。でもリバウンドやディフェンス面で本当に助かりますし、リーダーシップも取れるので、すごく頼もしい存在が帰ってきたなと感じています」と、その存在感の大きさを改めて実感している様子だった。

「高さという日本の課題を補いたい」と語る渡嘉敷。経験とサイズでゴール下を支える
その渡嘉敷は、「身長の高い選手とやる機会って、日本ではあまりないので、今回それができるのが楽しみです」とコメント。「高さという日本の課題を、自分がゴール下で体を張って補えたらと思っています。リバウンドやディフェンスの部分で、しっかりチームに貢献したいです」と意気込みを見せると共に、「(今回選出の12人の)身長が高くなっていますが、だからといって日本の良さであるスピードが落ちているとは感じていません。自分も含めて、全ポジションの選手がそこを追求すれば、世界と戦える、勝てるというのが見えてくると思います」と期待感をにじませた。
またチーム最年少19歳の田中こころは、「今は楽しみのほうが大きいです。海外の大きな選手と戦えるのがワクワクしています」と笑顔を見せ、「自分が軸になってボールプッシュしたり、前にパスを飛ばしたりしていけば、速いペースで試合ができると思っているので、1試合1試合、しっかりやっていきたいです」とコメント。「毎日の練習が本当に勉強で、みんなから刺激をもらっています。感謝の気持ちを忘れずにやってきたので、それをアジアカップでもしっかり出したいです」と学びの成果をコートで示したいと意気込んだ。

「自分が軸になってペースを作る」と語った田中、ゲームメイクに注目したい
「我々の努力とスピード感を楽しんでほしいです。そして、日本がトップレベルのチームであることを世界に証明したいと思います」と強調したゲインズHC。“ジャパンバスケ”が掲げる、速いペース、武器である3Pシュート、カオスの中での遂行力、そしてヒットファーストのリバウンド。このスタイルが相手をどう翻弄するのか、見逃せない。
FIBA女子アジアカップは、来年開催されるFIBA女子ワールドカップ2026の予選も兼ねており、優勝すれば出場権を即時獲得。上位6チームには最終予選への出場権が与えられる。過去、女子日本代表は2013年大会(タイ・バンコク)から2021年大会(ヨルダン・アンマン)まで5連覇を達成。6連覇を狙った前回大会(2023年大会/オーストラリア・シドニー)は決勝で中国に敗れた。2大会ぶりの王座奪還に向け、“新生ジャパン”がいよいよ中国・深圳で戦いの火蓋を切る。
■2025 年度バスケットボール女子日本代表チーム|FIBA 女子アジアカップ 2025 日本代表選手 メンバー表
【スタッフ】チームリーダー 小栗 弘(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ コーリー・ゲインズ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ 宮田 知己(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アナライジングコーチ 伊藤 恭子(デンソー アイリス)
通訳 下條 海(公益財団法人日本バスケットボール協会)
スポーツパフォーマンスコーチ 臼井 智洋(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー 荻野 まゆみ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー 小川 未央 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
チームマネージャー 古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)
チームマネージャー 小松 佳緒里(ENEOSサンフラワーズ)
テクニカルスタッフ 有賀 早希(富士通 レッドウェーブ)
ドクター 小松 孝行(順天堂大学医学部スポーツ医学研究室)
【選手】
髙田 真希(PF / 185cm /35歳 / デンソー アイリス)
渡嘉敷 来夢(C / 193cm / 34歳 / アイシン ウィングス)
宮澤 夕貴(PF / 183cm / 32歳 / 富士通 レッドウェーブ)
川井 麻衣(PG / 171cm / 29歳 / デンソー アイリス)
栗林 未和(C / 188cm / 26歳 / 東京羽田ヴィッキーズ)
馬瓜 ステファニー(SF / 182cm / 26歳 / CASADEMONT ZARAGOZA)
オコエ 桃仁花(PF / 183cm / 26歳 / ENEOSサンフラワーズ)
今野 紀花(SG / 179cm / 25歳 / デンソー アイリス)
星 杏璃(SG / 171cm / 25歳 / ENEOSサンフラワーズ)
東藤 なな子(SG/PG / 175cm / 24歳 / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
薮 未奈海(SF/SG / 178cm / 20歳 /デンソー アイリス)
田中 こころ(PG / 172cm / 19歳 / ENEOSサンフラワーズ)
※年齢・所属は7月7日時点
■FIBA女子アジアカップ 2025
日程:2025年7月13日〜20日
開催地:中国・深圳(深圳スポーツセンター)
出場国(予選グループフェーズ)
【グループA】中国(4)、ニュージーランド(26)、韓国(14)、インドネシア(57)
【グループB】日本(9)、オーストラリア(2)、フィリピン(44)、レバノン(54)
※()内数字はFIBAランキング(2025年7月7日時点)
試合日程(日本時間)
7月13日(日) 14:30 日本 vs レバノン
7月14日(月) 20:30 日本 vs フィリピン
7月15日(火) 17:30 日本 vs オーストラリア
7月18日(金) 準決勝進出決定戦/7-8位決定戦
7月19日(土) 準決勝/5位決定戦
7月20日(日) 決勝/3位決定戦

文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)