女子日本代表「課題と希望のドロー」成長途上の融合チームが挑む一歩目[三井不動産カップ2025(東京大会)]

ゲインズHC「これをポジティブに捉えるべき」
7月3日、三井不動産カップ2025 (東京大会)バスケットボール女子日本代表国際試合が有明アリーナで開催され、女子日本代表はデンマークと対戦した。
今年度の女子日本代表はFIBA女子アジアカップ2025に向けて強化を進めている。FIBA女子アジアカップは2年おきに行われるアジア№1を決める大会で、今年は中国・深圳において7月13日~20日の日程で開催される。そして、来年行われるFIBA女子ワールドカップ2026の予選にもなっており、優勝すれば出場権を獲得できるほか、上位6チームが最終予選へとコマを進めることになる。女子日本代表は女子アジアカップにおいて、2013年大会(タイ・バンコク)から2021年大会(ヨルダン・アンマン)まで5連覇を達成。6連覇をかけて臨んだ前回の2023年大会(オーストラリア・シドニー)では、決勝で中国に敗れているだけに、2大会ぶりに女王の座を取り戻すための戦いとなる。
デンマークとは2試合行うが、1試合目の日本スターターは髙田真希、渡嘉敷来夢、馬瓜ステファニー、今野紀花、田中こころの5人が務めた。
1Qはサイズに勝るデンマークのインサイドを必死に抑えにいくも、逆に3Pシュートを良く決められて、13-23と後手に回った日本。デンマークが5/7の3Pシュートを決めたのに対し、日本は2/10と低調。さらに日本はターンオーバーも5本と多く、良さが出ない。
2Qに入り、日本はディフェンスから反撃。相変わらず3Pシュートが入らない状況が続くものの、ドライブなどで徐々に点差を詰めていき、32-35と3点のビハインドで折り返した。

後半に入ると渡嘉敷のインサイド、星杏璃の3Pシュートで逆転。髙田が続き、再び星が3Pシュートを決めて、42-35と流れに乗る。その後も日本のディフェンスが効果を発揮し、試合の主導権を奪うかと思われたが、要所でミスが出てしまいデンマークを突き放せない。
54-47で最終クォーターに入るとデンマークに連続得点を許し1ゴール差に迫られる。さらに3Pシュートも決められ56-57と一時は逆転されてしまう。しかし、オコエ桃仁花の3Pシュートで再逆転、その後、田中のバスケットカウントでリードを奪い返す。だが、この日はなかなかリズムに乗り切れず、デンマークにスキを与えてしまい、残り1分34秒で同点に追い付かれてしまう。その後も膠着したまま65-65と同点での試合終了(公式戦ではないため延長は行わない取り決め)となった。

「やはりターンオーバーが多く、なかなかリズムをつかめませんでした。チームとしては『ペースを大事に』と言われていますが、あれだけターンオーバーが多いと速い展開に持ち込めません。特に試合の序盤でプレーが途切れてしまうと、リズムに乗るのが難しくなります」と試合後に髙田は振り返る。「正直なところ、オフェンスもディフェンスもまだまだ練習でやり込めていない部分が多いです」と課題を口にする。
コーリー・ゲインズHCは「我々は自分たちのスタンダードでプレーできませんでした。こういうことは時々起こるものだと分かっています。だから、これをポジティブに捉えるべきでしょう。もしアジアカップで今日のようなプレーをしたら、我々は窮地に立たされます。ですから、良いことも悪いことも受け止めます。今日は悪い試合でした。これがアジアカップで起こらなくて良かったと思います」と認めるように、ゲーム内容は悪かった。

もちろん、悪いことばかりではない。髙田は「シュートの成否はその日の試合によって変わるので、3Pシュートに頼らず、入らないときこそペイントアタックを狙っていくことが大事だと思います」と、この日はしっかりとペイントに入り込んで、シュートを決め切っていったことで、持ちこたえることができていた。そして、代表に戻ってきた渡嘉敷も「個人的には久しぶりに自分より身長が高くてパワーのある選手と戦えました。それは、次につながると思います。もし自分が代表活動をしていくのであれば、必ず必要になってくる経験なので、そこは手応えがありました」と、まずまずの手応えを得た様子。また、ゲインズHCからの期待も大きく、この試合ではスターターで起用された若き司令塔の田中も「今まで自由にやれていたところが、少し強くなった相手に対して自分の弱いところが出たということだと思っているので、自分的には次に生かせると思っています」とこの試合の経験を今後に生かしていくことを力強く語っている。さらに「アジアカップに出たいという思いが強い」という薮未奈海が日本チームで最多の12得点を記録するなど、若手の台頭が見られている。

ゲインズHCはこの試合のスターターについて「(身長の高い)デンマーク相手だからということではありません。アジアカップを考えてのものです」と話し、「明日は全く違う試合になると思いますが、それはデンマークに勝つためのものではありません」と語っていることから、日本としてでき得る範囲でのサイズアップと若手の登用、若手とベテランの融合を図っている姿が見て取れる。ゲインズHC率いる女子日本代表の姿が徐々に見えてきているが、アジアカップに向けてはあまり時間がない。渡嘉敷が「チームディフェンス、例えばヘルプやローテーションといった部分では、まだまだ課題が残ると思いました」と語ったように、チームとしての連動の部分でいかに精度を上げていけるかがカギとなる。

7月3日(木)
チーム 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
日本 13 19 22 11 65
デンマーク 23 12 12 18 65

文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)