月刊バスケットボール10月号

女子日本代表、女王奪還へ──ゲインズHC「アジアカップは優勝しに行く」

「アジアカップは勝ちに行く大会です」


7月に控える「三井不動産カップ2025」(東京大会)および「FIBA女子アジアカップ2025」(中国・深圳)を前に、第4次強化合宿を行っている女子日本代表が6月28日、練習をメディアに公開。その練習後にコーリー・ゲインズHCと髙田真希キャプテンが囲み取材に応じ、手応えと課題、そしてアジアカップに懸ける思いを語った。

「アジアカップは勝ちに行く大会です。新しいことを試すのではなく、結果を求めます」。コーリー・ゲインズHCは明確な言葉で、7月の本番に向けたスタンスを語った。「アジアカップはもちろん本当に大事な大会。日本として、この大会には特別な意味があると思っています。今回はベテランも何人か連れていく予定で、我々の意気込みは勝ちに行くこと。優勝です。中国遠征のように新しいことを試す場ではありません。完全に勝つためにいきます。おそらく決勝は中国との対戦になると予想しています」。

FIBA女子アジアカップにおいて日本は、2013年大会から5連覇を達成してきたが、2023年大会では決勝で中国に敗れて連覇がストップ。今大会は、その“アジアの女王”の座を奪還すべく臨む重要な舞台となる。



若手メンバーで臨んだ6月の中国遠征では2戦2敗(第1戦92-101、第2戦61-93)と白星は付かなかったが、2m超のビッグマンを擁する中国との対戦を通して「フィジカルな戦い方」「高さへの対処」「新しいスタイルへの適応」など、多くの収穫があったと語る。

ゲインズHCが重視しているのは、スピードと“リード&リアクト”の徹底だ。中国戦2戦目での反省点として、「パスの本数(311)は多かったが、攻めるパスではなかった」と分析。ペースがスローになったことにも言及し、「走ること、テンポを上げることがこのチームの生命線。思い切りよくプレーする姿勢が必要」と語った。

また、チーム最年少19歳の田中こころに言及。「若くして大きな責任を担っているが、毎日話し合い、目標を設定している。代表でポイントガードになれる資質がある」と言葉にした。





髙田真希が語る現在地とキャプテンとしての覚悟


キャプテンとなった髙田真希は「確実にステップアップしている」と一定の手応えを口にする一方で、「まだまだ基準には届いていない」と現状を冷静に分析。そして「コーチの求めていることを100%やる。その繰り返しが完成形につながっていく」と語り、プロセスも重視したいとアピールした。

そしてディフェンスでは、これまでのスタイルから大きく変化していると説明。「ローテーションの精度」が鍵を握るとし、ハードなプレッシャーと連動した助け合いによって、タフショットや24秒バイオレーションを奪うシーンが増えるそうだと語ると、「完成すれば相手にとって非常に厄介なディフェンスになる」と語った。



6月7日・8日に強化試合を行ったチャイニーズ・タイペイ代表戦では女子日本代表は、東藤なな子や今野紀花がハンドラーとなるというシーンがあった。その新たな試みについて髙田は「彼女たちがどれだけ吸収し、自信を持ってプレーできるかが鍵」と見ている。

7月3・4日に控えるデンマーク代表戦。ゲインズHCが構想する新スタイルの完成度と、フィジカル・スピード・判断力といった要素がどこまで成熟しているかを測る重要な試金石となる。

「アジアの頂点に返り咲きたい。まずは優勝がすべて。そのために今やるべきことをやりきる」。髙田の言葉は、ベテランの覚悟と責任感を端的に表していた。





■第4次強化合宿(15名)
日程:2025年6月26日(木)〜7月2日(水)
会場:味の素ナショナルトレーニングセンター

■三井不動産カップ 2025(東京大会)
開催日:2025年7月3日(木)・4日(金) 19:00TIPOFF予定
会場:有明アリーナ(東京都江東区有明1丁目11-1)
試合:女子デンマーク代表と2試合

■2025 年度バスケットボール女子日本代表チーム
FIBA女子アジアカップ 2025 日本代表候補選手
第4次強化合宿・三井不動産カップ 2025(東京大会) メンバー表

【スタッフ】
チームリーダー 小栗 弘(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ コーリー・ゲインズ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ 宮田 知己(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アナライジングコーチ 伊藤 恭子(デンソー アイリス)
通訳 下條 海(公益財団法人日本バスケットボール協会)
スポーツパフォーマンスコーチ 臼井 智洋(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー 荻野 まゆみ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー 宮口 佳子 (S-Life はりきゅう院)
チームマネージャー 古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)
チームマネージャー 小松 佳緒里(ENEOSサンフラワーズ)
テクニカルスタッフ 有賀 早希(富士通 レッドウェーブ)

【選手】(15名)
髙田 真希(PF / 185cm /35歳 / デンソー アイリス)
渡嘉敷 来夢(C / 193cm / 34歳 / アイシン ウィングス)
宮澤 夕貴(PF / 183cm / 32歳 / 富士通 レッドウェーブ)
川井 麻衣(PG / 171cm / 29歳 / デンソー アイリス)
赤木 里帆(SG/PG / 167cm / 26歳 / 富士通 レッドウェーブ)
栗林 未和(C / 188cm / 26歳 / 東京羽田ヴィッキーズ)
馬瓜 ステファニー(SF / 182cm / 26歳 / CASADEMONT ZARAGOZA)
オコエ 桃仁花(PF / 183cm / 26歳 / ENEOSサンフラワーズ)
藤本 愛瑚(SG/SF / 179cm / 25歳 / ENEOSサンフラワーズ)
奥山 理々嘉(SF / 180cm / 25歳 / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
今野 紀花(SG / 179cm / 25歳 / デンソー アイリス)
星 杏璃(SG / 171cm / 25歳 / ENEOSサンフラワーズ)
東藤 なな子(SG/PG / 175cm / 24歳 / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
薮 未奈海(SF/SG / 178cm / 20歳 /デンソー アイリス)
田中 こころ(PG / 172cm / 19歳 / ENEOSサンフラワーズ)
※年齢・所属は6月25日時点

【今後のスケジュール】
7月3日・4日:三井不動産カップ2025(東京大会)日本 vs デンマーク
 会場:有明アリーナ
7月13日〜20日:FIBA女子アジアカップ2025(中国・深圳)






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