男子は福岡第一が宿敵・大濠に1点差の劇的勝利!女子は精華女が雪辱を果たし女王の座に[九州大会]

決勝を終えて健闘をたたえ合う両チーム
【男子】最終盤までもつれたライバル対決、勝負を決めたのは長岡の土壇場ショット
九州8県から男女それぞれ16チームが集結した今大会。男子は福岡大附大濠、福岡第一の福岡勢2チームと、柳ヶ浦、別府溝部学園の大分勢2チームがベスト4へと勝ち進んだ。準決勝では、柳ヶ浦が#10古謝脩斗と#34ファデラ・ママドゥの“ホットライン”を軸に福岡大附大濠を追い詰め、61-63と2点差の惜敗。柳ヶ浦の中村誠コーチは「ケガ人もなく万全の状態で臨めただけに、本当に悔しい」と唇をかんだ。もう一方の準決勝では、別府溝部学園が猛追を見せるも、福岡第一が75-65で振り切り、決勝への切符を手にした。

オールラウンドなプレーが光る柳ヶ浦の絶対的な大黒柱#34ママドゥ
そして迎えた男子決勝。6月初旬にインターハイ福岡県予選で激闘を繰り広げた福岡第一と福岡大附大濠のライバル対決は、またしても最後の1秒まで目が離せない熱戦となった。
福岡大附大濠は、代表活動やBWB Asia 2025、ケガなどで主力選手を多数欠く苦しいチーム状況。それでも、「福岡第一と今まで何度も戦ってきた経験が出た」と片峯聡太コーチが語るように、#13榎木璃旺や#8サントス・マノエルハジメ、#7村上敬之丞ら3年生がチームをけん引し、相手に走らせないバスケットで一歩も引かない互角の戦いを繰り広げる。

準決勝、決勝と要所で強気なプレーを見せた福岡大附大濠#7村上
前半は、#33宮本聡・#35耀兄弟を軸に堅いディフェンスを見せた福岡第一が29-26と僅かにリードしたが、3Q、1年生ビッグマン#20山元珠來のバスケットカウントなどで福岡大附大濠が逆転に成功。ただ、すかさず福岡第一も#34シー・ムサの連続得点で応戦し、44-42とリードを奪い返して運命の最終クォーターへ。
4Qも一進一退の攻防が続く。福岡大附大濠は#9廣田翼が力強いプレーでファウルをもらうなどチームを沸かせるが、福岡第一も#13山口銀之丞のドライブで逆転を許さない。終盤、福岡第一は#34ムサが足を攣りかけてベンチへ。それでも#35宮本耀のドライブで1点リードし、そこからお互いに息詰まる守り合いとなって残り時間が刻々と削られていく。
残り16.9秒、福岡大附大濠#9廣田のドライブが決まり、51-50と土壇場で逆転。勝負あったかに思われたが、福岡第一は残り5.5秒、#42長岡大杜が値千金のタフショットをねじ込み、再逆転。これが決勝点となり、福岡第一が1点差(52-51)で九州王者の栄冠を手にした。
試合後、健闘をたたえ合った両チーム。福岡第一の応援席からは「インターハイ頑張れよ〜!」とのエールも送られ、大濠の#13榎木は「福岡第一さんの思いも背負って、インターハイは必ず優勝します」と力強く誓った。片峯コーチは「最後の場面がどうしてもフォーカスされるかもしれませんが、その前の場面でターンオーバーやフリースローのミスなど、勝ち切れなかった要因はもっとありました。本戦までに修正したい」と冷静に先を見据えた。

福岡第一#42長岡はチームを救うヒーローとなった
優勝した福岡第一の井手口孝コーチは、ほっと胸をなで下ろしつつ「長岡もトンプソンも佐藤も藤田も⋯良かったり悪かったりでしたね。最後はよく決めたけれど、ガード陣も含めてもっと波なくシュートが入らないと。収穫としては、ムサが留学生1人でもだいぶ頑張れるようになったことですね」と大会を総括。今年はインターハイ出場を逃したが、「夏の台湾遠征やトップリーグで、もう一度チームを鍛え直します」と、次なる戦いへ向けての構想を語った。
【女子】内外から得点を重ねた精華女が、新人戦の雪辱を果たし九州制覇
女子のベスト4には、精華女、石川、東海大付福岡、慶誠が名を連ねた。特に白熱したのは、九州新人決勝の再戦となった東海大付福岡と慶誠の準決勝だ。長くリードしていたのは、エースの浜口ゆずをBWB Asia 2025で欠きながらも#11東口紅愛ら経験豊富なメンバーが躍動した東海大付福岡。しかし慶誠は終盤、#17澤田樹奈の3Pシュートや#33蔵満莉緒の2度のバスケットカウント、#1陽本麻生のジャンプシュートなどで10-0の猛攻を見せ、逆転勝利。もう一方の準決勝は、精華女が石川に77-39で快勝して決勝進出を決めた。
昨年度から経験を積んだメンバーが多い東海大付福岡

接戦を制してベスト4入りした石川
決勝は、精華女と慶誠の顔合わせに。2月の九州新人準決勝では慶誠に敗れた精華女だったが、この日は序盤から試合の主導権を握る。インサイドの#44アギンダーレ・タイウォ・イダヤットだけでなく、アウトサイドシュートも高確率で成功。前半を終えて42-24と、大量リードを奪った。
後半、追い掛ける慶誠も#17澤田の3Pシュートなどで反撃を試みるが、精華女は#8岡田沙也、#9吉川愛未らが効果的に3Pシュートを決め返し、流れを渡さない。最後まで攻撃の手を緩めなかった精華女が82-55で慶誠を下し、見事リベンジを果たした。

精華女の得点源となる#44タイウォ
精華女の大上コーチは「新チームが始まってから負けてばかりでしたが、インターハイ予選の地区予選で優勝した頃から、選手たちが『自分たちでもできる』と自信を持ってくれた」とチームの成長に目を細める。キャプテンの#7森田栞名は「新人戦ではインサイドに頼ってしまいましたが、今大会はみんなが思い切ってシュートを打てました」と胸を張り、大黒柱の#44タイウォも「2月の新人戦では得点が私だけだったのですが、その後、みんなすごくシューティングして、たくさん入るようになりました。九州新人ですごく悲しかったから、今はめちゃくちゃうれしい!」と喜びを爆発させた。
一方、敗れた慶誠の右田卓也コーチは「福岡の強豪相手に1日2試合戦う難しさ、メンタル的な弱さが出ました」と反省の弁。キャプテンの#17澤田は「決勝は足が止まってしまったと思います。今年は2番から1番ポジションになったので、ゲームメイクの部分をもっと成長させたい」、エースの#1陽本麻生は「去年までは困ったときに先輩たちに頼っていたのですが、今年は自分がやらなきゃいけない。インターハイでは自分が決め切るという意識を強く持ちたい」と、それぞれが悔しさをバネに、全国舞台での飛躍を誓った。

慶誠は今大会の悔しさをインターハイにぶつける構えだ
大会最終順位(上位4チーム)
[男子]
優勝:福岡第一
2位:福岡大附大濠
3位:柳ヶ浦、別府溝部学園
※同県対決のため3位決定戦は実施せず
[女子]
優勝:精華女
2位:慶誠
3位:東海大付福岡
4位:石川
全試合結果(男子)
[決勝]
福岡第一 52-51 福岡大附大濠
[準決勝]
福岡大附大濠 63-61 柳ヶ浦
福岡第一 75-65 別府溝部学園
[2回戦]
福岡大附大濠 73-58 沖縄水産
柳ヶ浦 82-55 延岡学園
福岡第一 81-54 宮崎工
別府溝部学園 85-75 九州学院
[1回戦]
福岡大附大濠 114-46 熊本工
沖縄水産 91-61 れいめい
福岡第一 96-62 佐賀北
宮崎工 86-77 長崎工
延岡学園 68-63 瓊浦
柳ヶ浦 87-48 唐津工
別府溝部学園 102-62 鹿児島
九州学院 92-72 興南
全試合結果(女子)
[決勝]
精華女 82-55 慶誠
[3位決定戦]
東海大付福岡 93-46 石川
[準決勝]
精華女 77-39 石川
慶誠 61-53 東海大付福岡
[2回戦]
精華女 104-73 明豊
石川 53-50 延岡学園
慶誠 101-52 佐賀北
東海大付福岡 75-47 小林
[1回戦]
精華女 104-75 熊本商
明豊 63-48 佐賀清和
慶誠 82-56 瓊浦
佐賀北 57-54 小禄
石川 105-75 れいめい
延岡学園 71-47 鎮西学院
小林 53-49 大分
東海大付福岡 92-59 鹿児島
写真・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)