負傷エース、意地の14得点!ペイサーズ逆王手で運命のゲーム7へ[NBAファイナル]

止まらない信念、止まらせなかったシリーズ
NBAファイナル2025はゲーム6を終え、ついに勝者を決める最終戦へ突入する。現地6月19日(日本時間20日)、インディアナ・ペイサーズはホームのゲインブリッジ・フィールドハウスで、3勝2敗と王手をかけていたオクラホマシティ・サンダーに対して108‐91で勝利。シリーズは3勝3敗のタイにし、勝負を最終戦に持ち込んだ。試合後、満場のアリーナに響いたのは「One more game!」の大合唱だった。
この試合最大のトピックは、右ふくらはぎの負傷を抱えるタイリース・ハリバートンが出場に踏み切ったことである。ゲーム5では6本のフィールドゴールをすべて失敗し、キャリア初のFG成功ゼロという厳しい内容に終わっていた。その試合中にはゲーム2で痛めた右ふくらはぎに再び問題を起こしていたハリバートンは「これはファイナルなんだ。歩けるくらいならプレーしたい」と語った。
ゲーム6での彼のプレーは、まさにその言葉を体現するものだった。出場時間22分53秒で14得点、5アシスト、2スティール。“大活躍”というほどのスタッツではない。それでも、その存在がチームに与えた影響は計り知れない。2Qにはスティールからのノールックパスでパスカル・シアカムのダンクを演出。ベンチに戻る際には、コートサイドのファンとハイタッチを交わし、会場の熱気は最高潮に達した。
「ブラザーたちと一緒に戦うためにコートに立ちたかった。もしチャンスを与えなかったら、自分を責めていたと思う」と、ハリバートンは試合後にコメント。「(カーライル)コーチには正直に話しました。『もし自分らしくなければ代えてくれ』と。何よりも勝ちたかったんだ」。
試合前日の会見でも、「すべては1試合にかかっている」「外の雑音は毒だ」と繰り返していたハリバートンは、SNSアプリを削除し、情報をシャットアウトして準備に集中していたという。出場に向けてはMRI検査や身体機能のチェックもクリアし、最終的にチームドクターの許可を得てコートに立った。高気圧酸素治療、電気刺激療法機器、テーピングなど、あらゆる手段を講じてコンディションを整えた姿勢にも、勝利への執念が表れていた。
指揮官リック・カーライルHCも「彼の出場については、ドラマというものではない(出場して当たり前)」と強調する。「メディアは騒いでいたが、彼自身はただ静かに準備をしていた。ドラマを持ち込まず、プレーするために最善を尽くしていた」。
ペイサーズにとって、ゲーム5での敗因の一つがターンオーバーだった。この点についてカーライルHCは、「我々はより良いプレーをした。本来いるべき場所に立ち、ボールに対して強固なプレーを見せた」と振り返る。実際、この試合では前半で2本、試合トータルで10本(サンダーは前半12本、試合合計21本)とサンダーの誇るディフェンスを上回る集中力を見せた。
ペイサーズは2Q、一気にリードを掴んだ
ペイサーズはベンチ陣も奮起。TJ・マッコネルは12得点、9リバウンド、6アシストと攻守に躍動。ハリバートンも「TJとオビ(トッピン)はベンチのエンジン。僕らの層の厚さがカギになる」と信頼を口にする。カーライルHCも「みんなが一体となって戦えていた」と語り、勝利に向けた結束力の高さを感じさせた。
敗れたサンダーは持ち味を発揮できなかった。相次ぐターンオーバーでリズムを崩し、4Q開始時には主力がベンチに下がる展開に。エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーも「当然の報いだ。彼らの方がハードにプレーした」と率直に相手をたたえた。
「これは、夢見てきたすべてのための1試合。勝てばすべてを手に入れるし、負ければ何も残らない」。ゲーム7への意気込みを聞かれたSGAのこの言葉が、すべてを物語っている。
ペイサーズにとって、NBAチャンピオンはまだ手にしたことのない称号だ。ABA時代の3度の優勝はあるが、NBAでは未踏の頂。今、その夢の扉をこじ開けるための“最後の1試合”が目前に迫っている。
ハリバートンは言う。「今は旅路を語る時ではない。ゲーム7に集中している。それが終わってから、振り返ればいい」。
勝つのは、どちらか一方。ゲーム7は、6月23日午前9時(日本時間)ティップオフ。勝者はNBAの頂点に立つことになる。果たしてバスケットボールの神は、どちらに微笑むだろうか。
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■NBAファイナル2025 試合結果一覧(3勝3敗)※試合時間は日本時間
GAME1(ホーム:OKC) ペイサーズ 111-110 サンダー
GAME2(ホーム:OKC) ペイサーズ 107-123 サンダー
GAME3(ホーム:IND) サンダー 107-116 ペイサーズ
GAME4(ホーム:IND) サンダー 111-104 ペイサーズ
GAME5(ホーム:OKC) ペイサーズ 109-120 サンダー
GAME6(ホーム:IND) サンダー 91-108 ペイサーズ
GAME7(ホーム:OKC)6月23日(月)AM9:00
放送/NBA Rakuten/WOWOW
