海外組が存在感を放つ! 男子日本代表ディベロップメントキャンプ開催中

6月13日(金)より、東京都北区・味の素ナショナルトレーニングセンターで「2025年度 男子日本代表チーム ディベロップメントキャンプ」がスタート。若手中心の、16歳から27歳までの19人のメンバーが集結した。

「今回はアメリカからの選手が多いじゃないですか。7人かな? その理由は、2月と11月に行われた(FIBAアジアカップ2025予選の)Window、(海外の)大学生は来られない。(合宿を組める時期が)今しかないんです。だから、そういう選手をいっぱい見たい」
15日のメディアデーでそう語ったのは、トム・ホーバスHC。ハワイ大のジェイコブス晶やネバダ大の山ノ内勇登、シアトル大の川島悠翔など、現在海外でプレーする若手選手が多数集う豪華な顔ぶれとなった。

中でも注目は、19人のメンバーのうち唯一パリオリンピックを経験したジェイコブス。今合宿では、かつてNBAグローバルアカデミーでチームメイトだった川島とも再会を果たし、リラックスした表情を見せていた。そんなジェイコブスは、「合宿メンバーの中でも経験がある1人なので、これまでの経験を生かして、リーダーシップの部分を期待されています。そこはトムさんからも『すごく良くなっていますよ』と言われていて、頑張っているところですね」と笑顔で語り、小さくガッツポーズ。これまでとは異なる役割に挑戦しながら、合宿で持ち味のシュートなどをアピールしている。
また、1年前のディベロップメント合宿から見た目にも大きな変化があったのがテーブス流河(ボストン・カレッジ)だ。大学でのファーストシーズン、強豪が集うACC(アトランティックコーストカンファレンス)で戦う中で、肉体改造に取り組み体重を12kg増量。胸板の厚さや腕の太さが明らかに変わり、持ち味のバランスの良いスキルの高さに加え、課題だったフィジカル面を強化していた。
そんなテーブスは「山あり谷ありで、試合に出れて活躍できたり、逆に1分も出られなかったり。本当に、良いときも悪いときもありました」と大学1年目を振り返る。「最初は体が細く、見た目が日本人。アメリカの大学にはアジア人選手自体が珍しいので、相手チームのコーチが『しとめてこい!』みたいに指示するのも聞きました。でもそれに負けずにオフェンスで貢献して、ディフェンスではIQを使って(身体的な差を)カバーしようとしています」と厳しい環境下での取り組みを語り、「日本ではできない経験だと思うので、大切にしています」と言う。
そうした過酷な環境をくぐり抜けながら成長しているのは、ほかの“海外組”も同様だ。たとえば、右膝の大ケガから復帰してラドフォード大で活躍を見せた山﨑一渉(ノーザン・コロラド大に編入)も、「メンタル的にもつらい部分があったのですけど、大学のコーチ陣や周りの人たち、日本の友人、家族という存在が支えてくれた。大きなケガから復帰して、本当にどうなるか分からなかったんですが、そこを乗り越えて今ここ(合宿)にいれるということは、本当に自分としても成功体験」と語り、心身ともに一層レベルアップしてキャンプに臨んでいる。
海外組の彼らが持ち込む高い基準と熱量は、国内組の刺激にもなっている。Bリーグで新人賞に輝いた脇真大(琉球ゴールデンキングス)や、最年少16歳の白谷柱誠ジャック(福岡大附大濠高)も、その存在に大きな影響を受けている様子。特に白谷は、ホーバスHCから「将来的には2番ポジション(シューティングガード)」を目指すべきと期待をかけられており、白谷本人も「サイズもあって外もできる万能型の選手になりたい。その点、年齢が近い自分が憧れている選手たちから、いろいろ学ばせてもらっています」と目を輝かせていた。
ホーバスHCは、「アジアカップのメンバーに今回の合宿メンバーが加わる可能性も十分ある」と明言。ディベロップメントキャンプは、未来の日本代表を占ううえでも重要なステージとなりそうだ。
■2025年度バスケットボール男子日本代表チーム
「ディベロップメントキャンプ」メンバー
【スタッフ】
ヘッドコーチ: トム・ホーバス(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ: 勝久 ジェフリー (川崎ブレイブサンダース)
アシスタントコーチ : 佐々 宜央 (琉球ゴールデンキングス)
アシスタントコーチ: 冨山 晋司 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
U22 コーチ: 網野 友雄(白鷗大学)
スポーツパフォーマンスコーチ: 佐藤 晃一 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
スポーツパフォーマンスコーチ: 緒方 博紀 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレチックトレーナー: 一柳 武男 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントアスレチックトレーナー: 古澤 美香 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
テクニカルスタッフ: 磯野 眞 (長崎ヴェルカ)
チームマネージャー: 西村 拓也 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントチームマネージャー: 大木 瀬音 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
【選手】※19名
中村 太地 (PG / 190cm / 27歳 / ライジングゼファー福岡)
前田 怜緒 (SG / 191cm / 27歳 / アルティーリ千葉)
山口 颯斗 (SF / 195cm / 26歳 / 長崎ヴェルカ)
佐土原 遼 (SF / 192cm / 25歳 / ファイティングイーグルス名古屋)
三谷 桂司朗 (SG / 191cm / 23歳 / 広島ドラゴンフライズ)
狩野 富成 (C / 206cm / 23歳 / 信州ブレイブウォリアーズ)
脇 真大 (SG / 193cm / 23歳 / 琉球ゴールデンキングス)
ジャン・ローレンス・ハーパージュニア (PG / 181cm / 22歳 / サンロッカーズ渋谷)
山ノ内 勇登 (C / 211cm / 22歳 / オーラル・ロバーツ大学)
山﨑 一渉 (SF / 200cm / 21歳 / ノーザン・コロラド大学)
ジェイコブス 晶 (SF / 203cm / 21歳 / フォーダム大学)
湧川 颯斗 (PG / 194cm / 21歳 / 三遠ネオフェニックス)
テーブス 流河 (PG / 184cm / 21歳 / ボストン・カレッジ)
川島 悠翔 (PF / 200cm / 20歳 / シアトル大学)
ニモ 正義 (SF / 198cm / 19歳 / ー)
ロロ・ルドルフ (PG / 188cm / 19歳 / ー)
渡邉 伶音 (PF / 206cm / 19歳 / 東海大学)
瀬川 琉久 (PG / 184cm / 18歳 / 千葉ジェッツ)
白谷 柱誠ジャック (SF / 194cm / 16歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
※平均(Average):194.6cm、21.7歳
※所属は2025年6月2日現在
※ポジション(P)=PG-ポイントガード、SG-シューティングガード、SF-スモールフォワード、PF-パワーフォワード、C-センター
文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)