東海大が連覇を達成!白鷗大との激闘を制す[第65回関東大学新人戦]

6月3〜8日に本戦が開催された「第65回関東大学バスケットボール新人戦」。1、2年生のみで競うこの大会は、今年も序盤から波乱の連続となった。
2回戦で帝京平成大が昨年インカレ覇者の日本大を、3回戦で江戸川大が前回大会準優勝の日体大をそれぞれ撃破。帝京平成大は続く3回戦で早稲田大に1点差で敗れ、最終結果は12位だったが、大会に爪痕を残した。一方、江戸川大は初のベスト8進出。ただ、準々決勝以降は順位決定戦まで連敗となり、キャプテンの⑭中野珠斗は「日体大戦は、自分たちのやりたいことを遂行できたから勝てたと思うのですが、その後は思うように自分たちの良さを発揮できませんでした。シュートのセレクションだったりディフェンスのローテーションに課題が見えました」と振り返っていた。

創部初のベスト8に入った江戸川大
7位には最終日に江戸川大を下した山梨学院大、6位には早稲田大、5位にはその早稲田大に4点差で勝利した専修大が入った。3位決定戦では、3Pシュートを15/34(44.1%)という高確率で決めた中央大が筑波大を圧倒。中央大は昨年の新人インカレ覇者とはいえ、今年はメンバーが大きく入れ替わった。キャプテンとしてチームをまとめた#2坪井遥生も「能力もサイズも経験も乏しいチームで、まず目標は9位以上に入ってインカレ新人に出ることでした。実際1試合目から本当に負けそうな試合が続きましたが、こうして接戦を勝ち抜いて3位に入れて、正直驚いています」と率直な感想を明かす。「本当にみんなこの大会でステップアップしてくれた」と語る収穫を、連覇の懸かる新人インカレにつなげたいところだ。

中央大は良い雰囲気で大会を締めくくった

高田将吾(写真)ら即戦力ルーキーも活躍して4位となった筑波大
大会を締めくくる決勝戦は、東海大と白鷗大の対決。#3渡邉伶音、#12十返翔里ら即戦力のルーキーたちが加入してますますタレントぞろいとなった東海大と、昨年から全体チームでも試合経験積んできた2年生中心の白鷗大が顔を合わせた。
1Qを17-9とリードしたのは東海大。#16赤間賢人の先制点を皮切りに、207cmの#3渡邉と210cmの#25ムスタファ・ンバアイがリバウンドを支配し、流れをつかんだ。対する白鷗大も、2Qに#15小川瑛次郎が4本の3Pシュートを決めて反撃。前半を5点差に縮めて折り返す。
2Qだけで4本の3Pシュートを決めた白鷗大のエーススコアラー小川
東海大はキャプテン佐藤友が縁の下の力持ちとしてチームを支えた
後半、東海大は#16赤間が#15小川を徹底マークし、得点を封じる。だが白鷗大も#77八田滉仁や#37南澤空が要所で得点を重ね、3Q終了間際には#77八田のバスケットカウントで1点差まで迫った。4Qに入っても、どちらに勝負が転ぶか分からない接戦が続く。その中で、終盤に流れを手にしたのは東海大。ファウルトラブルでベンチに下がっていた#3渡邉がコートに戻ってきて冷静にゴール下で得点すると、極めつけは残り1分、6点差を9点差に広げたエース#16赤間の3Pシュート。これが決定打となり、最終スコア65-56で東海大が白鷗大を振り切った。
試合終了の瞬間、大きく手を広げて喜びを表現した東海大の赤間。成長著しい選手だ
攻防にわたり存在感を示した#16赤間はMVPとMIPをダブル受賞。昨年のインカレでの悔しさをバネに自主練習の量を増やし、今大会ではその成果を遺憾なく発揮した。また、東海大の入野貴幸監督は「優勝できたのは、上級生がこの大会に向けてずっと練習に参加してくれたことが大きいです。4年生は教育実習でいない子も多いのですが、3年生たちは『(新人戦の)試合に出るんじゃないか?』って思うくらいでした(笑)」と、上級生たちの影の支えを称賛した。表彰式後、応援に来ていた上級生たちもコートに降りて集合写真を撮影。#25ンバアイの「1・2・3、イーチ!」という独特のかけ声に合わせて、皆、笑顔で人差し指を立てて「No.1」を示した。
敗れた白鷗大の網野友雄監督も「選手たちは本当によく頑張った」と健闘をたたえた。今大会は明治大(9位)や専修大(5位)といった力のあるチームを撃破し「決勝まで勝ち上がれたことを自信にしたい」と前向き。なお、大会最終日の6月8日は仙台大明成高の元監督・佐藤久夫氏の命日。#42ウィリアムス ショーン莉音や#9村忠俊、さらには同校出身ではない#99ロイ優太郎までもが、仙台大明成高のチームソックスを着用して全力のプレーを見せていた。
大黒柱として奮闘した白鷗大のウィリアムス
白鷗大のロイは悔しさに涙したが、今大会目覚ましい活躍で決勝進出に貢献した
最終結果は以下のとおり。上位9チームは7月に行われる新人インカレ(「第3回全日本大学新人戦」)に出場する。
「第65回関東大学バスケットボール新人戦」結果
【成績】
優勝:東海大(2年連続8回目)
準優勝:白鷗大
3位:中央大
4位:筑波大
5位:専修大
6位:早稲田大
7位:山梨学院大
8位:江戸川大
9位:明治大
10位:大東文化大
11位:日体大
12位:帝京平成大
13位:東洋大
14位:青山学院大
15位:立教大
16位:駒澤大
【個人賞】
★最優秀選手賞
赤間 賢人(東海大⑯2年)
★新人王
十返 翔里(東海大⑫1年)
★優秀選手賞
南澤 空(白鷗大㊲2年)
平原 侑真(中央大①1年)
小川 瑛次郎(白鷗大⑮2年)
渡邉 伶音(東海大③1年)
ムスタファ・ンバアイ(東海大㉕2年)
★得点王
菅野 隆(山梨学院大②2年)96点
★3ポイント王
平原 侑真(中央大①1年)19本
★アシスト王
小泉 広翔(早稲田大⑧2年)22本
★リバウンド王
ムスタファ・ンバアイ(東海大㉕2年)OR20+DR33=TR53
★MIP賞
赤間 賢人(東海大⑯2年)
文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)