月刊バスケットボール10月号

大学

2025.06.12

立教大・阿部友愛「笑顔とともに歩む大学バスケ」――“3度目の姉妹対決”で初勝利

「すごく良いチームだなと感じています」


昨年、秋のリーグ戦で最下位(2勝12敗)になると入れ替え戦で惜敗。2部Aへ降格した立教大。巻き返しを図る今季、チームには新たな風が吹き込んでいる。下川蒼乃(精華女高)、渡部怜梨(千葉英和高)、三間萌(桜花学園高)ら、期待の1年生が加入し、戦力に厚みが加わった。

そのうちの一人、阿部友愛(聖和学園高出身)は「立教に来てよかったです」と笑顔で話す。仲間たちは皆明るく、前向きなエネルギーにあふれており、自然と自分も前を向けるのだという。「少し落ち込みそうな時でも、みんなが笑顔でいてくれるから、自分も笑顔でいなきゃと心のリセットができるので、すごく良いチームだなと感じています」と語る表情は充実そのものだった。



大学デビュー戦となった春のトーナメントでは、準々決勝で東京医療保健大に敗れてベスト8止まり。自身も出場時間は限られ、不完全燃焼に終わった。しかし、新人戦では存在感を発揮。順位決定戦の専修大戦では11得点11リバウンド、早稲田大との5位決定戦では18得点14リバウンドと連続ダブルダブルをマークし、5位入賞に大きく貢献した。

今季、立教大はトーナメントでこれまでと異なるアップテンポなスタイルに挑戦したが、現在は再び「ズレを作って確率の高いシュートを狙う」スタイルに回帰。パスがテンポよく回り、チャンスが次々に生まれる今のバスケは、阿部にとって「すごくやりやすい」と手応えを感じている様子だった。「“自分が、自分が”ではなく、チーム全体でどこからでも攻められるのが強み。その中で自分は合わせやリバウンドなど、流れを支える役割を果たしたい」と語る。





早稲田大の姉・心愛との大学初対決で勝利


そんな阿部にとって、新人戦で楽しみにしていたのが、双子の姉・阿部心愛(早稲田大)との対戦だった。高校時代は2度対戦し、いずれも敗戦していただけに、友愛にとって、「今度こそは勝ちたい」という思いが強かった。前述のとおり、この試合は立教大が勝利。3度目の正直で初白星を挙げた友愛は、「昨日、拓殖大対早稲田大を見ながら“負け同士で(7位決定戦で)は対戦したくないな”と思っていたので、勝ち上がれて対戦できてよかったです」と、勝利の喜びをかみしめた。



また立教大の勝利の裏には、3・4年生のサポートもあった。スタンドから対戦相手である早稲田大の選手に関する情報を映像付きでタイムリーに共有し、細かなスカウティングを行ってくれたのだという。「本当に後ろにいてくれる先輩たちのおかげです」と、チーム一体の勝利であることを強調した。

高校時代、阿部姉妹は異なる進路を選び、それぞれの地で自らを磨いてきた。中学時代の「心愛はスコアラー、自分はどちらかというとリバウンドや合わせのプレーに徹する選手」という関係性も変化し、友愛もオールラウンドな選手へと成長中だ。

次なる舞台は「第3回全日本大学新人戦」(7月5〜9日、11〜13日、国立代々木競技場 第二体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場、大田区総合体育館)。
「まだオフェンスの完成度も低いので、あと1か月弱くらいで完成度高めていけたらいいなと思います。もらった時にどれだけ確率よくスリーが決められるか。それが自分に求められていることだと思うので、精度をもっと上げて、チームの勝利に貢献したいなと思います」
笑顔と向上心を武器に、阿部友愛は立教の未来を明るく照らす存在になりつつある。









文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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