昭和学院、決勝で八雲学園を撃破し関東制す!――関東大会女子レポート

④藤松の劇的な逆転ブザービーターで関東の頂点に立った昭和学院(写真/石塚康隆/月刊バスケットボール)
6月7、8日に船橋アリーナで開催された「令和7年間等高等学校女子バスケットボール大会兼第79回関東高等学校女子バスケットボール選手権大会」は、昭和学院(千葉)が2校同時優勝で王座に就いた令和3年大会以来4年ぶり、単独では令和元年大会以来6年ぶり(5大会ぶり)の王座に就いた。
昭和学院は東海大付相模(神奈川)との初戦からどの試合も苦しみながら勝ち上がり、八雲学園(東京)との決勝も4Q残り40秒を切って76-77とリードされ、ボールも相手に保持される窮地に立たされていた。しかしそこからの八雲学園のオフェンスを粘り強く守りボールを奪い返すと、最後のオフェンスでキャプテンの④藤松柚乃(3年)が試合終了間際に訪れた一瞬のオープンルックをみごと3Pシュートにつなげ、79-77と逆転。劇的なブザービーターで関東大会の王座に就いた。

ゲームウィナーとなった昭和学院④藤松のブザービーター(写真/石塚康隆/月刊バスケットボール)
④藤松はこの試合で、3Pショットを7本中5本成功させてチームハイの26得点。リバウンドも8本つかんだ。昭和学院ではほかに⑦岡本紗奈(3年)が17得点に3スティール、⑪山田莉心(1年)が14得点に5リバウンド、1スティール、⑭高橋優夢(2年、「高」ははしごだか)も14得点、4リバウンド、2アシスト、1ブロックを記録。また、178cmでチーム最長身の⑫中澤希乃(1年)も、相手の長身留学生⑨テウ アダマ(2年、185cm)を向こうに回して5得点、11リバウンドとインサイドで奮闘し、大きな貢献をもたらした。
八雲学園では、⑨テウが43得点、23リバウンドと圧倒的なプレーを披露。⑤川名漣(3年)もフィジカルなプレーと正確なショットメイクで14得点、7リバウンド、5アシスト、1スティール、3ブロックとオールラウンドに活躍した。キャプテンの④松崎菜緒(3年=8得点、3リバウンド、3アシスト、2スティール)、⑦加藤唯花(3年=8得点、2リバウンド、7アシスト)も数字を残したが、準決勝までの3試合でいずれも得点が70未満だった昭和学院に3Pシュートを47.3%(19本中本成功)と高確率で決められるなどディフェンスが機能し切れず、失点がかさんだことが響いた。
決勝で43得点、23リバウンドを記録した八雲学園⑨テウは、準決勝でも52得点、23リバウンドを記録していた(写真/石塚康隆/月刊バスケットボール)
試合後、高木優子監督は「(大会を通じて)ディフェンスが悪すぎた。それが最後にも出てしまった」と振り返った。④松崎も「いいところでシュートを決められなかったり、ディフェンスではカバーできるところで行っていなかったり、課題ばかりです」と唇を噛む。それでも、「日本一になれるチームにしたいです」と悔しい経験をバネに飛躍を期している。
昭和学院は、優勝したとはいえ現時点ではまだまだ仕上がっていない印象も強い。ただ、今大会では試合を重ねるごとにディフェンスの厳しさやシュートの精度が向上し、決勝を最高の形で締めくくることができた。鈴木親光監督は現時点でのチーム作りについて、「4月から下級生を多く試合に出そうとしてきて、1試合1試合自信をつけながら頑張ってくれているので、そこを壊さないように作っていきたいと思っています」と話す。
決勝でプレッシャーのかかるシュートをことごとく成功させた④藤松は、「2日間とも1試合目に自分のリズムでシュートを打つことができず、それを2試合目で調整することができました」と自身のプレーぶりを総括。チームのプレーぶりについても「明るく笑顔でやろうと心掛けて、そこはよくできたと思います」と笑顔を見せた。
④試合後の藤松。この笑顔が全てを物語っている(写真/石塚康隆/月刊バスケットボール)
まだ入学から間もない⑪山田は、「プレーの幅を広げて外のシュートも中のシュートも磨いていかなければいけません」と学びの意欲を語る。「頭を使うバスケですごく難しいです」という⑪山田の今の感覚を、鈴木監督も「まだおっかなびっくり動いている」と捉えていた。⑫中澤も含め、それが貴重な実戦経験を重ねることでどんな成長曲線をたどるか。その点も含め、チームとしてのポテンシャルの高さを考えると昭和学院の半年後は非常に楽しみだ。
高いポテンシャルを感じさせた昭和学院の1年生コンビ、⑪山田と⑫中澤(写真/石塚康隆/月刊バスケットボール)
今大会は1ポゼッション差を争う熱戦も多く、船橋アリーナは2日間とも終日熱気にあふれた。3位の座を分け合った土浦日本大(茨城)と千葉経済大附(千葉)も、前者は昭和学院と準決勝で1点差(65-66)の勝負、後者は八雲学園に走り合いの真っ向勝負を挑み86-100と見応え満点の戦いぶり。関東勢が今年の高校女子バスケットボールを面白くしてくれそうな予感たっぷりの大会だった。
大会最終順位(上位4チーム)
Aブロック
1位:昭和学院(千葉)
2位:八雲学園(東京)
3位:千葉経済大附(千葉)/土浦日本大(茨城)
Bブロック
1位:白鷗大足利(栃木)
2位:水城(茨城)
3位:久喜(埼玉)/富士学苑(山梨)
全試合結果(Aブロック)
決勝
昭和学院 79–77 八雲学園
準決勝
八雲学園 100–86 千葉経済大附
昭和学院 66–65 土浦日本大
準々決勝
八雲学園 95–66 高崎商
千葉経済大附 98–79 鵠沼
昭和学院 68–61 日本航空
土浦日本大 70–69 昌平
1回戦
高崎商 83–82 星槎国際湘南
八雲学園 103–90 埼玉栄
鵠沼 87–64 明星学園
千葉経済大附 89–81 矢板中央
昭和学院 62–51 東海大付相模
日本航空 74–71 東京成徳大
土浦日本大 80–61 市柏
昌平 94–72 八王子学園八王子
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