【WUBS2025】連覇を目指す前回王者デ・ラサール大(フィリピン)、新チームの特徴やいかに

WUBS2024を制したデ・ラサール大(©月刊バスケットボール
4回目を迎える大学バスケットボールの“夏の祭典”、ワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ(World University Basketball Series=以下WUBS)の開幕まで約2か月となった。8月9日(土)~11日(祝・月)に国立代々木競技場第二体育館で開催される今年の大会は、昨年同様8チームが出場する。顔ぶれは日本から日体大(スプリングトーナメント優勝)と日本学生選抜(一般財団法人全日本大学バスケットボール連盟[以下JUBF]のオールスター・セレクション)の2チーム、フィリピンから昨年大会の覇者デ・ラサール大とフィリピン大、そして高麗大(昨年準優勝/韓国)、国立政治大(昨年3位/チャイニーズ・タイペイ ※以下NCCUと表記)、シドニー大(昨年4位/オーストラリア)、そして香港大(香港)の8チームと発表されている。
WUBS2025では、上記の通りフィリピンから初めて2チームが招待される点が一つの特徴であり、かつ大きな見どころを提供する要素と言える。なぜなら両チームは、フィリピンの大学スポーツを統括する2大団体の1つであるUAAP(University Athletic Association of the Philippines)の王座を毎年のように争う伝統的なライバル同士であり、数々の名選手を生み出してきた名門としても知られるチームだからだ。また、フィリピンから両チームがそろって参加することから、WUBS2025には在日フィリピン共和国大使館の後援も決定している。昨年もデ・ラサール大の試合では、在日フィリピンコミュニティからの熱い応援が代々木第二の観客席に鳴り響いたが、今年はさらに大きな盛り上がりが期待できそうだ。
そんな好環境も整った中で、WUBS2024のディフェンディング・チャンピオンとして2年連続の来日を果たすデ・ラサール大。年度が替わった現在の新チームはどんな特徴を持っているのだろうか。
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エースが抜けても変わらぬ総合力
グリーン・アーチャーズ(Green Archers=緑色の射手)というニックネームで親しまれているデ・ラサール大は、フィリピンの大学スポーツの統括団体の一つであるUAAPで一昨シーズン(シーズン86)に王座を獲得し、直近のシーズン87でも準優勝と上位を維持している。現在は、昨年までエースとして活躍したケビン・キンバオがプロ入り(韓国KBLの高陽ソノ・スカイガンナーズ)したことにより、新たな戦力バランスを見出しながら成長中のチームと言える。しかしその手応えは力強い。
今年の中心選手、マイケル・フィリップス(©月刊バスケットボール)
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5月半ばから開催されているプレシーズントーナメント(Filoil EcoOil Preseason Cup)では、初戦でアダムソン大に65-47で快勝すると、昨年末のUAAPファイナルで敗れた相手であるフィリピン大との2試合目でも、106-99で勝利を挙げている。WUBS2024で活躍したタレントの活躍も目覚ましい。そのうちの一人は、昨年代々木第二のコートでも休みなくルーズボールやリバウンドに食らいついたパワーフォワードで、「Bリーグに来たいので日本語も一生懸命勉強しています!」と話していたマイク・フィリップスだ。
フィリップスは、勇猛なプレーぶりから地元のメディアが「アーサー王」になぞらえて「キング・アーチャー」と呼ぶ存在。WUBS2024では3試合で平均12.3得点、11.0リバウンド、1.3アシスト、3.0スティールのアベレージを残したが、オールラウンドな躍動が今季も続いている。アダムソン大戦では7得点、14リバウンド、3アシスト、3スティールと攻防両面で力を見せつけた(フィリップスは4月に行われたアテネオ・デ・マニラ大とのエキジビションゲームでも、33得点に26リバウンドというモンスターゲームでチームを95-92の勝利に導いている)。
新戦力では、ポイントガードのジェイコブ・コルテスがフィリピン大戦で31得点、5アシスト、4リバウンドと爆発的な得点力を発揮した。コルテスはWUBS2024でも来日していたが、登録がなかったプレーヤーだ。ほかには、2年前の夏にアテネオ・デ・マニラ大の一員としてWUBS2023でプレーしたメイソン・アモスという身長201cmのフォワードも、トランスファーして新チームのロスターに名を連ねている。アモスはコルテスとともに、WUBS2024に登録外で来日していたので、この夏WUBS2025で来日がかなえば3年連続となる。フィリピン代表としてFIBAアジアカップ2025予選のロスターにも名を連ねるタレントなので、注目すべき存在の一人だ。
フィリピン代表としてアジアカップ予選に出場したメイソン・アモス(写真/FIBA.AsiaCup2025Qualifier)
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代々木第二で無敵の王者、日本勢との対戦も楽しみ
就任後3年目を迎えているトペックス・ロビンソンHC率いるデ・ラサール大は、キンバオを軸としてWUBS2024を制した昨年のチームも、決してワンマンチームではなかった。キンバオの最も秀でたタレントはチームの良さを引き出すプレーメイクで、そのタレントをフィリップスらの全力プレーが力強いフィニッシュやディフェンス面での堅実なストップにつなげていた。個々のタレントがお互いの持ち味を最大化し、伸び伸びとプレーする特徴は今年も変わっていない。
昨年のWUBS2024では、DAY1の初戦でペルバナス・インスティテュート(インドネシア)を117-71で撃破し、好スタートを切った。フィリップス(15得点、8リバウンド、3スティール)のほか、シューティングガードのJCマカララグも切れの良いドライブや3Pショットで12得点(FG成功率66.7%、3P成功率50.0%)など、今年も主力を務めるメンバーが光を放ったこの一戦で勢いに乗ったデ・ラサール大は、その後DAY2に前年の王者NCCUとの接戦を87-82で制し、DAY3のファイナルでは高麗大相手に再び3桁得点を奪う101-86の勝利を挙げて王座についている。
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試合展開は、がむしゃらに食らいつくリバウンドと素早いトランジションが軸。統制が取れたチームプレーの中で個々の持ち味が発揮されていた。日本勢との対戦が実現すれば非常に見応えがありそうだ。
特に、ライバルのフィリピン大も参戦するWUBS2025は、デ・ラサール大にとって今年9月に開幕するUAAPシーズン88の前哨戦という重大な意味合いも帯びている。内面的な鋭さも昨年以上に研ぎ澄ませてくるに違いないグリーン・アーチャーズが、日本のカレッジファンにどんな戦いぶりを見せてくれるか、注目しよう。
文/柴田健