月刊バスケットボール11月号

関東大会男子、八王子学園八王子が正智深谷を下し優勝!

5月31日と6月1日の2日間、京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で「関東高等学校男子バスケットボール選手権」が開催された。
 
大会初日から熱戦が相次いだ。中でもAブロック準々決勝は、つくば秀英(茨城)が日本航空(山梨)を相手に4Qで猛追し、トリプルオーバータイムにもつれ込む激闘に。最終的には#4渡部開が34得点の爆発を見せたつくば秀英が、貴重な1勝を手にした。#4渡部は「ディフェンスからリズムを作るのがチームの掟で、それがうまくいきました。僕個人としては、エースとして点を決め切ることを試合中ずっと意識していました」と語る。


 

ベスト4には、つくば秀英のほか、関東新人王者の八王子学園八王子(東京)、正智深谷(埼玉)、東海大付相模(神奈川)が進出。
 
2日目の準決勝は2試合同時に行われ、まずは八王子学園八王子が追いすがる東海大付相模を最後に突き放し、96-70で下し決勝進出。東海大付相模は、2月の関東新人大会には出場していなかったが、今大会で堂々の3位となった。原田政和コーチは「こういう大きな舞台で留学生のいるチームと戦えたのは良い経験。県予選に向けていい材料を得られました」とコメント。チームのキーマンである#5ジェイコブス オベット大も「自分は体を張った力強いリバウンドが持ち味ですが、留学生相手にはなかなかやり続けられなかったので、もっと成長したい」と課題を口にした。
 



もう一方の準決勝では、正智深谷がつくば秀英を68-52で下した。正智深谷は前日の準々決勝でスタメンPGの#6山口哲平が負傷し、この準決勝には異なるスタメンラインナップで臨むことに。途中までつくば秀英に主導権を握られる時間帯も長かったが、徐々に立て直し、4Qの31-12というスコアで鮮やかな逆転勝利を収めた。#4加藤駿は「今年のチームは流れが悪いときにズルズル崩れがちでしたが、今回我慢して思い切りの良さを出せたのは大きな経験になりました」と手応えを語っていた。
 
決勝は、八王子学園八王子と正智深谷の顔合わせ。2月の関東新人でも準決勝で対戦した両校の再戦となった。
 

 
序盤は#4加藤らの3Pで正智深谷がリード。しかし八王子学園八王子も#5佐藤大愛と#8ンジャイ・パプンデセリクのハイローで着実に得点を重ねる。正智深谷#4加藤の3Pに、八王子学園八王子#6照井昇太朗がすぐさま3Pで応戦するなど、どちらも一歩も譲らない。1Qは21-18で正智深谷が僅かに3点リード。2Qで八王子学園八王子が一時逆転するも、#13富澤龍一郎の連続得点などで正智深谷が再び盛り返し、前半を44-40で折り返した。
 
後半、八王子学園八王子はディフェンスの強度を上げ、相手のミスから一気に流れを引き寄せる。#8パプンデセリクのゴール下や#6照井の3Pなど、内外角からバランス良く得点を重ねて逆転に成功。ただ、正智深谷も要所で3Pを決めて食い下がり、最終Qへ1点差で突入する。
 
4Qは八王子学園八王子が先行し、正智深谷が追い掛ける展開。途中、#8パプンデセリクが足を攣って交代するアクシデントもあったが、ケガから復帰したばかりの#0ニャン・セハセダトがゴール下で奮闘し、さらには#26田原龍斗のジャンプシュートも決まって、残り5分で11点差(69-58)までリードを拡大する。正智深谷は#5早船哉斗のバスケットカウントなどで諦めずに粘るも、追い付くには至らず。八王子学園八王子が78-71で逃げ切り、大会連覇を達成した。
 





八王子学園八王子のスコアリーダーとなったのは、3P5本を含む27得点を挙げた#6照井。秋田出身のピュアシューターで「今大会は確率が悪くてチームに迷惑をかけました。だからドライブも狙いつつ、打つべきタイミングでは3Pを打ち切ることを意識しました」と語る。点取り屋の十返翔里(東海大)らが卒業した今年、「去年以上に確率良く点を取ることが自分の役割です」と強い自覚が芽生えているようだ。
 
敗れた正智深谷も、激しいディフェンスと果敢なシュート、そして息の合ったにぎやかな応援で大会を大いに盛り上げた。#4加藤は昨冬のウインターカップ直前に疲労骨折し、今大会が復帰戦だったものの、決勝で7本の3Pを決めるなど完全復活の兆し。成田靖コーチは「加藤と早船で、真のツインエースになってほしい」と期待を寄せた。
 

 
なお、Bブロックでは土浦日本大(茨城)が優勝。準々決勝で山梨学院(山梨)を延長の末に下し(88-77)、決勝では埼玉栄を84-63で圧倒した。今年の土浦日本大は#4夏目悠良(195cm)、#5渡邊脩希(195cm)、#23飯田渚颯(196cm)の長身トリオを同時起用できる大型チームだが、今大会ではサイズを落とした布陣も試し、戦い方の引き出しを増やしていた。関東予選でつくば秀英に敗れた悔しさもあり、#4夏目は「サイズがあるからって素早く動けなかったり泥臭いプレーが甘かったりしたら、大きいメンバーで出ている意味がない。特に3番ポジションの自分や4番の渡邊が、小さい選手に負けない動きをできるようにならなければ」と課題を語った。
 
同じ茨城県のつくば秀英も、土浦日本大ほどのサイズはないが、#4渡部や#7楠見海翔ら経験豊富な最上級生がそろったいわば“勝負の年”。稲葉弘法コーチも「今大会は桐光学園、日本航空と厳しい山でしたが、粘り強く我慢して戦うことができた。そこは自信にしてインターハイ予選に臨みたいです」と意気込んでいる。インターハイ県予選も、激戦が予想されそうだ。

大会最終順位(上位4チーム)

Aブロック
1位:八王子学園八王子
2位:正智深谷
3位:東海大付相模/つくば秀英

Bブロック
1位:土浦日本大
2位:埼玉栄
3位:横浜清風/成立学園

全試合結果(Aブロック)

決勝
八王子学園八王子 78–71 正智深谷

準決勝
八王子学園八王子 96–70 東海大付相模
正智深谷 68–52 つくば秀英

準々決勝
つくば秀英 92–87 日本航空(OT)
東海大付相模 70–64 前橋育英
八王子学園八王子 100–78 湘南工科大附
正智深谷 84–73 國學院大久我山

1回戦
前橋育英 82–68 東海大菅生
湘南工科大附 90–68 市柏
八王子学園八王子 79–58 文星芸術大附
東海大付相模 102–77 昌平
つくば秀英 81–73 桐光学園
正智深谷 112–67 日体大柏
日本航空 89–49 実践学園
國學院大久我山 88–57 宇都宮工




文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

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