月刊バスケットボール10月号

NBA

2025.05.15

NBAブレイザーズ、正式に売却プロセスを開始と発表

2018年に他界した故ポール・アレン氏

故ポール氏の遺志を受け継ぎ、慈善へ全収益を寄付へ


NBAのポートランド・トレイルブレイザーズ(以下ブレイザーズ)が正式に売却のプロセスに入った。チームは現地時間5月14日、オーナーだった故ポール・アレン氏の遺産管理団体が売却手続きを開始したと発表。アレン氏の遺志に基づき、売却収益はすべて慈善活動に充てられる見込みである。


<チーム発表文>
ポール・G・アレン氏の遺産管理団体は本日、ポートランド・トレイルブレイザーズのNBAフランチャイズについて、正式な売却手続きを開始したと発表した。これは、アレン氏が生前に示していた「保有するスポーツチームを最終的に売却し、その収益をすべて慈善活動に充てる」という方針に沿ったものである。遺産管理団体は、売却手続きを主導するため、投資銀行アレン&カンパニーおよび法律事務所ホーガン・ロヴェルズを選定した。この売却プロセスは、2025-26シーズン中まで続くと見込まれており、最終的な売却契約はNBAの理事会(NBA Board of Governors)の承認を経て成立する必要がある。なお、この発表はNFLのシアトル・シーホークスや、MLS(メジャーリーグサッカー)のシアトル・サウンダーズにおける25%の持分には影響せず、これらの資産は売却対象ではない。





マイクロソフトの共同創業者の一人として知られるアレン氏は、1988年に7000万ドルでブレイザーズを買収。2018年に他界して以降は、妹のジョディ・アレン氏が遺産管財人としてチーム運営を続けてきた。今回の発表により、これまで何度も報道されてきた売却の可能性が、ついに現実のものとなった。

売却には、投資銀行アレン&カンパニーと法律事務所ホーガン・ロヴェルズが関与し、プロセスは2025-26シーズン中まで続く見込みだ。その後、NBA理事会の承認を経て、最終的な売却契約が締結されることとなる。なお、今回の売却はNFLのシアトル・シーホークスおよびMLS(サッカー)のシアトル・サウンダーズFCには影響せず、両チームの売却予定はないとされている。

過去にはナイキ創業者のフィル・ナイト氏が、MLBロサンゼルス・ドジャースの共同オーナーであるアラン・スモリンスキー氏とともに20億ドル超でブレイザーズ買収を試みたと報じられたが、ジョディ氏がこれを拒否した経緯がある。現在のNBAチーム売却価格は軒並み高騰しており、2023年にはボストン・セルティックスが61億ドルで売却され、リーグ史上最高額を記録。フェニックス・サンズは40億ドル、ダラス・マーベリックスは35億ドル、シャーロット・ホーネッツでも30億ドルで売却されている。『Forbes』の最新評価によれば、ブレイザーズの市場価値は約35億ドルとされており、今後の動向に注目が集まる。

ブレイザーズは2023年8月にポートランド市と契約を交わし、ホームアリーナであるモダ・センターのリース契約を2030年まで延長。同時に運営母体であるリップシティ・マネジメントからアリーナの所有権を市に移譲する合意も交わした。市とチームは5年間の間、アリーナ改修費を折半することで合意している。ポートランド市のキース・ウィルソン市長は「ブレイザーズはポートランドのアイデンティティの中心であり、情熱、精神、そして回復力の象徴である」とコメント。年間150万人の来場者と数億ドル規模の経済効果をもたらす存在としての重要性を強調した。

オレゴン州選出のロン・ワイデン上院議員もSNSで「ブレイザーズが確かな未来へと進むことを喜ばしく思う。それはすなわち、ポートランドにとどまるということだ」と投稿している。






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