月刊バスケットボール11月号

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2025.05.06

東京医療保健大が3年ぶりV 白鷗大との頂上決戦を制す[59回関東大学女子選手権大会]

春の頂上決戦は4年連続の顔合わせに


 5月4日、「59回関東大学女子選手権大会」の最終日を迎え、大会3連覇を目指す白鷗大と、3年ぶりの優勝を狙う東京医療保健大が決勝で対戦した。
 新年度初の大会となる春のトーナメントは、新1年生を加えた各校がどんなバスケを展開するのかというのが楽しみの一つ。1部のチームが順当に勝ち上がる中、波乱もあった。専修大は3回戦で明治学院大に、日体大は4回戦で松蔭大に敗れる結果に。昨年ベスト8入りを果たした日体大は、エースの宮城楽子をケガで欠く中、本来の力を発揮できなかった。2部Aブロックの松蔭大は、3年ぶりに準々決勝進出を果たした。そのほかの7校は昨年と同じ顔ぶれとなり、ベスト4は3年連続で同じ4校が名を連ねた。

準決勝では、白鷗大が筑波大に94‐63で快勝し、東京医療保健大も山梨学院大を72‐55で下して、それぞれ決勝進出を決めた。決勝の顔合わせは、これで4年連続。インカレ決勝でも6年連続で対戦している両校は、まさに女子大学バスケをけん引するライバルと言える。昨年のインカレ決勝では、白鷗大が4度の延長にもつれ込む激戦を制して連覇を果たした。それから半年。両チームとも主力だった4年生が卒業し、新チームで今大会に臨んでいるが、ロスターの厚みに関しては対照的だ。

東京医療保健大は、キャプテンの#44清水紫音をはじめ、#91大脇晴、#5絈野夏海、#11五十嵐羽琉、#17門脇瑚羽ら、昨季から出場機会を多く得ていた選手が多数残る。一方の白鷗大で経験豊富と言えるのは、#5池田凜、#11佐々木凜のみ。さらに東京医療保健大は、ウインターカップ準優勝・慶誠高の#0ロー ジョバ、女子U19日本代表候補の#7後藤音羽(浜松開誠館高出身)、#61深津唯生(桜花学園高出身)ら、有望な1年生も加わり、戦力の充実ぶりが際立っていた。



迎えた決勝、試合の立ち上がりでリズムをつかんだのは白鷗大だった。#77東小姫の先制点に続き、196cmの#41アダム・アフォディヤがインサイドで存在感を示し、さらに⑰高木美波と#1浜口さくらの3Pシュートも決まって、1Qを24‐19とリードして終えた。

白鷗大の佐藤智信監督は「特にスペインピックからのインサイドアタックとキックアウトには警戒していた」と明かす。#91大脇晴を速攻1本の得点に、#0ロー・ジョバを無得点に抑えるなど、守備面でも狙いどおりの展開で上々の立ち上がりとなった。しかし2Qに入ると、東京医療保健大が一気に流れを引き寄せる。#11五十嵐が3Pシュートにスティールからの速攻と連続得点で反撃の口火を切ると、「接戦になるのは初めからわかっていた」という#91大脇晴がゴールにアタックして得点につなげていく。さらに#5絈野夏海が3Pシュートを3本沈めるなど、2Qだけで28‐12のビッグクォーターを作り、47‐36と一気に2桁のリードを奪ってみせた。






東京医療保健大反撃を退けて頂点に立つ


 後半、白鷗大は#41アフォディヤの高さを軸に得点を狙い、#5池田のフリースローで一時は8点差まで詰め寄る。しかし、東京医療保健大は再び#91大脇、#5絈野、#11五十嵐の得点でリードを拡大。白鷗大は#5池田と#11佐々木の2ガードや、#41アフォディヤと185cmの#15武井遙菜を併用するビッグラインナップなど、策を尽くすも、主導権を奪い返すには至らなかった。3Q終盤には1年生の#30清藤優衣が、4Qでは#17高木美波が連続得点を挙げたものの、東京医療保健大は1年生の#7後藤や#7ジョバも追加点。どこからでも得点できるうえ、1試合を通してディフェンスをキープするなど充実の戦いを見せた東京医療保健大が99‐73で、3年ぶり5回目の優勝を飾った。



「インカレの負けは大きな経験でした。チームとして4ヶ月間、この大会に向けてすべての面で鍛えてきたという自信が今日の勝利につながったと思います」と勝利を喜んだのはキャプテンの#44清水。恩塚亨コーチは、「#41アフォディヤ選手の1対1、リバウンドをケアしていた試合でした。ある程度プラン通りにできましたが、まだ甘さがあるので詰めていかなければなりません」と指摘すると、「自分たちが勝つ形をしっかり理解し、どんな状況からでも高い再現性を実行することを目指します」と今後に向けて語った。東京医療保健大は今季、トーナメント、新人戦、リーグ戦、インカレ、皇后杯の5冠を目標に掲げている。まずは東京医療保健大がシーズン第1ラウンドを勝利した。しかし、白鷗大はもちろん、山梨学院大や筑波大、拓殖大など今季の関東女子はレベルが高いだけに今後、どんな展開になるかはわからない。準優勝に終わった白鷗大の佐藤監督は、「医療さんだけでなく、山梨学院さんもかなりいい。色々工夫してやらないとこのままではだめです。しっかり鍛えてやっていきます」と巻き返しを誓った。

「59回関東大学女子選手権大会」結果
【成績】
優勝🏆️ 東京医療保健大学(3年ぶり5回目)
準優勝🥈 白鷗大学
第3位🥉 山梨学院大学
第4位 筑波大学
第5位 早稲田大学
第6位 拓殖大学
第7位 松蔭大学
第8位 立教大学
【個人賞】
★最優秀選手賞
大脇 晴(東京医療保健大[91]4年)
★敢闘賞
アダムアフォディヤ(白鷗大㊶3年)
★新人賞
後藤 音羽(東京医療保健大⑦1年)
★得点王
菊地 実蘭(早稲田大①3年)68点
★3ポイント王
石橋 花穂(松蔭大④4年)12本
★リバウンド王
アダム アフォディヤ(白鷗大㊶3年)
★アシスト王
山宮 好葉(早稲田大⑬3年)15本
★ベスト8賞
絈野 夏海(東京医療保健大⑤2年)
佐坂 光咲(白鷗大⑨4年)
藤澤 夢叶(山梨学院大⑤4年)
朝比奈 あずさ(筑波大⑭4年)
菊地 実蘭(早稲田大①3年)
堀越 梨々夏(拓殖大㉜4年)
佐藤 花愛(松蔭大⑤4年)
田平 真弥(立教大③4年)




文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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