月刊バスケットボール10月号

大学

2025.05.09

大学バスケットボールの“夏の祭典”「WUBS2025」展望——スプリングトーナメント王者の日体大、昨年優勝のデ・ラサール大、準優勝の高麗大など8チームが出場

WUBS2025出場権を獲得した日体大の小澤飛悠(©月刊バスケットボール)



2022年の初開催から今年で第4回を数えるワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ(World University Basketball Series=以下WUBS)が、今年も世界の強豪大学を国立代々木競技場第二体育館に招いて89日(土)~11日(祝・月)の期間開催される。大学バスケットボールの“夏の祭典”としてすっかり定着した同大会、今年はスプリングトーナメントを制した日体大と、一般財団法人全日本大学バスケットボール連盟(以下JUBF)のオールスター・セレクションとなる日本学生選抜の日本勢2チームを含む全8チームが熱戦を繰り広げる。現時点ではそのうち2チームが未発表だが、海外からは昨年のWUBS2024でベスト4に名を連ねたデ・ラサール大(優勝=フィリピン)、高麗大(準優勝=韓国)、国立政治大(3=チャイニーズ・タイペイ、以下NCCU)、シドニー大(4=オーストラリア)の出場が明らかになったところだ。

過去3回の大会では、初代王者のアテネオ・デ・マニラ大(フィリピン)に始まり国立政治大(2023)、デ・ラサール大(2024)と海外勢が王座についており、日本勢は2024年に準優勝した白鷗大が最高成績。今年こそ、開催国のファンとしてみれば、日本勢のチャンピオン誕生への期待も年々膨らんできている中、さて、WUBS2025はどんな展開になるだろうか?


WUBS2024で王座に就いたデ・ラサール大は連覇を狙って再来日する(©月刊バスケットボール)

【関連リンク】
WUBS2025公式サイト

期待される日本勢の躍進

現時点で明らかになっている海外勢4チームは、それぞれの国・地域で昨季も好成績を収めたチームだ。デ・ラサール大は、昨年末に行われたフィリピン国内の大学リーグ「UAAP」のファイナルに進出して、激しいライバル関係にあるフィリピン大との3試合シリーズを12敗で落とし準優勝というのが、直近の成績。高麗大は韓国の大学リーグ「U-LEAGUE」で2024年に優勝。現在進行中の2025年シーズンも55日時点では負けなしの6勝で首位に立っている。

NCCUはチャイニーズ・タイペイの大学バスケットボール連盟(UBA)のリーグ戦を5連覇しているチーム。シドニー大はオーストラリアの国内スポーツの統括団体であるユニスポーツが主催するUBL2024年に準優勝に輝いた。WUBS2025に運営協力の立場でかかわっているRakuten Sportsによれば、現在未発表の2チームも所属リーグでの戦績上位を招待する意向で準備が進んでいるという。

これら海外からの招待チームを迎え撃つ日体大とJUBF日本学生選抜は、昨年WUBS2024を不本意な結果で終えた。再びホスト国代表として出場する今回は、同じ轍を踏むわけにはいかない。

それぞれのWUBS2024を少し振り返っておこう。日体大は初日にNCCUと対戦して71-79で敗れ4強入りを逃した。5-8位決定戦ではペルバナス・インスティテュート(インドネシア)に94-71、日本学生選抜に93-77で快勝して5位に付けたが、チームとしても、ファンの立場としても、やはり上位戦に挑みたかった、その姿を見たかったという思いはぬぐえなかったはずだ。

その悔しさも知っている月岡煕(4年、PG)や小澤飛悠(3年、F)、コネ ボウゴウジィ ディット ハメード(3年、C)らを擁し、スプリングチャンピオン3連覇を成し遂げてWUBS2025出場を決めた日体大はいわば名誉挽回を狙う「リディーム・チーム」。日本勢として初の王座獲得に向けた健闘を大いに期待したい。


日体大はスプリングトーナメント3連覇を達成してWUBS2025出場権を獲得した(©月刊バスケットボール)

日本学生選抜は、昨年は下級生年代のプレーヤーを中心として日体大に続く6位フィニッシュ。初日に高麗大との接戦を72-79で落とし、5-8位決定戦では白鷗大相手に80-58で唯一の白星を収めた。昨年のメンバーからはその後、轟琉維(東海大2年、PG)がアルバルク東京、塚本智裕(大東文化大4年、PG)も琉球ゴールデンキングスでそれぞれ特別指定選手としてプレーしたほか、菅野 陸(山梨学院大2年、PG)、深澤 桜太(中央大2年、C)はU18日本代表の一員としてFIBA U18アジアカップ2024に出場している。

今年のセレクションはまだ決まっていないが、WUBS2025をバネとしてその後活躍の幅を広げる将来有望なタレントが名を連ねる可能性は高いだろう。

将来のBリーグタレントが所属? 海外の強豪チームも要チェック

注目のポイントは、言うまでもなく日本勢に限らない。過去にWUBSで出場した海外チームから、Bリーグの2024-25シーズンで活躍したプレーヤーがいる。来日プレーヤーの中には、囲み取材の際に「将来日本でプレーしてみたい」と明言した例も複数あったので、今回WUBS2025は、ファンにとって将来の“推し”を見つける機会にもなるかもしれないのだ。


NCCUのエースだった游艾喆は現在滋賀レイクスに所属している(©B.LEAGUE)





WUBS2023で王座獲得に成功したNCCUのエースだったガードの游艾喆(ユー アイチェ)は今季B1の滋賀レイクスで52試合に出場して平均5.1得点、2.4リバウンド、3.4アシストのアベレージを残した。B2愛媛オレンジバイキングスでセンターを務めるショーン・ジェフリー・チウは、アテネオ・デ・マニラ大出身。208cmの高さと運動能力を生かして今季は54試合に出場し、平均3.1得点、3.2リバウンドを記録した。

フィリピン代表に名を連ねるフォワードで、WUBS2024MVPに輝いたデ・ラサール大3年のケビン・キンバオは、Bリーグでのキャリアに興味を持っていることを明言していた一人。キンバオのような非常に有望なタレントが、WUBSの舞台からBリーグに飛躍する可能性も十分にある。それを思うと、WUBS2025は絶対に見逃す手のないビッグトーナメントであることがお分かりいただけることだろう。

WUBS2025の関連情報は、大会公式ページや公式SNSで随時発信されていく。月刊バスケットボールでも、出場チームやメンバー情報など観戦の参考になる情報を今後も継続的に発信していく予定なので、ぜひお楽しみに!

WUBS2025公式サイト





文/柴田健

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