月刊バスケットボール10月号

大学

2025.04.25

日体大・早田流星&筑波大・岩下准平“新キャプテンが語る現在地” [第60回日筑定期戦]

伝統の定期戦で見せた方向性


4月20日、毎年恒例の日筑定期戦が開催。熱戦となった女子に続いて行われた男子本戦は、日体大が主導権を握って勝利を収めた。

日体大は、インサイドの要であるコネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメードが序盤に2ファウルを犯す苦しい立ち上がりとなったが、試合前から力を入れてきたディフェンスを軸に立て直し、流れを引き寄せた。対する筑波大も、第3クォーターに坂本康成が果敢なドライブから得点を重ね、反撃の糸口をつかんだが、終盤に再びリズムを取り戻した日体大が74‐62で逃げ切った。その試合後、両校のキャプテンである筑波大・岩下准平、日体大・早田流星に、チームへの思いや相手校への印象などを語ってもらった。

【写真】第60回日筑定期戦男子本戦写真ギャラリー(35点)


筑波大キャプテン
岩下准平インタビュー

■4年/179cm/福岡大附大濠高出身

新スローガン「レガシー」に込めた思い


Q.流れを握る局面もありましたが、惜敗となりました。

チームとして今やるべきことが、硬いディフェンスから、しっかりリバウンドを取って走るという速い展開のバスケにしています。ケガ人が多い中でのゲームで留学生がいるチームに対してでしたが、そこはできたかなと思います。ベンチ選手の頑張りも見られ、チーム全体の成長に繋がるゲームだったと思います。

Q.ありがとうございます。あの、この定期戦自体は選手にとってはどんな重みとか意味がありますか?

自分的には、入学した時からトーナメント前に定期戦があるというのが当たり前なので、重みというのは正直ないんです。個人的には2年前のこの定期戦で前十字靭帯を切ってしまったので、ちょっと嫌なイメージがある大会というのはありますね。

Q.2006年からチームを指揮してこられた吉田健司前監督が昨季で勇退。新体制となる今季は、どんなチームにしたいと考えていますか?

昨年の一番の課題は得点力でした。大体50点から60点は取って、いいディフェンスをしたけれど結局勝てないというのが多かったんです。チームが目指す姿というのは、まだ模索しているところではありますが、速い展開を作ってラリーを増やして得点を増やすということを軸にしています。

Q.今年は大澤祥貴(4年/180cm/福岡大附大濠高)とのダブルキャプテンとのことですが、どういう経緯ですか?

自分たちの代は、自分と祥貴が特に引っ張っていく立場だったので2人で一緒にキャプテンとしてやっていこうっていう意志が強くてという感じですね。ポジション的にポイントガードなので、ゲームキャプテンの役割は自分がやっていますけど、ダブルキャプテンとして一緒にという形ですね。

Q.大濠時代からのチームメイトですし、うまくやれそうですね。先程言われたように、トーナメント前に真剣勝負ができる定期戦は貴重な機会だと思います。日体大の印象はいかがでしたか?

日体は特に留学生のところを中心に攻めてくるし、外からもどんどんやってきますね。速い展開のバスケは自分たちが目指すべきところでもあるので、強い日体とトーナメント前にやれたのは大きいです。トーナメントでも勝ち上がれば準々決勝で当たる可能性があるので、いい経験になったかなと思います。

Q.このあとインタビューをする早田さんに聞きたいことはありますか?

中学(西福岡)からずっと一緒で高校も第一と大濠でお互いキャプテンやってという感じなんですけど、聞きたいことですか? うーん、何を聞いたら面白いですかね。キャリアのことも色々話したりしているんですよ。あ!では、彼女できましたか? でお願いします(笑)



Q.聞いてみますね(笑) それでは、今季のチームのスローガンを教えてください。

「レガシー」です。吉田監督から中澤監督に変わりますが、筑波のいいところ、伝統を引き継ぎながら、自分たちの色を出していこうという意味が込められています。継承していこうということで、4年生を中心にみんなで考えて付けました。

Q.大ケガのあとのシーズンになった昨季は、リーグ戦22試合とインカレ2試合の全試合に出場しましたね。

言い訳にしたらいけないと思うんですけど、自分的にはとりあえずケガすることなくやりきることを目標にしていました。そこは達成できて良かったと思います。でも、なんて言うのか、もがいていた1年でしたね。勝てなかったし、結果も全然残せなくて。でもやるべきことは変わらず、ポイントガードとしてしっかりやることです。周りを活かしながら、点数を取り行くところで取ってというところは、しっかり整理しながら、今シーズンにつなげて結果を残したいなと思っています。

Q.個人的に伸ばしたいというところはありますか?

ピックからのプレーで、ペイントエリア付近のシュートの確率を上げたいなと思っています。今日もそうでしたけど、やっぱり打つべきところはしっかり打たなければいけないし、それが入れば止められない選手になります。そこは自分の課題でもあるし、磨いていくべきところだなと思います。

Q.筑波大は、多くのBリーガーも輩出しています。将来的に、Bリーグを目指したいという思いはありますか?

そうですね。小さい頃から、プロ選手になって日本代表になりたいという思いがあります。ドラフトも始まるので、まだどうなるか分かりませんが。選ばれるか選ばれないかは置いておいて、自分としては志望届を出したいと思っています。今シーズンの結果とか自分のスタッツが大事なんだと思いますが、それを気にしてやるのではなく、しっかりやるべきことをやっていれば自ずと道は開けるとも思っています。

Q.吉田前監督から得たものは数多いと思います。何が印象的ですか?

印象的ですか、色々あって分からないですね(笑)。筑波を何回も優勝に導いている方ですし。昨季はポイントガードとして、吉田監督が求めるバスケをどう汲み取って体現するかというのをとても考えた1年でした。3年生の時にPGを任してもらったのは、本当にありがたい経験です。健司さんのバスケは、戦術が多いバスケットで俯瞰的に見るので、ポイントガードとして勉強になるものでした。

Q.ありがとうございます。トーナメントも期待しています。




日体大キャプテン
早田流星インタビュー

■4年/185cm/福岡第一高出身

“80点取って60点に抑える”が目標 


Q.まず、岩下選手からの質問です。“彼女はできましたか?”

えぇ笑 ノーコメントでお願いします。

Q.定期戦は見事勝利しました。試合を振り返ってください。

チームの軸であるコネ(4年/207cm/帝京長岡高)が2ファウルになってしまったんですけど、試合前に「絶対我慢する時間帯があるから、チーム全体でそういう時間を乗り切ろう」と言っていたので、それが実行できて良かったなと思います。

Q.この定期戦は、選手にとってはどんな意味を持つものですか?

代々の先輩たちが繋げてくれた大会ですので、大切にしたいという思いと、勝敗も引き継いでいるので、筑波さんには負けられないという強い気持ちがあります。

Q.勝利できてホッとしたところですね。

本当に良かったです(笑)

Q.筑波大の新チームの印象はいかがですか?

身長が高いので、リングの近くに持たれたり、セカンドチャンスだったりとなると脅威だなと感じていました。

Q.それでは今季のスローガンを教えてください。

「慎始敬終」― 始まりから終わりまで、一切の妥協なく挑み続ける ―です。シーズンの始まりからインカレまで、一切の妥協なく挑み続けようということでつけました。

Q.昨季はトーナメント、リーグを制覇しながらインカレはベスト8という結果でした。今季はどんな特徴を作ろうとしていますか?

新1年生が来る前から、徹底的にディフェンス練習をやっていて、まず1対1、オンボールを強くして、今はチームディフェンスに入っています。高い強度でプレーできているので、今日の試合も我慢できたのかなと思います。

Q.アプローチを変えた部分はありますか?

そうですね。このメンバーで長くやっているので、やっぱ何か変えるという時に戸惑いもあると思ったんですけど、思い切ってディフェンスからやっていこうというところは、いい方向に行っているのかなと思います。



Q.主力が残っているというのは大きなメリットです。キャプテンとして、どのように引っ張っていきたいと考えていますか?

個々の意識が高いので、基本的にはワーワー言うようなことは不要かなと思っています。ただ、チームが違う方向に行きそうな時に、自分が修正しなければいけないと思うし、コーチと選手の間に立って繋げていくというのが自分の仕事かなと思っています。

Q.必要な時にということですね。それでも、今日の試合でもプレーで引っ張る姿が印象的でした。

点を取れるプレーヤーはたくさんいるので、自分はシュートをクリエイトしたり、スペーシングであったりというところは意識してやっていますね。

Q.時期尚早という話ですが、シーズンを通してのピーキングといったことは考えていますか。

昨季、リーグ戦では優勝できたんですけど、日体大はシードから入るというのが苦手なところがあって、名古屋学院大さんみたいに勢いあるチームに流れを持っていかれました。そこは自分たちの課題だと感じています。

Q.キャプテンとして“自分が修正しなければいけない”というのは、そういった意味もあるわけですね。

そうですね。

Q.ところで、今季は大学最終年のシーズンです。Bリーグなど、この先のキャリアというのは考えていますか?

Bリーガーになりたいなとは強く思っています。

Q.それを考えた時に、プラスαとして自分に加えたいという部分はどんなところでしょうか。

やはり日本のプレーヤーは、スポットシュートを求められているので、そのパーセンテージを上げることと、前から圧を上げられるディフェンス、脚力が必要になってくるかなと思います。

Q.まずは春のトーナメントです。組み合わせを見て、どんな印象ですか?

正直、いいところに入ったなと思うところもありますが、そこが日体の良くないところで、強いところに当たるとアレ…となってしまうところがあるので、気を引き締めて戦っていきたいと思っています。

Q.ディフェンスが鍵になるということでしたが、具体的な数字の目標はあるのでしょうか?

はい。60点台に抑えたいと考えています。そのうえで、自分たちは80点以上を取って勝ちたいです。

Q.最後に多くの時間を過ごしてきた同期が、どんな存在かを教えてください。

下級生のころからずっと一緒にやっているメンバーで、そんなに人数は多くないんですけど、寮も一緒だし、授業もほぼ一緒なんですよ。だから、家族みたいな感じですね。阿吽の呼吸でプレーもできますし、みんな勝ちたいという強い気持ちを持っているので、4人でやっているという感じですね。

Q.ありがとうございます。トーナメントでの健闘を祈っております。





文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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