月刊バスケットボール10月号

Wリーグ

2025.04.15

チーム力を高めた富士通が連覇、町田瑠唯がMVP [Wリーグファイナル]

Wリーグ連覇、皇后杯との2冠を目指す富士通レッドウェーブ、悲願の初優勝が懸かるデンソー アイリスとの『京王電鉄 presents Wリーグプレーオフ 2024-25 ファイナル』第5戦が414日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都・調布市)で行われた。今シーズンのファイナルは3戦先勝方式に変更されたが、互いに譲らずここまで22敗。45日の第1戦は富士通、翌第2戦はデンソー。そして5日間のブレイクの後、12日の3戦はデンソーが制し先に王手をかけたが、13日に行われた第4戦は富士通が取り返した。この試合では前半は27-23と競り合いの様相だったが、後半、ディフェンスに冴えを見せた富士通がデンソーをわずか12点に抑えて64-35で会心のゲームを見せていた。

4戦での勝利のあと富士通のBTテーブスHCは「(第5戦に向けて)修正点はあまりありません。選手のコンディションをできる限り整えることや、メンタル面をしっかりして臨めれば」と話しており、その言葉が表していた好調さは第5戦も続いた。司令塔の町田瑠唯が3Pシュートやスティールからファストブレイクを出すなど、1Qからオフェンスをけん引、富士通が一歩先んじた。対するデンソーは、一時11-209点のビハインドを負ったが、赤穂ひまわりの3Pシュートなどで追いすがり、18-20とワンゴール差まで押し戻した。




2Qに入ると、再び富士通が赤木里帆の3Pシュートなどでリードを奪う。デンソーは5分近く得点が入らずに苦しい展開の中、川井麻衣が3Pシュートで一息つく。しかし、あとが続かず、ディフェンスではシュートファウルで富士通にフリースローを与えてしまう。ジリジリと点差が開き、29-38と後手に回った。

後半に入ると富士通は宮澤夕貴の3Pシュート、ジョシュア ンフォンノボン テミトペのゴール下と連続得点でその差を広げる。デンソーは赤穂ひまわりが3Pシュートのファウルを受け、フリースロー3投を沈めると、富士通は赤木が3Pシュートを入れ返す。デンソーの梅木千夏がジャンバーを決めると、流れを渡すまいと再び赤木が3Pシュート。それでもデンソーは馬瓜エブリンのドライブ、高橋未来がスティールからファストブレイクを決めるなど、オフェンスにリズムが出てくる。3Q終盤には木村亜美、川井の3Pシュートが決まり50-58とその差を8点差まで詰めることに成功した。



勢いが出てきたデンソーは4Qもペナルティで得たフリースローを馬瓜がしっかりと2投沈めて6点差に迫る。ここで富士通は町田がジャンバーを決めてその勢いを食い止めると、宮下希保が値千金の3Pシュートで再びその差を2桁に戻した。さらにテミトペのゴール下、林咲希のバスケットカウントと一気呵成に攻めたて、ゲームの流れを掌握する。その後、ディフェンスでも隙を見せなかった富士通は、デンソーの反撃を許さず、75-60で勝利。Wリーグ連覇を達成した。ファイナル第5戦での優勝決定は2007-08シーズン以来のこと。そのとき、JOMO(現ENEOS)サンフラワーズを破って優勝を遂げたのも、やはり富士通だった。



プレーオフMVPはこの試合3847秒出場で9得点、8リバウンド、10アシストを記録、ほぼ出ずっぱりでチームを率い続けた町田が選ばれた。

「前半に富士通さんに多くのフリースローを与えてしまったのが想定外でした。リバウンドに入れず、ファウルがかさんでしまいました。フィジカルで、エナジーの部分で負けてしまいました。ただ、最後の最後まで戦ってくれたチームを誇りに思います」と、デンソーのヴラディミール・ヴクサノヴィッチHCは敗戦を振り返った。



今シーズン、皇后杯、Wリーグと2冠を達成した富士通の選手たちは誰もが「チームの勝利」と口にする。この試合最多の23得点を挙げた赤木は「結果的に自分が得点を取ることができたのですが、そこに至るルーズボール、リバウンドといった部分を全員で取り、チーム全員でつかみ取った勝利です」と語り、キャプテンの宮澤は「みんながステップアップして、本当にすごくいいチームになりました」と話す。プレーオフMVPの町田も「試合出ているメンバーだけではなく、選手それぞれがいろんな気持ち、思いを持ちながら、チームのために自分たちができること、役割を果たしてくれていました」とシーズンを通してのチームの成長を明かす。そしてテーブスHCは「このチームは僕の宝物」と表現した。デンソーに王手をかけられてからの逆転優勝は、個々の能力がチームとしてまとまり、最大限の力を発揮したことで手繰り寄せた結果だった。





京王電鉄 PresentsWリーグプレーオフ 2024-2025【ファイナル】
セミファイナルの勝者2チームによる3戦先勝方式
<2025年4月5日(土)~14日(月)>
開催地:武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ(東京都調布市西町290-11)
セミファイナル【Game2】の勝者vs セミファイナル【Game1】の勝者
5日(土) 富士通 63-49 デンソー
6日(日) デンソー 69-67 富士通
12日(土) デンソー 76-53 富士通
13日(日) 富士通 64-35 デンソー
14日(月) 富士通 75-60 デンソー



文・飯田康二/写真・石塚康隆

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