Wリーグファイナル第1戦。2Qで波に乗った富士通が先勝
主導権を握った富士通、立ち上がりから圧倒
『京王電鉄 presents Wリーグプレーオフ 2024-25 ファイナル』が4月5日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都・調布市)でスタートした。今シーズンのチャンピオンを決するファイナルは3戦先勝方式に変更され、2週にわたり最大5ゲーム開催されるタフなシリーズ。前週に行われたプレーオフセミファイナルにおいて、富士通レッドウェーブがENEOSサンフラワーズを、デンソー アイリスがシャンソン化粧品シャンソンVマジックをそれぞれ下してファイナルへと勝ち上がった。両チームの対戦は昨シーズンと同カード、因縁のリマッチとなった。
富士通、デンソーの今シーズンの対戦成績は2勝2敗の五分。シーズン序盤(2024年11月)の対戦では富士通が連勝。シーズン終盤(2025年2月)の対戦ではデンソーが連勝という結果だけに、勢いでいけばデンソー優位との見方もある。富士通は昨シーズンのファイナルでデンソーを2勝1敗で破り16シーズンぶりの優勝。続く昨年末の皇后杯でも優勝を果たし、女王として確固たる地位を確立した。今シーズンもレギュラーシーズンで1位の成績を残している。ただし、同2位のデンソーとは23勝5敗の同勝率。前述した直接対決での得失点差により、1位、2位が決まっており、両チームの実力差はないといっていいだろう。

違いを挙げるとすれば、長期離脱していたシューターの林咲希がプレーオフから復帰し、チームコンディションが上がっている富士通に対し、デンソーは主力数選手のコンディションがよくなく、プレータイムをシェアしなければならない状況ということ。また、Wリーグにおける優勝経験の有無といったことも挙げられるだろう。デンソーは2023-24シーズンの皇后杯覇者であるが、長年Wリーグ上位にありながら、Wリーグ優勝は成し遂げておらず、チームの悲願でもある。昨シーズンのファイナルは、皇后杯優勝を果たし自信を増したデンソーの前に富士通が立ちはだかる形となっただけに、今シーズンは皇后杯優勝を果たし、2冠を狙う富士通を打ち破り、昨シーズンのリベンジを果たしたいところだ。
こうして迎えたファイナル第1戦。開始から勝利への気持ちが上回ったのは富士通だった。
「富士通と比べ、エナジーが足りなかった」と試合後にデンソーのヴラディミール・ヴクサノヴィッチHCは話したとおり、富士通はロケットスタートを切った。内尾聡菜の連続ゴール、ジョシュア ンフォンノボン テミトペがゴール下で力強さを見せ、さらに宮澤夕貴の3Pシュートで続き、持ち前のディフェンスからの速攻と一気に12-2と試合の立ち上がりを制した。
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デンソーは流れを打開しようと、プレーオフでシックススマンの役割を務めている馬瓜エブリンを投入。すると自分の役割を「リバウンド、ディフェンスなどをフィジカルの部分から」と口にするエブリンがオフェンスリバウンドを奪取し、木村亜美の3Pシュートを呼び込む。さらには自らも3Pシュートを決めてチームを鼓舞し、浮足立ったチームを落ち着かせる。一方、富士通も一度つかんだ流れを渡すまいと町田瑠唯がドライブ、ジャンパーを沈めるなど、1Qは激しい主導権争いが繰り広げられた。
16-13と富士通の3点リードで2Qを迎えると、富士通はディフェンスが冴えてデンソーの攻撃の芽を摘みつつ、攻めてはインサイドを攻略し、ジリジリと点差を広げていく。デンソーのディフェンスがインサイドに注意を向けると宮澤が3Pシュートを沈め、30-15と完全に波に乗る。その後もデンソーディフェンスに的を絞らせない多彩な攻撃でこのクォーターを26-6と圧倒。42-19と大きくリードを奪い前半を終えた。
後半に入っても富士通ディフェンスの前に、デンソーはリズムのよいシュートを放つことができず、得点差を詰められない状況が続き、追い上げにつながる決定打が出ないまま、試合は進む。試合終盤に巻き返しを見せたが、時すでに遅く、63-49で前半に大差を奪った富士通がファイナル1戦をものにした。
「コンスタントにチームとしてのディフェンスをやり続けることができました」と富士通のBTテーブスHCは勝因を話しつつ、オフェンス面で後半の積極性のなさ、また、試合を通してわずか3得点に終わったベンチメンバーの奮起などの課題を挙げた。キャプテンでこの試合最多の18得点を記録した宮澤は「大事な初戦を勝てたのは良かったのですが、(2戦先勝だった)昨シーズンのようにホッとした感じはありません」と話し、絶対的司令塔で12得点、12アシストを記録した町田も「まだまだ続くという気持ち」と自らを引き締めている。富士通が一歩リードに立ったのは間違いないが、デンソーにも十分に巻き返すチャンスがある。Wリーグのファイナルの行方に注目だ。