月刊バスケットボール11月号

選手層の厚さを見せた福岡第一が開志国際を下して優勝!【KAZU CUP 2025】

高校バスケ界を代表する強豪16チームが一堂に会する「KAZU CUP(カズカップ)2025」が、3月25日(火)から27日(木)までの3日間、日本工学院八王子専門学校(東京都八王子市)にて開催された。

KAZU CUPは、高校バスケットボール界の発展とレベル向上を支援するために日本工学院八王子専門学校が主催するもので、大会名はかつて女子日本代表や秋田ノーザンハピネッツ、新潟アルビレックスBBなどでヘッドコーチを務めた中村和雄氏に由来する。今年は2019年大会以来となる一般観覧が実施され、多くのファンが会場に足を運んだ。特に福岡第一(福岡)と開志国際(新潟)による決勝戦は、ハイレベルなプレーの数々に観客から何度もどよめきや拍手が巻き起こった。





最終的には、開志国際の3連覇を阻んだ福岡第一が久しぶりの優勝を飾った。5人を一気に交代させる2プラトンを用いて堅守速攻のスタイルを貫き、特に2Qに大きくリードを拡大して最終スコア85−60と快勝を収めた。「サイズはないですが、珍しく選手層が厚くなってきました」と、ある程度の手応えを口にした井手口孝コーチ。今年は宮本聡&耀、山口銀之丞、崎濱秀寿というガード4人が全員3年生で、井手口コーチも「彼らが全部しゃべりますから、僕が話す暇がありません」と笑う。コート内外でコミュニケーションが密に取れていることも、チームの強さの秘密のようだ。大会MVPには、体を張ってリバウンドに気を吐いた福岡第一の藤田悠暉が選出された。


 
一方、MIPは準優勝の開志国際から新2年生の髙橋歩路が受賞した。開志国際は留学生こそいないもののスタメン4人が190cmオーバーで、平均的にサイズがある。ただ、大雪の影響で今年2月に行われる予定だった北信越新人大会が中止となったこともあり、新チームでの実戦経験はまだまだこれから。富樫英樹コーチも「久しぶりの大会となったので、どれくらい通用するかなと。完全にリバウンドの甘さが出ました。ただ、まだ実戦の練習もあまりしていないので仕方ない部分もあったかなと思います」と振り返った。




大会ベスト8の結果は、下記のとおり。
優 勝︓ 福岡第⼀ (福岡)
準優勝︓ 開志国際 (新潟)
3 位︓ 駒澤⼤附苫⼩牧 (北海道)
4 位︓ 尽誠学園 (⾹川)
5 位︓ 桜丘(愛知)
6 位︓ ⼋王⼦学園⼋王⼦ (東京)
7 位︓ ⼭梨学院 (⼭梨)
8 位︓ 秋⽥⼯ (秋⽥)

 
3位入賞は、尽誠学園との熱戦を1点差で制した駒澤⼤附苫⼩牧。また、関東新人王者の⼋王⼦学園⼋王⼦は最終戦で桜丘に突き放されて6位となり、伊東純希コーチは「関東新人で優勝できて、今大会は全国の相手にどれだけ戦えるかというチャレンジだったのですが、やはり上位チームには潰されてしまいました。圧力がかかると逃げてしまうところがあって、改めて改善しなければいけない課題が見えたと思います。去年よりもサイズがないので、もっとスピードを磨いていかなければいけない」と語る。元桜丘高の江﨑悟コーチが指揮を執る山梨学院は、主力がほとんど1・2年生。初出場だった昨年大会は16チーム中15位だったが、今年は大きくジャンプアップして7位となった。


このKAZU CUP、過去には八村塁や河村勇輝、富永啓生ら、現在日本を代表する選手たちも出場した経験がある。今大会を経験した伸びしろある選手たちの、今後の飛躍に注目したい。




全試合結果

■予選リーグ
GROUP A
福岡第一 88 - 46 秋田工
福岡第一 86 - 48 彩星工科
福岡第一 105 - 49 昭和第一学園
秋田工 67 - 62 彩星工科
秋田工 73 - 53 昭和第一学園
彩星工科 91 - 63 昭和第一学園
GROUP B
駒澤大附苫小牧 76 - 60 桜丘
駒澤大附苫小牧 67 - 59 日本大東北
駒澤大附苫小牧 86 - 60 高岡第一
桜丘 74 - 65 日本大東北
桜丘 96 - 73 高岡第一
日本大東北 61 - 52 高岡第一
GROUP C
尽誠学園 85 - 77 八王子学園八王子
尽誠学園 89 - 72 沼津中央
尽誠学園 112 - 37 旭川工
八王子学園八王子 103 - 51 沼津中央
八王子学園八王子 91 - 47 旭川工
沼津中央 89 - 62 旭川工
GROUP D
開志国際 120 - 67 北海道栄
開志国際 88 - 67 山梨学院
開志国際 91 - 45 日本大豊山
山梨学院 72 - 54 北海道栄
山梨学院 86 - 80 日本大豊山
北海道栄 77 - 72 日本大豊山

■順位トーナメント
1位トーナメント
福岡第一 70 - 62 駒澤大附苫小牧
開志国際 125 - 88 尽誠学園
駒澤大附苫小牧 67 - 66 尽誠学園
福岡第一 85 - 60 開志国際
2位トーナメント
桜丘 78 - 69 秋田工
八王子学園八王子 88 - 71 山梨学院
山梨学院 67 - 48 秋田工
桜丘 75 - 60 八王子学園八王子
3位トーナメント
彩星工科 68 - 41 日本大東北
沼津中央 84 - 76 北海道栄
北海道栄 91 - 57 日本大東北
沼津中央 73 - 64 彩星工科
4位トーナメント
高岡第一 94 - 77 昭和第一学園
日本大豊山 80 - 65 旭川工
昭和第一学園 92 - 61 旭川工
高岡第一 49 - 39 日本大豊山

■個人賞
MVP:藤田 悠暉 (福岡第一39)
MIP:髙橋歩路 (開志国際13)
優秀選手:義達 晴太 (北海道旭川工18)、北條 耀平 (昭和第一学園78)、遠藤 晴空 (日本大東北7)、西山 耕志郎 (日本大豊山28)、横山 駈 (高岡第一8)、久保田 遥翔 (北海道栄4)、 常深 星良 (彩星工科5)、髙木 強臣 (沼津中央23)、山野 圭介 (県立秋田工21)ファリル ディエイ (山梨学院12)、森 祐都 (桜丘31)、ンジャイ パプンデリセク (八王子学園八王子8)、 宮森昊太 (駒澤大附苫小牧2)、金山 颯 (尽誠学園2)、佐藤 伶音 (福岡第一47)、中塚 遼人 (開志国際5)


文・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

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