月刊バスケットボール10月号

37歳で3x3代表合宿招集、浅羽麻子が語る新境地『ここにいる意味をちゃんと表現したい』

3x3日本選手権では連覇&2年連続MVP


「正直、年も年なので呼ばれて本当に驚きましたね。日本代表については全く意識せず競技をしていたので、すごく驚いたというのが本音です。もちろん参加するからには、自分がここにいる意味をちゃんと表現したいなと思っています」

2月28日〜3月2日に行われた2024年度 3x3 女子日本代表チーム強化合宿は、初めて3x3に精通した選手たちのみで実施され、上は37歳、下は19歳と幅広い選手たちを招集。シンガポールで開催される「FIBA 3x3アジア杯2025」(女子は3月26日〜30日)に向けてのセレクションの場となった。冒頭の言葉は、最年長として参加した浅羽麻子(boldiiies/国内29位・世界661位)のもの。今回は2019年以来の合宿招集となった(2017年も招集)。国内の3×3草創期から活躍する浅羽は、「年齢もあるし、膝も悪いので、あとどれくらいできるかわからないんですけど、そう思いながら毎回やっています」と語るが、存在感を発揮し続けるトッププレーヤーの一人である。

今年2月に行われた3x3日本一決定戦「第10回 3×3 日本選手権大会」では、同じく合宿に招集された大橋実奈(国内18位・世界563位)、野口佑季(国内78位・世界1060位)、さらに関口和華と共にboldiiiesとして連覇を達成。浅羽は2年連続でのMVPに選出された。その過程では、新たなおもしろさも感じたという。
「決勝で対戦したFLOWLISH GUNMA (群馬)は、3x3のプロチーム。高橋選手(芙由子、国内6位・世界206位)が中心となってオフェンスを展開し、うちは各自がいいところを出そうという感じでスタイルが異なるチームの対戦でした。今年は3x3の経験はないけど、バスケに情熱がある関口も誘ってやったのですが、練習を重ねるごとによくなって、日本選手権では素晴らしいケミストリーが生まれて勝つことができました。本当にすごく面白いなと感じた大会でした」





普段、ストリートボールブランド「ballaholic」で働く浅羽の練習は「週4回、多い時で5回」。boldiiiesとして練習場所はなく、職場にあるリング、トレーニング施設で自主練を1回、さらにクラブチーム(5人制)の練習、3x3のライバルチームの練習に参加していると説明する。それだけ情熱を傾けてきた浅羽が、“今年で最後かも”と考えるようになったきっかけが、コロナ禍だった。「完全に仕事モードになり、1年くらい(プレーを)やってなかったんです。コロナ禍が明けたら、自分の体が本当にひどい状態になっていました。そこからコンディションを戻したのですが、昨年、初めて膝の軟骨を痛めてしまいました。今は、ケアをしながらプレーを続けています」と浅羽。一般的にアスリートのピークは20代後半と言われる。一度ストップした体を競技ができる体に戻すことは、並大抵のことではなかっただろう。

一方、キャリアを重ねた今だからこそわかるというものもある。それが“チームメイトの力をいかに引き出すか”だ。
「若い時は、チームメイトに結構求めすぎていて、すごく未熟だったなと思うこともあります。でも、年を取るごとにどういう声掛けをすれば、味方がいいパフォーマンス出せるかを考えるようになりました。その部分は成長したし、今年の結果(3x3日本選手権優勝)に結びついたのかなと考えています。やっと大人になりました(笑) 私はよく『気持ちが強い』と言ってもらえることが多いんです。チームメイトに気持ちの強さを伝えたいですね」





いかに味方のパフォーマンスを引き出すか。それは、3x3女子日本代表に呼ばれた選手たちが求められたものでもある。伊集南コーチは「いいエネルギー、キャラクターを持って、リーダーシップを発揮できるか。最初に強く伝えました。チームとしていかにタフにプレーできるか、コミュニケーションを図ってケミストリーを構築できるか」と苦しい勝負どころで引っ張れる選手を求めたいと説明している。

「自分の強みはツーポイントシュートだと思っています。シュートは絶対に決めたいですし、気持ちで絶対決めたいです」という浅羽。果たして代表ユニフォームを纏うことになるか。選手登録となる4名(補欠2名)は3月下旬、大会直前合宿近くに発表になる予定だ。





 【3×3女子日本代表 強化合宿参加メンバー】
■スタッフ
チームリーダー 倉石 平 (早稲田大学)
コーチ 伊集 南 (株式会社デンソー)
アスレチックトレーナー 岡本 香織 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレチックトレーナー 村木 亮子 (JIN整形外科スポーツクリニック)
チームマネージャー 稲葉 一政 (公益財団法人日本バスケットボール協会)

■選手
6位 高橋 芙由子(206位・FLOWLISH GUNMA)
8位 田平 真弥(219位・立教大学)
14位 横井 美沙(340位・FLOWLISH GUNMA)
15位 西 ファトゥマ七南(405位・早稲田大学)
16位 鶴見 彩(501位・MAURICE LACROIX)
18位 大橋 実奈(563位・boldiiies)
29位 浅羽 麻子(661位・boldiiies)
31位 八木 希沙(723位・TOKYO VERDY.EXE)
33位 井齋 沙耶(735位・TOKYO VERDY.EXE)
38位 髙橋 優花(777位・XD)
39位 原山 穂乃香(789位・JOAHN)
61位 加藤 臨(914位・TOKYO DIME)
64位 髙桑 利加(934位・TOKYO DIME)
78位 野口 佑季(1060位・boldiiies)
475位 津川 理乃(10411位・XLiV)
633位 下井 陽和(17638位・日本女子体育大学 / XD)
※左数字は国内ランキング、()内順位は世界ランキング(※2月24日現在)



【FIBA 3×3 アジアカップ 2025 大会概要】
大会名称:FIBA 3×3 Asia Cup 2025 (FIBA 3×3 アジアカップ 2025)
日時:2025年3月26日(水)〜30日(日)
場所:シンガポール
予選プール
男子/プールC:日本(15)、オーストラリア(35)、予選C 1位
女子/プールC:日本(14)、シンガポール(19)、予選C1位
※上位2チームが決勝トーナメント進出
※()内の数字はFIBAランキング ※2月24日現在
大会サイト:https://fiba3x3.basketball/2025/asiacup




文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

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