日本代表ディベロップメントキャンプに挑む“2006年世代”――渡邉伶音&十返翔里

2月3日から、若手選手を中心とした「2024年度男子日本代表チーム ディベロップメントキャンプ」が開催されている。本キャンプは、男子日本代表チームの継続的かつ将来的な強化を目的としており、大学生を中心に22人の有望株が味の素ナショナルトレーニングセンターに集結。トム・ホーバスHCの指導の下、スクリメージなどを行った。
18歳から22歳の年齢層が招集された中で、高校生は渡邉伶音(福岡大附大濠高)と十返翔里(八王子学園八王子高)の2人だけ。ただ、渡邉にとってはこれが2度目のディベロップメントキャンプ参加で、昨年11月には「FIBAアジアカップ2025予選Window2」にもロスター入りしたキャリアを誇る。それゆえ「今回の合宿では、今までの経験を生かして自分なりにリーダーシップを出しながらやれているかなと思います。周りは先輩たちが多いですが、自分の分かることはしっかり伝えたり、細かいことですが練習の最初に自分が入るようにしたり。当たり前のことですが、そこは前の合宿とは違うところだと思います」と渡邉。ホーバスHCも彼の意欲的な姿勢に対して「年齢的には最年少ですが、この合宿で見ていても『若い』とは思わない」と高く評価する。
プレー面では、ホーバスHCいわく「面白い選手です。うちのシステムの中だと、ディフェンス面を考えて3番ポジションは難しいかもしれないけど、4番ポジションとしてはピック&ポップもできる、ドライブもできる、パスも悪くない。絶対にチャンスがあると思います」。渡邉は高校で主に5番ポジションを担いながら、ハンドラーの役目などポジションにとらわれないプレーを身に付けてきた。現在、代表では4番ポジション、また特別指定選手としてプレーするA千葉では3番ポジションに挑戦しており、「4番と3番で考え方を切り替えなければいけないですが、将来的には両ポジションをやれた方が絶対にいいので、今自分のできることを考えながら使い分けている感じです」と、プレーの幅拡大に奮闘中だ。

また、そんな渡邉から大きな刺激を受けているのが同級生の十返。合宿中は彼の存在が支えでもあるようで、「分からないことがあったらすぐに伶音に聞いています」と語る。十返は初のディベロップメントキャンプ参加で「裏へのカッティングや、ディフェンスからブレイクなど、自分の持ち味は出せたかなと思います。高校では点を取ることが役目でしたが、こういう場では皆さん点が取れる。だから目立たないところで活躍することが大事かなと。(オフボールの動きは)高校時代にはあまりやってこなかったのですが、新たなプレーを見いだせたことは良かったです」と、自らのプレーを改めて見直すきっかけになったようだ。
なお、千葉県出身の渡邉と埼玉県出身の十返の出会いは小学生時代。「ミニバスのチーム同士も仲良くて、小学4年生頃から年3、4回は試合をしていました。ポジションは違いましたが、良きライバルというか、切磋琢磨してきた仲間だと思います」と十返は明かす。ミニバスで知り合い、高校最後のウインターカップでも対戦。そして今、ともに代表合宿に参加するという巡り合わせもまた、彼らの成長を後押ししているようだ。
同級生には「(コンディション不良で招集できなかったが)呼びたかった」とホーバスHCが明かした瀬川琉久(千葉J)らもおり、チャンスを狙う“2006年世代”が着実に力を付け、日本代表への階段を一歩一歩上ってきている。ディベロップメントキャンプでの評価は、もちろんその先のA代表選出に影響を及ぼす可能性も。3年後のロサンゼルス2028オリンピックを見据えて、さらなる急成長を目指す彼らの今後に注目したい。
文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)