月刊バスケットボール10月号

NBA・海外

2025.01.22

「JAPAN 2024 TASK FORCE」の活動終了を報告、ヴァイス氏「JBAはFIBAのよきパートナー」

ヴァイス氏「今後も必要であればサポートを」


1月21日、日本バスケットボール協会(JBA)は都内で会見を開き、「JAPAN 2024 TASK FORCE」(以下「タスクフォース」)の活動終了を発表した。

タスクフォースは「JBAのガバナンス」、「2つの男子トップリーグの存在」といった問題の解決、そして「日本代表の強化と若手の育成」のため、国際バスケットボール連盟(FIBA)が主導し組織されたもの。これらの問題によりJBAは2014年11月にFIBAから資格停止の制裁を科された。2015年8月に制裁は解除されたが、制裁が続けばオリンピック予選に出場できない状況に置かれていたのだ。制裁解除がなされたことで、女子日本代表は予選を勝ち抜き、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックへの出場を果たしている。

制裁解除後も、日本のバスケットボール界の発展を見守るモニタリング期間としてFIBAとJBAは定期的にコミュニケーションを図ってきた。タスクフォースは設立当初より「2024」と銘打ち、10年後の日本バスケットボール界の未来を描いてきたのである。その間、2020東京オリンピック・パラリンピックも開催され、そうしたビッグイベントを飛躍の起爆剤と想定していた。

「今日は日本のバスケットボール界にとって、歴史的な一歩になります」。今から10年前、2015年1月28日に行われたタスクフォースの第1回会議後、FIBA事務総長(当時)のパトリック・バウマン氏が口にした発言だ。「川淵三郎氏、インゴ・ヴァイス氏をチェアマンとして一緒にやっていけることをうれしく思います。JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恆和会長や文部科学省の下村博文大臣といった方々にもサポートをいただいた」とバウマン氏が語ったように、タスクフォースのメンバーには日本スポーツ界からの代表者が名を連ねていたのだ。

バウマン氏とは当時、取材、非公式のヒアリングを通して何度か会談したことがあるが「日本のバスケットボールは、飛躍的に発展する可能性がある。そのためにFIBAはプレッシャーもかけるが、全面的にサポートもする。オリンピックの東京開催が決まったことは最大のチャンス。バスケットボールが日本でメジャースポーツとなる姿を想像してほしい」と熱く語ってくれたのを思い出す。バウマン氏はその言葉のとおり、制裁を科すだけではなく、日本のスポーツ界を巻き込む最強のタスクフォースを組織し、改革を後押しした。




「10年前は本当に怒っていました」と川淵氏は当時を振り返る。「2つあるトップリーグをどうやって一つの強力な、夢のあるリーグにしていくか」という一番の難題を解決するのが自分の役割と認識していた川淵氏は、両リーグのトップと会談し、「こういう方向で行こう」と話をまとめても、それぞれがリーグに持ち帰ると所属クラブの反対にあってまとまらない状況を明かした。それでも「バウマン氏が特別な思いで日本のバスケットボール協会を変えたいという情熱を持っていました」とその情熱に応えるべく、リーグの統一、Bリーグの誕生に漕ぎつけたのである。

「総入場者数が500万人(B3を含む)を超えるなど、この10年間で想像以上の成長を遂げました」と川淵氏。「これは当時の私の評価とは全く違うのですが」と前置きしたうえで「財政的に苦しかったbjリーグの各クラブは、地元に働きかけ、いかに多くのお客さんに来てもらえるか、そのためにエンターテインメントをどうするかということを真剣に考えていたわけですが、そうした経営者たちが、Bリーグに入ることによって、大きな可能性を見いだし、力を発揮してくれたことが今のBリーグの発展の理由の一つにあると思います」と話した。

共同チェアマンのヴァイス氏は「タスクフォースを立ち上げ、達成すべき目標はすべて達成したと考えています。今ではJBAはFIBAのよきパートナーであり、アジアにおける重要な存在です」とし、また、Wリーグが外国籍選手の門戸を開いたことに触れ「日本のバスケットボールの発展のために、このようなことをモニタリング会議では検討してきました」と語る。さらにタスクフォースは終了するものの「今後も相談役として必要があればサポートしていきます」とJBAとの関係を引き続き密にしていく姿勢を明らかにした。

日本バスケットボール界を改革に導いたバウマン氏は2018年10月14日に心臓発作により急逝。日本のバスケットボール界が発展し続けることこそ、大恩人たるバウマン氏の遺志に報いることになるに違いない。


タスクフォース発足当時の写真。左から故パトリック・バウマン氏、川淵三郎氏、インゴ・ヴァイス氏



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