月刊バスケットボール1月号

指導者が怒ってはいけないミニバス大会「ファンジャンプ! バスケットボール2024 グリットアーツカップ」でL&B杉戸(埼玉・女子)と城東(東京・男子)が優勝! 千葉ジェッツ公式戦&撮影会招待を獲得

「指導者が怒ってはいけないミニバス大会」として2022年に始まった「ファンジャンプ! バスケットボール」の第3回となる「Fan-Jump! Basketball 2024 GritArts Cup」が、122627日に千葉県の柏市中央体育館で開催された。今大会は、インフルエンザ流行の影響から棄権した男子2チームを含め32チーム(男女16チームずつ)がエントリーし、26日に女子大会、翌27日に男子大会が行われた。優勝チームには千葉ジェッツ公式戦招待とスターたちとの記念写真撮影、準優勝チームも同公式戦招待という夢いっぱいのプライズが授与される今大会。当日は、指導者たちが「口出し無用」という普段と少し異なる環境の中、コート上で自主性を発揮してプレーを楽しむ子どもたちの姿が躍動した。


みごと今大会を制したのは、女子がL&B杉戸(埼玉)、男子は城東ミニバスケットボールクラブ(東京)。L&B杉戸の鈴木多恵子監督は、「子どもたちの自主性を引き出す取り組みに強く共感しています。皆が笑顔で、普段より得点した子も多くてすごく良かったです」と話し、選手たちと喜びを分かち合っていた。キャプテンの④鈴木恋桜も「ボーナスポイントのルールもあって、皆との仲が深まってチームワークも発揮できました。冬季大会を優勝して全国大会に行きたいです!」と笑顔を輝かせた。


女子優勝のL&B杉戸(埼玉)


ドリブルでボールを運ぶL&B杉戸④鈴木キャプテン

男子大会王者の城東を率いた池田真志監督は、普段から選手を怒らないよう意識しているとのこと。大会当日も「全員バスケットで、皆が笑顔になれるよう心掛けました」と自分たちらしさを発揮した結果としての優勝に目を細めた。城東は④宮坂諒大と⑤波田野丈介の2人がキャプテン。宮坂が「今日はチームプレーが多かったし、仲が深まりました」と振り返れば、波田野も「今大会をばねに初の全国大会出場を目指します!」と力強く語った。


男子優勝の城東(東京)


城東をけん引した2人のキャプテン、④宮坂(左)と⑤波田野(右)

※今大会の報道は月刊バスケットボール2025年3月号(1月25日[土]発売)でも、全チームのメンバー紹介と優勝チーム以外の数チームへのコメント取材も含め大特集しています。ぜひ併せてご購読ください。

得点した選手が多い方が有利
チームプレーの価値を学べる独自ルール

タイトルにもある通り指導者が怒ってはいけないという基本原則の下で行われた今大会は、子どもたちの自主的な状況判断や行動を促す特別ルールをほかにも適用している。前後半を通常より短い5分ずつ(決勝トーナメントは6分ずつ)に設定し、必ず固定の5人ずつ(計10人)がプレーするルールは、体力的な負荷を過度に高めずに多くのメンバーがプレーできるようにという配慮。最もユニークなのは、その選手たちが3人得点したらボーナスポイント1点、4人なら3点、5人なら5点という風に、実際のプレーによる得点に加算されるルールだろう。もし前後半で10人全員が得点したら、さらに5点が加算される設定。つまり、ボーナスポイントは最大で前後半9点ずつに5点を加えた23点が可能なので、仮に誰か一人の大量得点でプレー上のスコアで20点リードして試合を終えたチームがあるとして、その相手が10人全員得点していれば3点差で勝てるルールだ。当然、チームワークが大いにものをいうことになる。

このため、ボーナスポイントを狙って「まだ〇〇が得点していないよ!」と声が出たり、相手のボーナスポイントを阻止するために「あの選手に取らせないようにしなきゃ!」といったコミュニケーションがなされるようになる。また、普段得点することが少ない選手が得点を奪ったときに、通常のミニバスでは得られないような達成感や互いへの感謝・激励の気持ち、チームとしての爆発的な喜びが生まれる。耳をふさぎたくなるような大人たちの罵声は必要ない。それどころか何ら指示がない中で、子どもたちがめくるめく状況に対応してそんな場面が綴られていく。それはこの大会の醍醐味だ。

今年の大会は4つのグループでの予選リーグと各グループ首位の4チームによる決勝トーナメントというフォーマット。もしも同点で試合終了となった場合グループリーグでは引き分け、決勝トーナメントでは得点した選手が多い方を勝者とするルールも適用されていたが、女子大会準決勝では、牧園MBCと湖西スポーツ少年団が13-13の同点で試合を終え、得点者が1人多かった湖西が決勝に進出した。これもまた、今大会らしい結末といえるだろう。

福島から静岡まで、8都県から男女32チームがエントリーした「ファンジャンプ! バスケットボール2024 グリットアーツカップ」。今回も、子どもたちだけでなく大人たちにも貴重な気付きをもたらす意義深い大会となったに違いない。全チームが飛躍のきっかけを得たことだろう。

☆ファンジャンプ! バスケットボール2024 グリットアーツカップ最終結果

女子大会:優勝=L&B杉戸(埼玉)、準優勝=湖西スポーツ少年団(静岡)
ベスト監督賞:若林君枝(西方都賀Flowers
ベストワンチーム賞:Seagulls.Jr
フリースロー大会子どもの部:優勝=吉野かえで(光風台)、準優勝=金子果穂(Seagulls.Jr)、3位=島野詩織(西都賀Flowers
フリースロー大会大人の部:優勝 川端康子(冨貴島)

男子大会:優勝=城東(東京)、準優勝=NXT Friendlies(埼玉)
ベスト監督賞:小椋智之(東海岸OCEANS
ベストワンチーム賞:GROWTH LEGEND
フリースロー大会子どもの部:優勝=國上真叶(FUNKIDS BOYS)、準優勝=大西漣(生浜スパーズ)、3位=天正穏杜(HEARTS
フリースロー大会大人の部:優勝 井上将(東海岸OCEANS



☆ファンジャンプ! バスケットボール2024 グリットアーツカップ大会概要
主催:カイエント株式会社
特別協力:株式会社千葉ジェッツふなばし
特別協賛:株式会社グリットアーツ
パートナー:有限会社木村溶接工業、株式会社高山鉄工所、株式会社トップ・クラフト、ニューウェル株式会社、長谷川化学工業株式会社
メディア協力:月刊バスケットボール、ベイエフエム
協力:株式会社文明堂東京、ロート製薬株式会社



文/柴田健 写真/山田勉

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