月刊バスケットボール10月号

中学(U15)

2025.01.02

【Jr.ウインターカップ2024-25 プレビュー】高校バスケスターのJr.ウインターカップの思い出/岐阜女や京都精華学園の選手が語るその価値



高校バスケの1年間の総決算であり、多くのプレーヤーが憧れる舞台。それが『SoftBank ウインターカップ』だ。年々演出も華やかになり、選手たちの競技レベルも向上。国内バスケイベントの中でも屈指の人気を誇っている。

では、高校を中心としたU18カテゴリーの下、U15カテゴリーはどうか。

近年、“中学生のウインターカップ”と呼ばれ始め、徐々にその認知を拡大している『Jr.ウインターカップ』が、U15最大のタイトルと言っていいだろう。

2021年の第1回大会は、男子・城南中(秋田)、女子・四日市メリノール学院中(三重)がタイトルを獲得し、中体連の強さを示す結果となった。以降、女子は第2回大会で四日市メリノール学院中が連覇、第3回大会は大阪薫英女学院中(大阪)が初優勝を果たした。一方の男子は第2回大会でゴッドドア(兵庫)、第3回大会でライジングゼファーフクオカU15(福岡)が王者に輝くなど、クラブチームとBユースの台頭も目覚ましい。

昨年度は男子・四日市メリノール学院中、女子・京都精華学園中(京都)が優勝と、歴代の優勝チームを見ると、女子は全て中体連。男子を含めても総じて中体連に属するチームが多い。だが、男女ともベスト4には中体連以外のチームが食い込んでおり、Jr.ウインターカップがU15カテゴリーの選手・チームの“真の最強”を決める大会であることは事実だ。

それぞれに感じた「悔しさ」が今の礎に


林咲良(京都精華学園中⇒京都精華学園高)

ここまで、大会の歴史を振り返ってきたが、今年のウインターカップ出場選手の中にも、Jr.ウインターカップを経験した選手は多い。

京都精華学園高の林咲良と橋本芽依は、2022年大会で決勝まで進んだものの、最後は四日市メリノール学院中に51-77で大敗。悔しさを糧に高校バスケに活躍の場を移した。

「自分たちの代はコロナ禍で全中(全国中学校体育大会)を途中で棄権することになってしまって、Jr.ウインターカップで初めて全国大会の決勝に進むことになりました。なので、まずは決勝で戦えることに感謝の気持ちがありました。でも、試合では自分たちのパフォーマンスができなくて、校長先生(山本綱義コーチ)の指示を徹底できなくて負けてしまったので、すごく印象に残っています」


Jr.ウインターカップ2021-22女子準優勝の京都精華学園中(#4林咲良と#5橋本芽依)※写真は合成です

林は大会をそう振り返る。一方、橋本は林とは違う視点で大会を振り返った。

「私がJr.ウインターカップに出たのは3年生のときだけで、2年生のとき(2021年大会)は実力が足りずにマネジャーとしてベンチに入れてもらっていました。そのときの決勝は接戦で負けてしまって、ベンチで見ていても悔しい思いをしましたし、やっぱり試合に出たいと思うこともありした。選手として出られなかったことと、チームが負けてしまったことの両方の意味で悔しい大会でした」

悔しさを力に変えるように、3年時にはスタメンとして活躍した橋本。Jr.ウインターカップでのハイライトは準々決勝の折尾中(福岡)戦で、オーバータイムにもつれたこの試合で28得点、5リバウンド、9アシストを挙げ、接戦を制する原動力となった。


橋本芽依(京都精華学園中⇒京都精華学園高)

今や高校女子バスケ界でも屈指のバックコートデュオとなった林と橋本にとって、Jr.ウインターカップは今日に至るまでの重要なステップとなったことだろう。

橋本は大会に出場する選手たちにこんなメッセージを残してくれた。「中学生にとっては3年間の集大成になりますが、まずは一つの山を越えるために頑張ってほしいです。それに、(次のステージとして)高校があるので、思い切って自分のプレーをして、高校につなげられるようにしてもらいたいです」



高校でも生きる阿吽の呼吸



もうひと組、中高と共にプレーするのが岐阜女高の林琴美と小松美羽だ。学年は1つ違いの2人がそろってJr.ウインターカップに出場したのは、3大会前の2022年大会。当時、林は3年生、小松は2年生として大阪薫英女学院中のスタメンバックコートを務めていた。

この大会では、後の優勝チームである四日市メリノール学院中に準々決勝で敗れたものの、同試合で林は16得点、7アシスト、小松も8得点、9リバウンドを記録している。


Jr.ウインターカップ2021-22女子ベスト8の大阪薫英女学院中(後方#4林琴美)

「今はポイントガードをしていますが、中学生のときの私は違うポジションでプレーしていたので、(小松と)一緒に試合に出場する機会がありました。そういうときは、やっぱり阿吽の呼吸というか、どこにいるかとかも分かりましたし、プレーがすごく合っていたので一番やりやすい選手でした」

林は小松とのプレーをそう振り返る。


林琴美(大阪薫英女学院中⇒岐阜女高)

小松は林のディフェンスを頼りにしていたと語る。「私が一番思っていたのは、ディフェンス面でシイさん(林)がいたら大丈夫だということでした」。シンプルだが、高校でもディフェンスを一つのアイデンティティーとしている林を表現するのには最適な言葉だ。

共にプレーした同大会ではベスト8に終わったものの、林が卒業し小松が3年生となった2023年大会で、大阪薫英女学院中は大会制覇を成し遂げた。そして、準決勝では前年に敗れた四日市メリノール学院中を54-47で撃破。10得点、7リバウンド、4アシストを記録した小松の活躍も光り、1年越しのリベンジを成し遂げたのだ。


Jr.ウインターカップ2022-23女子優勝の大阪薫英女学院中(#5小松美羽)

その後、小松は林を追うように岐阜女高に入学し、今は小松が先発ポイントガード、林がセカンドユニットとしてチームを支えている。林と小松は今年度のJr.ウインターカップに出場する選手たちに、以下のようにメッセージを残してくれた。

「3年生にとっては最後の大会になりますが、プレッシャーに気負うことなく、試合を楽しむことが大切だと思います」(林)

「3年生は集大成として練習でやってきたことをコートで出してもらって、1、2年生は先輩たちを最後に笑顔で送り出せるように全力でプレーしてもらいたいです」(小松)


小松美羽(大阪薫英女学院中⇒岐阜女高)

今回紹介した京都精華学園高の林咲良と橋本芽依、岐阜女子高の林琴美と小松美羽──それぞれが歩んだ道は全く異なるものだが、共通することはJr.ウインターカップが今につながっているという事実だ。高校バスケはもちろん面白いが、その高校バスケへの“登竜門”となるJr.ウインターカップにも、ぜひ注目してもらいたい。

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文/堀内涼(月刊バスケットボール)

タグ: ウインターカップ Jr.ウインターカップ

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