月刊バスケットボール10月号

【SoftBank ウインターカップ2024 プレビュー】京都精華学園の林咲良と橋本芽依が戦う6年間の集大成「何が何でもチーム一丸で」

中高6年間を共にプレーする。

そんな選手は少なくないが、それが「中高6年間を共にプレーし、その両方でスタメンとして全国大会の決勝を戦う」となると、日本中を見渡しても非常に稀だ。

京都精華学園の林咲良と橋本芽依は、その稀なひと組に該当する。

ポイントガードの林とシューターの橋本。2人は同じ奈良県出身で、林は昨年度のキャプテンだった堀内桜花(シャンソン化粧品)の熱心な勧誘を受け入学を決めた。一方の橋本は高みを目指せるチャンスがあるのならば、と可能性を信じて京都精華学園の門をたたいた。



「同じ奈良県なので、咲良のことはミニバスの頃から知っていましたが、最初は結構子どもっぽい子だなという印象でした」。橋本は林の第一印象をこう振り返る。林も「ミニバス時代の芽依は背が高かったので、その印象と、あとは当時は髪の毛がめっちゃくるくるやったんですよ(笑)」と笑った。

そんな2人は今、高校バスケ界の頂点を争うチームで不動のバックコートを組むまでになった。



前途多難な船出から

全員バスケを自分たちのスタイルに

付属の京都精華学園中に入学後、林は寮に入り、橋本は自宅から学校に通う日々。コート上でも少しずつ頭角を表し、堀内や八木悠香(ENEOS)といった偉大な先輩たちの背中を追いかけながらキャリアを積んでいった。しかし、彼女たちのキャリアは決して順風満帆ではなかった。

中学3年生となった2021年の全国中学校体育大会は、大会途中に新型コロナウイルスの影響で棄権を余儀なくされた。年明けのJr.ウインターカップでも決勝に進んだものの、四日市メリノール学院中に力の差を見せ付けられ、51-77で完敗を喫している。

高校に入ってからも、周囲からはインターハイとウインターカップで初優勝を飾った偉大な先輩たちと比較され、「いつも先輩たちの背中に付いていって優勝させてもらったようなところがある」と山本綱義コーチは語っていた。昨年のウインターカップで大会連覇を成し遂げ、年が明け、いよいよ彼女たちの代となってからの船出も前途多難だった。



「新チームが始まったときは、全然完成が見えずに何をすればいいのか分からない状態でした。そんな時期が続いて練習中もかなり怒られていました」と林。だが、少しずつチームが形になっていく中で「しっかりとコミュニケーションを取って、チーム全体で戦う部分はすごく成長できたと思います」と、3学年全員で勝利を目指すスタイルを自分たちの武器に変えていった。

先輩たちのような個のタレント力はない。ならばどう戦っていくのか──その答えがチーム力を突き詰め、とにかく目先の1試合に集中することだったわけだ。橋本は「去年はスター選手がたくさんいて、そういう選手たち中心のチームでした。でも、今年に入ってからは自分たちなりのバスケットをしてインターハイは優勝することができました。それが間違ってなかったのかなと思います」と言い、全員で戦うスタイルに今は自信を持っていると強調する。

そのスタイルを突き詰めたことで、橋本が語った夏のインターハイと秋のU18日清食品トップリーグでそれぞれ優勝。前者は3連覇、後者は連覇という偉業だった。ようやく自分たちのアイデンティティーを確立したチームを見て、山本コーチも「去年の3年生に近付いた状況に、今の3年生はある」と目を細めている。



林ができないことを橋本が

橋本が不得意なことを林が

2人の話に戻ると、今年度は林がキャプテン、橋本が副キャプテンとしてチームをまとめている。彼女たちはそれぞれのキャプテンシーについてこう話す。

「咲良は中学でもキャプテンだったのですが、高校のキャプテンとなると、すごく頼れる存在です。たまにおっちょこちょいなところはありますけど(笑)、いざというときにはしっかりとまとめてくれるので、頼れるキャプテンだと思います」(橋本)



「芽依は自分が言い足りていないときや声かけができていないときに、みんなに厳しい言葉をかけたり足りていない部分を話してくれます。そういうところは尊敬しています」(林)

オフコートではお互いにたわいもないことで笑い合う、普通の同級生だ。だが、チームメイトであり良き友人でもある関係性もまた、バスケットボールにおける2人の強い信頼関係を助長しているのだろう。

もちろん、6年も共にプレーしていれば意見が食い違い、衝突することもあった。そんなときは面と向かって腹を割って話し、お互いの意思を理解しながら乗り越えた。手を取り合って地道に力を付け、気付けば2人は日本一のチームを支える看板デュオとなっていた。



橋本は二人三脚で過ごした林との関係性についてこう話した。「私ができないことは咲良がやってくれて、咲良が得意じゃないことを私がフォローしたり。そうやってこれまでやってきたので、昔と比べると(2人とも)すごく成長できていると思います」

このウインターカップは、2人が中高6年間の成長を示す最後の舞台となる。だが、最後だからといっていきなり優勝を目指すわけではないと橋本は言う。「1年生の頃からインターハイとウインターカップで優勝させてもらっているので、やっぱ最後の大会は勝って笑顔で終わりたいです。でも、まず優勝を目指すのではなくて、今年のチームは本当に一戦一戦、戦っていかないといけないチームだと思っているので、とりあえずそれ(優勝)は置いておいて、目の前の試合を頑張りたいと思います」

当然、周期からのプレッシャーやウインターカップ3連覇を期待する声もあるだろう。だが、今年の京都精華学園は林と橋本を中心に、ブレずにチームで戦うという彼女たちだけの武器を磨いてきた。そして、その信念を持って戦い抜いた先に結果が付いてくることも証明してきた。



林はウインターカップに向けてこう意気込んだ。

「中高6年間の集大成なので、何が何でもチーム一丸となって、しっかりと全身全霊で一戦一戦、戦って、最後は良い景色を見て終わりたいなと思います」

「何が何でも」の後には「優勝」という言葉が来そうなものである。だが林は「チーム一丸となって」という言葉を選んだ。2人のリーダーに引っ張られる京都精華学園は、強固な団結力を武器に東京体育館に乗り込んでくる。

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ウインターカップ 注目校紹介🏀京都精華学園高校(京都府)🏀林咲良・橋本芽依・山本綱義コーチ「チーム全員で狙う高校3冠」
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